La quête

あけましておめでとうございます。能見でございます。

年末年始の時候。お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

幕を開けましたこの2026年。どのような一年になるのかは神のみぞ知る。

大海原が待ち受けている波乱万丈か、それとも湖畔ような波風立たぬ凪か。

誰にも見当がつかないからこそ未来を想像することが楽しゅうございます。

 

そして、本年はお屋敷にとりましても大変特別な節目の一年でございます。

2026年3月24日をもちまして、ティーサロンは創立20周年を迎えます。

私がお屋敷の門戸を叩きまして、給仕することを許されたのが、2014年。

随分と長い間、この屋敷とともに過ごしてきたと振り返ってございました。

 

歩幅は狭いながらも、一歩一歩、前へ進んできたという実感がございます。

信じて歩んでこられたのも、ひとえにお嬢様がそばにいらっしゃったから。

培ってきた今までの日々が、現在のお屋敷の、そして私の礎でございます。

この場をお借りいたしまして、深く深く、感謝申し上げます。

 

お嬢様とご一緒に過ごすこの一年が、さらに光り輝くものとなりますよう、

様々な挑戦と経験を通じて、お屋敷に還元することができればと存じます。

 

先日、なるほどなと納得できる、非常に興味深いお話を耳にいたしました。

人間は楽しみなことがあると時間を長く感じる、という理論でございます。

幼少の頃を思い出してみると、遠足や運動会や音楽会やクラス替えなど、

心待ちにしている行事が多いため、体感として長く感じるのだそうです。

 

お嬢様にとりまして、その日が楽しみだなと思っていただけることを、

少しでも、ひとつでも、多く探していけたらと思います。

 

末尾とはなりましたが、本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

 

能見

Icarus

両手両足ぶんでこと足りるくらいの朝を迎えると、もう新しい年なのですね。

どれほどドラマティックな初夢を見られるか期待している能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

本年もあと残すところ僅か、ポインセチアが美しく映える季節でございます。

シナモンとジンジャーの紅茶の香りが執務室をあたたかく満たしていきます。

本邸での執務を終えて、一日を振り返りながら日記をしたためておりますと、

お屋敷の厨房から何やらシェイカーと氷がぶつかる音が鳴り響いております。

 

毎年の恒例行事となりました能見&八幡のオリジナルカクテル「雨の御堂筋」。

私の生まれ故郷でございます浪花の古き良き風情を感じていただけますように、

西の地に存在しておりますソウルドリンク「ひやしあめ」を使用いたしました。

八幡とともに思案いたしました「雨の御堂筋」を例年通りにご用意いたします。

 

昨年までは私がカクテルレシピの開発を一貫して執り進めておったのですが、

本年は打って変わりまして、八幡がいちからオリジナルで思案しております。

英国の陶器ブランド「ウェッジウッド」が東洋の世界を表現するかのごとく、

私には見えなかった浪花の魅力をグラスの中で表現してくれることでしょう。

 

これぞ、今まで積み上げてまいりました共同制作の楽しさ、でございますね。

どのようなご感想を賜ることができるのか、今から心躍る思いでございます。

 

少し早いご挨拶となりますが、お嬢様。本年は誠にありがとうございました。

現状維持は衰退という言葉を胸に様々な挑戦をしてきたと自負しております。

ときには手を伸ばしすぎて、蝋の翼が溶けそうになったこともございました。

それでも幾度も飛び立つことができたのは、紛れもなくお嬢様のおかげです。

 

この感謝の気持ちを胸に、来年もあなたのお傍でお仕えさせていただきます。

次は、私がお嬢様の背中をそっと支えることができますように。

 

よいお年をお迎えくださいませ。

 

能見

V.V.

秋風吹く空を見上げて、北新地へと向かう黄金色の銀杏並木を思い出しました。

その落ち葉を踏み締めた感覚が起因となり郷愁の想いに耽る能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

ソムリエが年に最もそわそわするボジョレー・ヌーヴォーの季節でこざいます。

本年の新酒には一体どのようなキャッチコピーがつけられているのでしょうか。

こちらの日誌がお嬢様の目に留まる頃には、文言が決まっているとよいですね。

 

今年は時任とともに、2025年のボジョレー・ヌーヴォーをお届けいたします。

五年以上も前、時任とワインバーに立っていたことを非常に懐かしく感じます。

味覚のプロフェッショナルでございますので、選定したワインが楽しみです。

 

本年の新酒は、昨年とラインナップを少し変えてご用意する予定でございます。

入れ替わりのあったボジョレー・ヌーヴォーを、簡単にご紹介いたしましょう。

 

Gaspard et Lisa Beaujolais Nouveau 2025

リサとガスパール ボジョレー・ヌーヴォー 2025

僭越ながら私が選定いたしましたこちらはお屋敷に初登場の一本でございます。

可愛らしいタッチで描かれました、何とも言えない表情の動物たちが愛おしい。

お嬢様が幼少期によくお読みになっていた絵本を彷彿とさせるエチケットです。

デザインとは裏腹にワイン自体は本格派。優美なエレガントを纏っております。

 

Lou Dumont Beaujolais Nouveau Vieilles Vignes 2025

ルー・デュモン ボジョレー・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ 2025

こちらは、時任が選定いたしましたボジョレー・ヌーヴォーでございまして、

日本人醸造家の仲田晃司さんがフランスに渡り開いたワイナリーの一本です。

ヴィエイユ・ヴィーニュ、通称「VV」。古樹に成ったブドウから造られました。

新酒でありながら、ワイン通好みの複雑なアロマを愉しめそうでございます。

 

