はじまりはじまり

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

四月は始まりの季節です。
例外なく、私にとってもそうでございました。
使用人になるべく修行を重ねた日々の末に、
ようやくティーサロンに立ったあの日。
嬉しさや楽しみという感情よりも、
緊張や戸惑いが先立っていたのを覚えております。

今でこそ教育係を仰せつかるようにもなりまして、
何食わぬ顔が出来ております(と思います)が、
当時の自分が見たら驚くかもしれませんね。

あの頃教えてくれた教官や共に励んだ同輩たちは、もう旅立ってしまいました。
気づけばそろそろ教官たちが仕えた年数を追い越してしまいそうです。
それだけ長い時間が経ちました。

ここまでお仕えさせていただいたこと、感謝しております。
そして何よりも皆様のおかげであることを胸に留め、
これからもお仕えいたします。
10年目、改めてよろしくお願いいたします。

才木

雑を大切に

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

近頃久々にSF作品に手を伸ばしました。
映画も上映中の「プロジェクト・ヘイル・メアリー」という作品でございます。

SFというと長編作品が多く見られる分野で、
この作品も文庫では二分冊。
学生時分であれば、それだけで喜んでいた記憶がありましたが(段組になっている単行本を持って悦に浸っておりました)、
成長と共に後回しにする理由にもなっておりました。

特にSFやファンタジーには「ハードSF」「ハイファンタジー」などという言葉がございまして、
いざ読み進めるとなると腰を据える必要のあるイメージがつきまといます。
「いつかは」という言葉を枕詞に積んでいくのが常。
この度は「たまには」と考え直し、
手に取った次第でございます。

分かりきったことではございますが、
ページを開いてみれば面白いものです。
よく練られた作品にハズレはないとも存じますし、
この小説は堅苦しい科学用語の羅列はもちろんございますが、
登場人物たちのウィットに飛んだ会話や関係性が清涼剤となり、
終始楽しく読むことができました。

さてここからが本題なのですが、
フィクションのストーリーを追いながら
思ったことがございます。
それは私自身が「雑」を許容できるタイプなのだなということです。

具体的に言うと、理解が及ばない時にある程度読み飛ばすことができるということで、
それが本当に良いか悪いかは別として、
深く考えすぎないで先に進めるのは
悪いことばかりではないはず です。
私が本当に真摯に全てを理解しようとすれば、辞書片手になのか端末頼りになるから分かりませんが、
読書に対する集中力を欠くのは確かです。

SFに明るくない私が、
こうした作品を楽しめるのは
ここが一番大事な点なのかもしれない。
そう考えました。

丁寧にすることもよいですが、
時には雑なくらい力を抜いた方が
得られる物もありそうですね。

ティーサロンも20周年も迎え、
本年は特別な一年になるかと存じます。
とはいえ気を張りすぎるのもよくありません。
どうかごゆるりと肩の力を抜いてお過ごしくださいませ。

私自身も誠心誠意務めてまいりますが、
気負いすぎないようにしてまいります。
皆様がハッピーな一年になるとよいですね!
笑顔が溢れる一年になることを祈っております。

才木

パティシエの季節

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

さて世の中はバレンタインデーということで、
パティシエたちが張り切る季節がやってまいりました。
この度は我々ヴァンドゥールもより気合を入れまして、
このバレンタインデーを盛り上げようということで、
賑やかなDVDをご用意いたしました。

「的場の山小屋特別編 ~熱血!! ヴァンドゥールパーティー編~」
日頃ヴァンドゥールとしてお仕えします六人が、
ゲームやトークコーナー、またお菓子作りに挑戦するなど盛り沢山の内容でございます。

見どころはやはり、お菓子作りです。
当家のパティシエに教えを請いながら、
日頃携わるお菓子がどのように作られるのかを体験いたしました。
慣れない作業に四苦八苦しながらも頑張ってまいりました!

また本年のバレンタインのチョコレート「Four Seasons」も、
火野・明石・桐島・才木のヴァンドゥール四人で担当させていただきました。
既にHPや動画にてご案内させていただいておりますが、
春・夏・秋・冬のイメージに合わせてお作りしております。

私は冬担当ということで、
メープル風味のキャラメルガナッシュを
ホワイトチョコレートでコーティングしたお品でございます。
上に乗せたキャラメルが食感や味のアクセントにもなっております。

二月はギフトショップにも、是非足をお運びくださいませ!

