太陽の下で輝くものは

八十八夜を過ぎ、いよいよ緑の美しい季節となりました。
ダージリンもセカンドフラッシュを待つ時期です。
暖かい日が続くからといって油断はなりません。こうした季節の狭間は喉を傷めたりしやすいものですからね。
いかがお過ごしでございますか、伊織でございます。

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宿命の対決

我が敬愛せしお嬢様へ。

庭園を咲き染めておりました桜も瞬く間に散り、新緑の季節が訪れております。
桜一色に染まる庭園も美しゅうございますが、様々な色彩が咲き交わるこの季節もまた格別でございますね。
とはいえ、急な雨が多いのもこの季節の特徴でございます。
どうぞご面倒でも、晴雨兼用の傘はお持ち頂き、急な雨に濡れたりせぬようご自愛下さいませ。

私事ではございますが、時任は毎年、桜の季節に宿敵とのチェス勝負を行う慣わしがございます。
今年は色々と庶務もあり、桜が舞う下で…とは叶わぬ事となりましたが、次のお休みを頂いております日に、新緑の下で一勝負交わしてまいる予定でございます。
今から、気付くと架空の盤面を脳裏に描き、如何に布陣を敷くべきか、如何に騎士たちを進軍させるか…そんなことばかり考えてしまいます。

…楽しみにしている?
そうなのかもしれません。

遠く離れた友との、久々の邂逅でございますゆえ、豪徳寺執事に賜ったワインを手土産に、チェス盤を挟んで、馬鹿らしい軽口の応酬に華を咲かせてまいります。
あ、ちなみに友人は下戸です。このワインは自分用でございます。
目の前で美味そうに飲んで見せ、羨ましがらせるための嫌がらせでございます。

それでは、暫くばかりお屋敷を留守に致します。
どうぞお嬢様。私がいない間、爺やや執政の申す事には、ゆめゆめ耳を傾けて頂き、あまり我儘を言って困らせないようにお願いいたします。

夜はまだ冷えますから、暖かくしてお休み下さいませ。

時任

乾と申します

お嬢様、お坊ちゃま、はじめまして。
大旦那様よりティーサロンにあがるお許しをいただきました 乾 と申します。

お許しを得たとはいえ、勉強しなければならないことばかりで至らぬ点が多いかと存じますが、皆様にくつろいで頂けますよう精一杯精進し勤めさせていただきます。

季節も新緑に移り変わり、心地よい風が吹く頃となりました。
私の好きな花「アイリス」の時期でもございます。
ギリシャ語で虹を意味し花言葉は「燃える思い」・・・
まるで執務に燃える私を表しているかのようです。
・・・大袈裟でございました・・・

しかし、お嬢様、お坊ちゃまにお仕えする気持ちに嘘偽りはございませんゆえ、お早いご帰宅をお待ちしております。