11月も始まり、様々な生産地のたくさんの新酒がお屋敷に届いてまいります。

ソムリエが浮き足立つ季節、お嬢様も本年の味わいをご期待くださいませ。

 

能見

Rêverie

執務室の椅子の上、深いまどろみの中で何か夢を見たようでございました。

心地よい風の吹く秋の夜長に、読書を存分に満喫したい能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

国際博覧会閉幕のニュースを耳にする度、郷愁という言葉が想起されます。

実際にその地におりますと、中々足を運ぶ機会はなかったかと思いますが、

遠く離れた慣れ親しみのある場所ならば、せめて一度は赴いてみたかった。

そう感じるほどに、人間心理というのは誠に都合のよいものでございます。

 

振り返るのには少し早いですが、浪花に所縁のあった一年でございました。

舞台の上での自分の発する言葉、そして様々な報道で見る画面越しの風景。

そういえば、私が度々赴いていた商店街は今どうなっているのでしょうか。

逡巡の末、知ることの恐怖からその好奇心に蓋をすることにいたしました。

 

マンデリンのシティロースト。私がずっと愛してやまない嗜好品のひとつ。

その焙煎香が部屋全体に広がっていき、壁一面に染み込んでいくようです。

最後のドリップを見届けて机に戻りますが一向に思考が進んでくれません。

きっと本日は諦めろということでしょう。そういう日もあっていいのです。

 

肌寒い秋風の撫でるこの執務室で。

もう少しだけ、瞼を閉じていようと思います。

 

能見

Mabon

季節の変わり目、庭園の植物が移り行く様に趣を感じるようになりました。

幼少の頃に体験した秋の行楽を懐かしく感じております能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

誠に残念ながら暦の上では、私が愛してやまぬ夏が終わってしまいました。

お嬢様はこの夏、心の中に暖かく灯るような素敵な思い出はできましたか。

残暑と申します言葉通り、残り香を感じることができる時候でございます。

今のうちに、この夏の記録として日記帳に記してみてはいかがでしょうか。

 

さて来月の上旬。影山とともに特別なエクストラティーをご用意いたします。

影山と紅茶を製作いたしますのはお屋敷にまいりまして初めてでございます。

執事歌劇団入団の同期としてパフォーマンスで切磋琢磨してまいりましたが、

ティーサロンでともに一つの作品を作る機会には、心躍る感情がございます。

 

この度は「霊峰富士」をモチーフに、2種類のアレンジをご用意する予定です。

我々はスワロウテイル登山部(仮)として僅かな頻度ながら活動してございます。

日本で最も高い場所で見た、日常生活から隔絶されたこの世とは思えない景色。

忘れられないアルバムのひとページを、お嬢様と一緒に眺めてみたい。

 

そのような想いをこめて、お嬢様に紅茶をお届けいたします。

どうかお楽しみにお待ちくださいませ。

 

能見

Duende

アスファルトから生成される陽炎を眺めて、都会のオアシスへの幻想を抱きます。

冷夏の予想はどこに霧散したのかと大変嘆かわしく感じている能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

空調の効いた執務室。どれほどの時間、ここにおりますでしょうか。

先ほど淹れたばかりの、アイスティーの氷の溶ける音がいたしました。

執務室の窓から見える庭園でアポカリプスのように叫ぶ蝉時雨を聴きながら、

今年の夏はモルディブよりもアカプルコに行きたいなと、空想しております。

 

私がこちらの日誌で何度も赴きたいと申しております常夏の島、モルディブ。

時が止まったような、絵画の中の世界。それがモルディブの海の美しさです。

日常の窮屈さや息苦しさを忘れて、のんびり優雅に過ごすことのできる場所。

私の中で勝手に作り上げた主観丸出しのモルディブのイメージでございます。

 

一方でアカプルコはメキシコ南部にあります美しい海と緑溢れるリゾート地。

モルディブが静だとすれば、アカプルコは動。活気あるビーチが特徴的です。

奏でられるマリアッチを聴きながら、踊り明かす夜も魅力的でございますね。

治安がよいとは言えませんが、非日常を味わうこれ以上の場所はございません。

 

お嬢様は今年はどちらの避暑地へお出かけでしょうか。

数多のお土産話を楽しみにお待ち申し上げております。

 

能見

Dépaysement

灼熱の太陽と大合唱の蝉時雨に、頭から押さえつけられる季節が到来いたします。

アスファルトで揺らぐ視界に、夏の訪れを身に染みて実感する能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

僭越ながら来たる7月8日に的場とのカクテルデーを開催することになりました。

まだまだ織姫さまと彦星さまが帰路について間もない時候でございます。

 

この度は、過日の執事歌劇団第16回公演のキャラクターに焦点を当てました。

私が演じたお花屋さんの「夏樹焦恋」と的場が演じた不良坊主の「蛙河院三休」。

この二人の登場人物をイメージしてそれぞれのカクテルをお作りいたします。

坊主側の心のうちはギフトショップの日誌にてどうぞお目通しくださいませ。

 

私がお作りするカクテルのテーマはお花屋さんが届けるミッドサマーリゾート。

目を閉じればバカンスの風が頬を撫でるように南国を感じられることでしょう。

 

喉を潤す炭酸の心地よい刺激と広がるラムの風味にピーチやマンゴーの果実感。

現実から遠く遠く離れたモルディブの空気を感じていただけるやもしれません。

毎日社会勉強でお疲れのお嬢様、夏休みという概念を失ってしまったお嬢様。

ひとときばかりの逃避行をお屋敷でお楽しみいただくのはいかがでしょうか。

 

猛威を振るうお天道様を見上げながら、元気に夏を越えて行きましょう。

 

能見