===

お菓子のお話をさせていただきましたので、
ついでに私のお菓子遍歴(?)についてお話をさせていただきます。

幼少期のことですが、
私の母はアメリカ文化を非常に好んでおりました。
そのため輸入雑貨屋へ連れていかれる機会が多く、
そういった場所には数多くの海外のお菓子が並んでおりました。
ハリボーやスニッカーズ、ジェリーベリーやPEZなどなど。
もう名前も覚えていないものもありますが、
さまざまなものを食べた記憶がございます。
チェリーコークやドクターペッパーといった、
海外の飲料を好むのもこの頃の影響です。

また二世帯住宅で祖母と同居していましたので、
煎餅やかりんとう、羊羹や最中など。
和菓子も手に取る機会が多くございました。
ちなみにくず餅ときんつばが好きです。

今こうして書き出してみると、
お菓子をよく食べておりましたから、
幼少期は丸々としていたのだなと思います。

成長しますと、専らポテトチップスをいただいておりました。
このくらいの時期は人生で一番身体を動かしておりましたので、
甘いものよりも塩っ気の方に目がいっていた気がいたします。

ただミルクティーは日々飲んでおりました。

大人になってからは少しお菓子と距離を置いていたのですが、
使用人として務めるようになり再燃。
今はチョコレートならミルクチョコレート一択、
大体のものは甘ければ甘いほどいいと考えております。
煎餅も相変わらず食べますが、どちらかというと間に合わせといったところ。

お屋敷で自身が考案し、
皆様にご用意するお菓子やケーキを試食した後、
パティシエに「もっと甘くならないか」と相談することがございます。
パティシエたちはバランスに重きを置いて作ってくれるので、
しつこくない甘さを目指すのでしょうが、
私としてはしつこいくらい甘いほうがいいと思ってしまいます。

原風景に海外のお菓子があるからでしょうか、
甘さにインパクトがしっかりとないと
満足しきれないところがございます。
甘いケーキを食べながらコーヒーというよりは、
甘いミルクティーをと思ってしまうのは、最早何かの性なのかもしれません。

皆様はどんなお菓子がお好きでしょうか。
是非ティーサロンにてお話をお聞かせくださいませ。

才木

若水

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

先日椎名と共に、
エクストラティー「若水」をご用意いたしました。
お召し上りいただきありがとうございました。
近頃では珍しい形でございます、
ガラスポットに入れてでお茶をお届けいたしまして、
茶葉の見た目も楽しんでいただけるように仕上げました。

私としてはこのガラスポットでのご用意は
初めての挑戦でもありまして、
その中でさまざまなことを考えました。
そんなブレンドを試作している中で、ふと気付いたことがございます。

自分が良いと思うものには理由がございます。
それは単純に好きだからということに帰結するのですが、
好みというのは結局、今までの経験や過去が反映されるものです。
昔に美味しいと思ったものを自ら作る際にも追ってしまう。
今回もそのようなことが実際ございまして、
非常によくできた味でしたのと、
今のティーサロンではないタイプのものでしたので、
そのまま皆様にもお仕上がりいただくくことにいたしました。

模倣というとそれまでなのですが、
どちらかというと私自身がそのような「パターン」を多く知るようになった、
気づかぬ内に私の中に積み重なったものがある。
ということに何だかしみじみとしてしまいました。

使用人として、頑なにならない。
これは近頃大切にしなければならないなと、重きを置いていることです。

ただ自分自身の中に形作られた何かを大切にしたり、
長く続くティーサロンという場所に続くものを、
少しだけでも顧みることも必要だと感じております。
新鮮な感覚というものも忘れずにいたいですが、
培ってきたものもしっかりと抱えていきたいところです。

またこうした特別な紅茶をご用意することもあるでしょうし、
ティーサロンにて紅茶係を務めることもあるでしょうから、
より研鑽を積み、より良いものご用意できるよう努めてまいります。

ティーサロンにて、お戻りを心よりお待ちしております。
本年もよろしくお願いいたします。

才木

日誌

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

本年も大変お世話になりました。

十二月九日を持ちまして、
ファーストフットマンを拝命して二年が経ちました。
微かにでも、何か皆様のお力になれていれば。
お屋敷の門を叩く者たちに寄り添える存在になれていれば。
そんなことを常に考える日々でございます。

私自身も使用人として今一歩成長しなければいけない。
そう感じることが多い一年でもございました。
長く同じところに留まると、停滞や慢心に負けてしまうことがあります。
ですが個人としても使用人としても、
今が一番だと胸を張れることが大事なことなのだと、
背中を見せてくれた人がいます。

