お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様、ご機嫌麗しゅうございます。
久保でございます。
お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様、今年も七夕の飾りつけをしておりましたところ、
「願いごと書きましたか?」と、ふいにお声をかけられまして。
はい、、、書いておりませんでした。
短冊を目の前にして、固まってしまったのでございます。
昔は「背が伸びますように」とか「俊足になれますように」だとか、
ぱっと浮かんでいたのですが……どうにも筆が止まってしまいました。
今の自分は、何を願いたいのか、、、
ありがたいことに、笑って過ごせる場所があって、お嬢様がおられて、
それだけでも十分すぎるくらいだと存じております。
けれども、それでは「満ち足りている」と言いきれるのかと言えば、どこかで「もっとできるようになりたい」、「お嬢様の役に立ちたい」と、欲が顔を出す。
成長したいとか、笑っていただきたいとか、
あともう少しスマートな給仕をしたいと。
人の心は、満足と向上心のあいだを行ったり来たりしているのでございますね。
まるで、冷房の温度設定のように。上げては下げて、また戻って。
結局、悩んだ末に書いたのは、
「今日も、心から笑って過ごせますように」でございました。
答えのない問いを抱えながらも、笑って前に進めるのが人間の良さだと、そう信じております。
それではお嬢様、長い夏が始まったばかりでございます。
くれぐれも体調にはお気をつけてご自愛くださいませ。