「繋ぎ」と「涼」

お嬢様、お坊ちゃま、
ご機嫌麗しゅうございます。
佐倉でございます。

天気、気温、共に崩れやすい月となってございます。
お身体にお変わりなくお過ごしでございますか。
暑さ、寒さ、とお召し物も少々選択の難しい日が続いているかと存じますが、お身体とご相談頂き、適切な物をお選び頂ければと存じます。

6月は旧暦で「水無月」というそうにございます。
雨の多い「梅雨」の時期、「水」「無し」「月」とはこれいかに、とも感じたのではございますが、どうやら、「無」は繋ぎの意味をもつ言葉であり、実際には、「水の月」との事。
諸説あるようではございますが、そうであれば理解もできるものだと、ひと心地ついた最中に、「神無月」(旧暦の10月)を見て混乱したのがつい先日でございます。
(蛇足ではございますが、「神無月」は全ての神様が出雲に集まる月、つまり、「神」の「無い」「月」との事でございます)

さて、僭越ながら、6月の前半にて、私の考案いたしました、
『グリオットのジェリータルト』
をご用意してございます。

グリオットチェリーと酸味のあるジュレ、そして甘いカスタードクリームの調和をお楽しみ頂ける一品でございます。

じっとりとした暑さが続く日にも召し上がりやすい、「涼」を感じられるケーキとして仕上がってございます。
よろしければお試しくださいませ。

雨が降りやすい季節にございます。
お身体、そしてお外に出る際は、お足元にも十分にご注意いただき、また元気なお姿をお見せくださいませ。
皆様のお戻りを心よりお待ちしております。

春麗らかに

お嬢様、お坊ちゃま、
ご機嫌麗しゅうございます。
佐倉でございます。

4月、春でございますね。
暖かな陽気と、過ごしやすさを持つ春。
寒さの苦手な私は、段々と暖かくなる春を四季の中で一等に好んでございます。
しかし、近年は夏が長く、秋が短くと四季のバランスも少々崩れてございまして、気温の変動も激しゅうございます。
今年の春はいかがでございましょうか。
お嬢様、お坊ちゃまにおきましては、お身体に充分お気をつけて、ご自愛いただきたく存じます。

さて、瀧廉太郎氏の童謡、「花」にも「春のうららの」とございますように、春は花の季節にございます。
桜にツツジにチューリップなど、色とりどりの花々が咲き誇る光景は、心踊るものがございます。
聞いたところによりますと、富山には様々なチューリップが咲き乱れる、チューリップ公園なる場所があるとか。
是非一度拝見したくございます。
お嬢様やお坊ちゃまはどんな花がお好きですございますか?
機会がございますれば、お教え下さいませ。

当家裏山でも、春の様々な花が見頃を迎えてくることかと存じます。
山道はしっかりと整えてございますが、お登りになられる際は、しっかりと使用人にお申し付けくださいませ。
私も尋ねられましたらお答え出来ますよう、野草の勉強などもせねばなりませんね。
さて、春の花についての書籍は……。
おや、「食べられる野草」……興味深い。

お戻りになられる時を心からお待ちしてございます。

如月(きさらぎ)

お嬢様、お坊ちゃま、

ご機嫌麗しゅうございます。

佐倉でございます。

寒さも未だ厳しい日がございます。

お身体にお変わりは無くございますか。

大変心配にございますので、しっかりと暖かくしてお過ごし頂ければと存じます。

2月には「立春」がございます。

日にちは、「節分」に近い頃。

「春」が「立」つとかいて「立春」、つまりは春の始まり、でございますね。

……えぇ、あくまでも暦の上では、でございます。

冬の寒さが大変苦手な私と致しましては、2月の初めに「春」と伺っても、おやおや、ご冗談を。と微笑むのみでございます。

しかし、春の訪れはもう見つけられるのでございましょうか?