少しずつ初めてはみるのですが、
なまった身体に鞭を打っても、反応は鈍いものです。
焦らずに日々努めてまいりたいと存じます。

===

さて本年も大旦那様からのご用命を受け、
皆様に様々なものをお届けする機会がございました。

やはり大きく分けますと
「夏祭り」「ハロウィン」の二つではないかと。
この二つを中心に振り返ってまいります。

■夏祭りについて

執事歌劇団へのゲスト出演をさせていただきました。
今回はハロウィンパーティーに続き、二回目。
火野と共に参加させていただきました。

私としては「イリオスの誘拐」を伊織と共に披露いたしました。

その際百合野の作ったこの楽曲を元にしまして、
追加の部分を作成させていただきました。

百合野によるとこの楽曲のテーマは「ヒーローがヒロインを救う話」。
本来の「赤ずきん」において、狼は赤ずきん(少女)を騙して食べようとします。
この楽曲においては、狼が赤ずきん(少女)を救うというものになっています。
そのことから私はこれが可逆的なものであると考えました。
それは狼が赤ずきん(少女)を救ったように、赤ずきん(少女)が狼を救った側面もあるということです。

誰もが誰かを必要とする、そのような博愛的な側面がそこにはあり、
博愛の美しさの影には実現しづらいが故の儚さがあります。

そういった部分をより強く表現するという意味で、
二次創作として面白いものが作れるのならば面白いのではないか。
そう感じ、製作しました文章でございます。
百合野の許可をもらいましたので、
年の終わりのまとめとして記載させていただきます。

===

〇冒頭

「一方から見れば、また一方が見えない」
「真実は嘘で、嘘は真実なのかもしれない」
「ただそれはきっと、正しいもの」
「信じてください」

貴方を迎えにきました

〇間奏後

狼は立ち止まった少女に聞きました。
「君は何に期待したんだ」

少女は振り向いた狼に答えました。
「貴方が見せたいもの全てです」

「君が見ていたのは」
「貴方が見せていたのは」
「後ろ姿だったのに」

〇ラスト

「貴方を迎えに来ました」

===

以上です。
イリオスの誘拐の歌詞と合わせて見ていただければ、幸いです。
あなたは何を感じますでしょうか。

■ハロウィンについて

改めまして、本年もお屋敷のハロウィンにお付き合いいただきありがとうございました。
日頃お屋敷からお届けするものに比べますと、
今年は「Cats & Dogs!」ということで、
使用人たちが猫耳や犬耳をつけた姿をお届けしました。

フォトブックをご覧いただいた方々には周知のこととは思いますが、
今回は「人間が滅び、動物たちが知能を得て文明の支配者となった世界」のお話です。
俗にいうアポカリプス物(終末後世界を描いた作品)をイメージした内容で、
ディストピア(全体主義により自由が失われた世界を指す)的な部分を取り入れました。
人間の滅亡によって情報技術を喪失したことで、
一部の権力者による情報統制が容易になり、デイストピア社会が形成された。
というのが私がストーリーを作る上で考えた本筋です。

ここで言う情報技術という部分には、旧来的な「活版印刷」までを含みます。
長くなりますので詳細な説明は省きますが、
この活版印刷が人類の情報伝達を著しく発達させたことは明らかで、
それはこの活版印刷が活字の「大量生産」を可能にしたからです。

「ミニストーリー」にも新聞というものが登場し、
登場人物がそれに驚くというシーンを認めましたが、
これが彼らの文明がどれだけ「情報」という面において遅れているのかを書いております。
そしてこの「新聞(及び情報)」によって、
彼らの文明が根底から覆り得るというのが、
後半のストーリーを想像していただく上での一要素でもございます。
踏まえてお読みいただくと、また違った視点もうまれるのではないかと思いますので、
是非年末年始の娯楽としても、お楽しみいただければと存じます。

また「ミニストーリー」上のラストのお話である「fight for whom」ですが、
悩んだ上で没にした別バージョンがございますので、
この場を借りて供養させていただきます。
よろしければご覧くださいませ。

