かも

梅とも桜ともつかぬ花が咲いていると思えば、これまで意識したことのない枇杷の花でございました。
毛皮の外套から顔を出している様を見ていると、立冬をすぎて寒くなる一方のこれからの季節を今一度意識させてくれます。
お変わりございませんか。
伊織でございます。

今月はお屋敷でご用意しているディナーのメインディッシュに鴨肉のローストがございます。
実は鴨肉はわたくしの大の好物でございまして、メインディッシュにお悩みのお嬢様には、すべからくお勧めさせていただいております。
寒い季節、わたくしの実家においては、よく鴨鍋をしたものです。
何を思ったか一羽まるまる用意する習慣が絶えず、鍋一度では終わらずに、3日4日続いて焼いたり煮たりゆでたりと、さまざまな頂き方で鴨を食べ続けたものです。
そして年が明ければお雑煮にも鴨。
まさに望むところでございます。

たまには家族の顔を見に帰るのもよろしいですね。
鍋を囲んでの団らんが恋しい時期でございます。

“エカテリーナ”

我が敬愛せしお嬢様へ。
緩やかに水銀計の目盛が短くなり、窓硝子の凍る朝も増えて参りました。
これから冬がやって参りますね。

薄雪と霜に染められる大地。空を閉ざす灰色の雲。真銀に染まる月。彩度を失う世界。
時任としては冬は好みの季節でございますが、唯一、お嬢様方が風邪などお召しにならないかだけは心配です。

どうかお嬢様の周りだけは暖かく、初春のごとき新緑色の世界が包みます様。

…いや、そんなん無理なのは存じておりますゆえ、どうか温かい上着を羽織り、お布団を早々に一枚増やしてくださいませ。
お嬢様の笑顔なしには。使用人一同とても冬を乗り越えかねますゆえに。

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秋の夜長のとある日

お嬢様、お坊ちゃま、機嫌いかがでございましょうか? 金澤でございます。

秋も深まり、何をするにも心地良い季節でございます。
四季の中で秋が一番好きな方は多いのではないでしょうか?

そんな秋のある夜、早めの夕食だったせいか夜中にお腹が空いて仕方ありません

食べ物は何も無い・・・

ちょっと出かける事にしました。

突然話が飛びますが、
彼女との付き合いも一年半になろうとしています。

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番外編/秋の夜長にカクテルを

わが敬愛せしお嬢様へ。

あの陽光の横行する夏が嘘のように通り過ぎ、季節は駆け足で秋へと移り変わりました。
ともすると冬へと駆け抜けてしまいそうなほど、一挙に肌寒くなっておりますゆえ、お嬢様におかれましては、お出かけの際きちんと上着をお持ち頂き、くれぐれもお風邪など召されぬようご自愛下さいませ。

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