少しでも「春」の暖かさを感じたくございます。

もし、「春」をお見つけになられましたら、是非私にもお教えくださいませ。

2月といえばチョコレートもございますね。

昨今では、自身への日々の労いを込めて、チョコレートを自身に贈る文化もあるとか。

チョコレートは雪山での遭難時にも使用されるほどの高エネルギー食材でございます。

あの甘やかな味と香りは、日々を労う嗜好品として、大変素晴らしいものかと存じます。

しかしながら、もちろん、食べ過ぎにはお気をつけ下さいませ。

さて、私もチョコレートをフルーツと合わせて頂こうとしたところ、ふと、どのフルーツがチョコレートに一番合うのか、と疑問を得たのでございます。

いちご、オレンジ、バナナ。

チョコレートに合うフルーツは数あれど、一番とはなかなか難しいものにございます。

そこで、チョコレートに合わないフルーツを排してみては、と考えたのでございますが、ふと思い返してまいりますと、今の時代、チョコレートを合わせないフルーツがほとんど無いことに気付かされました。

日本人の探究心、また各企業の弛みない営業努力。

美味を求めるその心には脱帽でございます。

いつか、全てのフルーツを一堂に並べ、チョコレートに最も合うフルーツを求めてみたいものにございます。

勿論、その際はお嬢様やお坊ちゃまもご一緒に、一番のお好みをお探しいたしましょう。

暖かな春を。

そして、元気なお姿をお見せ頂けることを願ってございます。

新たな年

お嬢様、お坊ちゃま、

明けましておめでとうございます。

佐倉でございます。

新しい年はいかがお過ごしでございますか?

私などは、気付けば、その気付けばと申しているうちに、年も明けてしまったようでございます。

年初めのお話など、是非お聞かせ願いたく存じます。

さて、私は、年初めに果物といえば、鏡餅の頂上にございます、あの橙色を思い浮かべるところにございます。

あちらの果物、その名通り「橙(だいだい)」と申しまして、蜜柑ではございません。

(橙は小さいものが多ございますから、代わりに蜜柑を乗せることも多いようではございます)

橙というのは、冬になっても実が落ちず、何年も実がついている姿から、長寿や、家族が「代々」引き継がれる様に願う縁起物とのこと。

お味といたしましては、加工品にすることが多ございますね。

もちろん、そのままお召し上がり頂くことも可能ではございますが……。

幼い頃の私が、とても渋い顔でこちらを見てございますので、お辞めになるのがよろしいかと存じます。

新しい一年、お嬢様、お坊ちゃまはどの様にお過ごしをとお考えでございますか?

機会がございますれば、そちらも、お聞かせ願いたく存じます。

最後にはなりましたが、お身体にお気をつけて、また元気なお姿をお見せいただけることを願ってございます。

本年もよろしくお願いいたします。

到来

肌を刺すような寒さを感じる日も増えてまいりました。

お嬢様、お坊ちゃまはいかがお過ごしでしょうか。

お身体に変わりはございませんか。

佐倉でございます。

12月でございます。

暖冬という話も何処へやら。

朝も夜も大変肌寒く、寒さの苦手な私などは、既に春の訪れを待ち侘びてございます。

勿論、冬には冬ならではの素晴らしいものが沢山ございます。

雪が降れば、その素晴らしい銀世界に目を奪われ、街を彩るイルミネーション、また空気が澄んでございますから、星空なども大変美しゅうございます。

冬の海産物など、美味しいものも数多く、素晴らしい季節であると存じてございます。

しかし、やはりあの悴むような痛みというものは、いつまで経っても慣れぬものにはございますが…。

さて、お嬢様やお坊ちゃまは、冬の果物と申しますと、何を思い浮かべるのでございましょうか。

みかん。

よろしゅうございますね。

炬燵とみかんと申しますと、日本では冬の風物詩のようにも数えられます。

ビタミンも豊富、手軽にお召し上がり頂けるあの果実は何とも素晴らしいものにございます。

苺。

不思議にございます。

苺は言わずと知れた、春の果物にございますが、やはりケーキにございましょうか。

どこか冬のイメージもございます、不思議な果物にございます。

勿論、技術の進歩により、今では殆どのものがどの季節にもお召し上がり頂ける為でもございますが、あの赤い色は、冬の白さによく映えていらっしゃいます。

私にございますか?