ちなみにこの「fight of whom」は、
ヘミングウェイ著「誰がために鐘は鳴る」をもじったものです。
直訳すると「誰がために戦う」でございます。

没案は以下からです。

===

8.「fight for whom」

あの頃の思い出。
幼い百合野と隈川が走り回っていて、伊織がそれを諫めている。
父親はそれを笑いながら眺めている。
幸せな記憶。過ぎ去りし光景。戻らない時。

――夜、「イースト」屋敷・大広間にて

近い未来。
百合野と隈川が相対している。

お互いに銃を持っている。
二人の距離は、ただただ遠い。

隈川「君はあの頃と変わってしまったのか」
百合野「変わってしまったのは、お前だろ!」
隈川「僕は! ……あの頃のままだ」
百合野「よく言うよ」

銃を構えて。

百合野「ならこの現実を見て、どう思うんだよ」
隈川「申し訳ないとは思っているよ、でも」
百合野「でも?」
隈川「僕は君を、友達だと思っている」
百合野「……」
隈川「それは絶対に変わらないよ」
百合野「……馬鹿にしているのか、信じられるわけがない」
隈川「信じてくれないか、それがこの街の平和にもつながるんだ。僕も君と争いたくはないんだ」
百合野「どれだけの犠牲出たと思っている」
隈川「だからだ」
百合野「失われたものはもう戻らないんだぞ!」
隈川「だからだ! だから、もうこれ以上」
百合野「笑わせるな、そんな言葉で誤魔化せるか、俺は全てに責任がある、
託してくれたあいつらにも、奪ってきた奴らにも。今更だ、今更無責任なことを言うな。
言うなよ……そんな綺麗事を言うんじゃねえ!」

隈川も銃を構える。

隈川「……撃ちたくない」
百合野「それなら俺が先に撃つ」
隈川「大切なものがあるから、僕のエゴを優先してはいけないんだ」
百合野「ああ、それでいい」
隈川「……最後に一つだけ聞きたい、なんで兄さんを」
百合野「……終わりにしよう」
隈川「……わかった。はっきり言うよ。僕は、君が憎い」
百合野「俺だってそうさ」
隈川「ねえ」
百合野「なんだよ」
隈川「○○、○〇〇〇」
百合野「馬鹿野郎、抜け駆けは許さねえよ」
隈川「じゃあおあいこだね」

百合野が、小さく笑う。
銃声が、広間に響く。

===

以上才木の2025年振り返りでした。
本年もお世話になりました、よいお年をお過ごしくださいませ。
来年もたくさん楽しんでいただけるよう、精進いたします。
改めてよろしくお願いいたします。

才木

イルミネーションの光

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

ギフトショップでのクリスマスフェアが発表されました。
遠いことと思っておりましたら、
あっという間のことでございますね。
この調子で年の瀬も迫ってくるのかと思いますと、
少々の焦りがございます。
とはいえ焦ったところで何が変わるわけでもありませんので、
変わらず平常運転ではあるのですが。

クリスマスと言えば、
私にとってはイルミネーションです。
しんと静まり返った空気の中で、
ただキラキラと灯る光につい温かさを感じ、眺めてしまいます。
観光地や名所に赴くこともございますし、
街の隅で静かに輝く光に目をこらすこともございます。
何度歳を重ねてもそこには独特な高揚感がございまして、
季節の訪れを強く感じるところです。

学生時分はよく独りで鑑賞しておりました。
何を考えるでもなく自己に浸る、
ともすれば痛々しい若気の至りにも思えますが、
あの頃はそんな時間がたまらなく好きでした。
温かな缶コーヒーを口に運びつつ眺めていると、
幻想的な風景と一体なっている心地になれるのです。

皆様も紅茶を魔法瓶に移して、
夜の街に繰り出してみるのはいかがでしょうか。
仰っていただければ、
紅茶は我々使用人でご用意いたしますので、
お気軽にお申し付けくださいませ。
お戻りを心よりお待ちしております。

才木

schwarz katze

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

まず御礼をということで。
ハロウィンパーティー2025ありがとうございました!

一年の中でかなり特殊なイベントでして、
毎度「本当に楽しんでいただけるのだろうか」と
不安を抱えながら当日を迎えるのですが、
皆様の笑顔や暖かい拍手に救われて、
何とか無事に終えることができました。

私が感じた通り、
楽しんでいただけていれば幸いです。

ギフトショップでのハロウィンフェア自体はもう少し続きますが、
今年のハロウィンはひとまずこれで終わり。
来年も大旦那様にお許しいただけるようでしたら、
お楽しみいただけるよう尽力してまいりますので、
ご期待くださいませ。

また落ち着きましたら、
日誌にて認めさせていただきます。

……

今月17日より、
ティーサロンにて「ザッハトルテ」をご用意しております。
4年程前にギフトショップにてご用意したものを
リバイバルしたお品でございます。

本場のものよりも、甘さは控えめにアプリコットジャムを
しっかり感じていただけるよう仕上げておりますので、
お食事後でもお召し上がりいただきやすいと存じます。

オーストリア・ホテル・ザッハー、伝統のトルテ(デザート)。
濃厚なチョコレートケーキを是非お試しくださいませ。

才木