私は柚子にございましょうか。

私、柚子の持つあの爽やかな香りと酸味が何とも好みでございまして、お酒を嗜む事が少ない私ではございますが、ゆず酒なるものを拝見いたしますと、ついつい試してみたくなってしまう、それ程の心地でございます。

柚子は様々な料理でお楽しみ頂くことが多いかと存じますが、ゆず酒や、またゆず茶なるものは、柚子の香りや味が存分に感じられる為、私は大変好みでございます。

幼い頃に、柚子はみかんと似て大変美味しそうな形をしてございましたので、そのまま生で頂いたところ、その味と酸味に少々苦い思いをしたこともございましたが、今では笑い話でございましょう。

まだまだ寒い日が続くことと存じます。

お嬢様、お坊ちゃま、お身体にはお気をつけ頂き、また元気な姿をお見せ頂けることをお待ちしてございます。

柚子湯というものは、身体を温める効果もあるとのことにございます。

機会がございましたらお試しくださいませ。

佐倉

秋、赤々と

秋は夕暮れ。

「枕草子」の一説でございますね。

お嬢様、お坊ちゃま、如何お過ごしでございましょうか。

佐倉でございます。

四季の移ろい、そしてそれぞれの趣深さを表したとされる「枕草子」。

未熟な私には、まだまだ全てを理解するのは大変難しゅうございますが、しかし、秋の夕暮れの美しさというのは、感じ得るものがございます。

真っ赤な夕暮れ、揺れる黄金の芒に、空に舞う秋茜。

素晴らしい秋の景色にございます。

付近では赤々となる柿を必死に啄む鳥が……おやおや、もちろん自然の摂理でございます。

止めることは難しゅうございますが、そちらの木は収穫を控えてございますので程々に。

その様な光景を眺めながら、幼き頃の思い出がふと呼び起こされました。

収穫が終わったであろう柿の木に、ほんの少し実が残っているのを見た私は、聞いたのでございます。

「何故全てを収穫しないのか」と。

「次の年もたくさん実をつけるようにという意味だよ」

そう教えてくださったのは、どなたでございましたか。

幼い私は、全てなくなってしまうと、次がならなくなってしまうのか、と啄む鳥をみて少々見当違いの恐怖を覚えたのでございますが、後になり、古来よりの風習である事を知り、成る程と思ったものにございます。

おやおや、二つ目にございますか?

随分とお腹が空いていたご様子。

このままでは、全て食べ尽くされてしまいますね。

そのように思いながら、庭師の元へと向かいます。

あなたの分もお残し頂けますようお願いしてまいります。

果実か否か

光陰矢の如しと申しますが、気がつけば9月となってございました。

お嬢様、お坊ちゃま、ご機嫌麗しゅうございます。

佐倉でございます。

9月といえば秋の始まりにはございますが、こと数年に至っては、残暑も厳しく、過ごし辛い月となりつつございます。

お嬢様、お坊ちゃまはお変わりなくお過ごしでございましょうか。

さて、秋は実りの季節でございます。

ぶどうに柿、梨に栗と、果物が好きな私は大変喜ばしくございます。

ふと、栗は果物か、との思いも過ったのではございますが、どうやら定義を調べましたところ、しっかりと果物の様子。

あの柔らかな甘味、大変好みでございます。

栗は縄文の遺跡より見つかっており、大変古くより人々に親しまれていたとのことでございます。

ビタミンB1等の栄養素も豊富で、間食に致しますと、足りない栄養素を補うのにピッタリだとか。

お嬢様やお坊ちゃまは栗はお好みでございますでしょうか?

……しかし、古来の人々も良くあの様な棘に包まれた果実を、食べてみようと思ったものにございます。

棘や毒、まさかそんなものまで、と思う食べ物は非常に多くございますが、美味しくいただいております今を思いますと、先人への感謝も尽きないものにございます。

気温が安定せず、調節の難しい季節ともなってございます。

お身体にお気を付けてお過ごしくださいませ。