May the 4th

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

初夏の心地よい陽気が続き、色鮮やかなツツジの花が目にも楽しい五月となりました。
朝晩の寒暖差が少し心配でございますが、どうぞご油断なくお体をご自愛くださいませ。
さて、皆様はすでにご存じでしょうが、5月の4日にはある記念日が定められております。

 

司馬の愛してやまない映画、「スターウォーズの日」でございます。
劇中の名台詞 “May the Force be with you.”( フォースと共にあらんことを。) のMay the Force とMay the 4th (5月4日)をかけた語呂合わせに由来がございます。

昨年の五月には、このスターウォーズとの出会いと、いかに感銘を受けたかを日誌で語らせていただきました。
その際に、続編である「帝国の逆襲」について、いずれ認めさせていただくことを予告いたしましたが、今回はそのお話をさせていただきます。
あくまで個人的な感想ですので恐縮ではございますが、どうぞおつきあい下さいませ。

 

記念すべき第一作から三年後、ルーカスフィルムが送ったこの続編に、司馬は大変な衝撃を受けました。
片田舎で育ち、鬱屈とした青春を過ごしている主人公が、偉大なる指導者に見いだされて才能を開花、ヒロインを救出し、さらには銀河を救う戦いで大功績をあげるという、典型的なおとぎ話のような「新たなる希望」から大胆に一転、今作は主人公サイドが徹底して不利な状況に置かれ続けます。

 

緒戦での大敗から、仲間たちは離れ離れになり、最終的に主人公のルーク・スカイウォーカーは出自に関して驚きの秘密を知らされます。さらに自身の片腕すらも切り落とされて親友のハン・ソロは冷凍状態のまま、敵対勢力に奪われて、失意のままに結末を迎えます。
劇中では、ルーク自身の心の闇を暗示するような描写もありまして、娯楽大作だった前作からこんな続編が生まれるとは想像すらできませんでした。

 

しかしながら、この悲惨な状況に満ちたお話があったからこそ、スターウォーズは後々まで続く偉大なシリーズに成長したのではないでしょうか?
現に、この後にもハリウッドは何本もの続編娯楽シリーズを世に送り出しますが、三部作の二本目はたいてい主人公サイドが、敗北または不利な状況で結末となるパターンが続出します。
今作を鑑賞した後、人生には必ず挫折という局面があるということを、まざまざと思い知らされた気がいたしました。
アクションに満ちた娯楽大作として成立していながら、そのような厚みに満ちたストーリーを提供した今作は、司馬に取りまして生涯忘れられない一本となりました。
あくまで主観ではありますが、前作よりも好きな一本でございます。もし、マイベスト映画を五本上げろと言われましたら、確実にこの作品はラインナップに入ることでしょう。

 

そして、「帝国の逆襲」からさらに三年が過ぎ、本当に心待ちにしておりました三部作の最終編「ジェダイの復讐」がやってくるのですが・・・。
これ以上は、また来年にお話をいたしましょう。
皆様方におかれましても、生涯忘れらない衝撃的な作品に出合えますことを、心よりお祈り申し上げております。

 

“May the Force be with you.”

 

日誌

お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様、ご機嫌麗しゅうございます。
久保でございます。

先月は、冴島と一緒にお作りしましたカクテルをお召し上がりいただき、誠にありがとうございました。
拙いながらも、あれこれ試行錯誤しながら心を込めてご用意いたしましたので、少しでもお楽しみいただけておりましたら、これほど嬉しいことはございません!
冴島のひらめきと、久保のほんの少しの小細工(?)が、良い味になっておりましたでしょうか。
これからも精進を重ね、さらに美味しいひと品をお届けできるよう励んでまいりますので、その時が来ましたらよろしくお願いします!

ぽかぽかと暖かな陽気に包まれ、五月の風が木々を優しく揺らす今日この頃。外を歩けば、思わず深呼吸したくなるような清々しい季節でございます。とはいえ、日差しの力強さには注意が必要ですので、体調管理にはくれぐれもご留意くださいませ。

さて、そんな5月、私は才木と共に「アントワネット」の配膳係を担当させていただきます。
普段の私にとっては、少々背筋を伸ばさねばならぬ場ではございますが、才木の立ち振る舞いに刺激を受けつつ、張り切って務めてまいる所存でございます!

デザートの配膳係は今回が二度目の挑戦でございます。
前回は重たいワゴンに手こずり、思わず冷や汗をかいてしまいましたが、今回はその経験を活かし、よりスマートにお運びできるよう心がけてまいります。

甘い誘惑に負けぬよう、そしてお皿を飛ばすことなく、しっかり務めさせていただきますので、どうぞご期待くださいませ。

5月も笑顔溢れるおもてなしができますよう、全力を尽くしてまいります!

追記
執事歌劇団…
凄かったですね…

優李君…良いですね…本当に…
三休さん!!ははっ!!

おまけの話

幼いころ、母親の買い物について行ってはおまけ付きのお菓子をねだって買ってもらっていたことを思い出します。

伊織でございます。

 

 

気に入りだったのは、その形や種類がなんであれ、ちいさな組み立て式の人形がついてくる類いのものでした。

動物であったり車であったり、はたまたロボットであったり、お菓子の箱にさらにおまけが入っている箱が付随しているのです。

自分で作るというのがひとつの楽しみで、完成品のなにがしが付いているというより、組み立て式の方が喜んだものでございます。

 

なにぶん幼いころのことですから、自分で作ると申しましても立派な模型では手が出ません。飛行機や船など、よりにもよって難しいものに挑戦したこともございましたが、父の手を借りても上手にはいかなかったものです。

ですから、ほんの10手くらいで完成してくれるお菓子のおまけくらいが丁度よかったのでしょう。

 

できあがった動物やら車やらロボットやらは、少なくともその日の相棒です。

あちこりを走らせたり、宙を飛ばせてみたり、先日の相棒と戦わせてみたり、頭の中では様々な場面が映し出され、数え切れない効果音が鳴り響いておりました。

瞬間ごとに物語を作り、相棒たちにしゃべらせ、話しかけ、あして遊んでいた時間が今も執事歌劇団で筆を執らせていただいている原点であったのかな、なんて思うと興味深いものです。

 

昨今、雑誌のおまけが豪華になり、本とおまけのどちらが主役だかわからないなんて声を耳にしますが、わたくしからすればいつだって主役はおまけの方でした。

自身の過去を振り返ると、いやいや本が主役だろ、だなんて到底口には出せそうにありません。

皐月

若葉萌え風薫る清々しい季節となりました。

お嬢様いかがお過ごしでしょうか、乾でございます。

 

今年の八十八夜は5月1日でございます。

お茶農家様にとって新芽の茶摘みを行う特別な日でございますね。

立春から数えて「八十八の夜」が過ぎた88日目で初夏の風が心地よい時季でございます。

当家にも新紅茶「IKOI(いこい)」が仲間入りいたします。

新緑の季節にふさわしいノンカフェインのハーブティーでございますので、お手元にご用意が叶った際はぜひお楽しみくださいませ。

 

そして5月5日は立夏。春分と夏至のちょうど真ん中にあたります。

いよいよ季節が夏に向かいますので、ご体調管理にお気を付けいただければ幸いでございます。

 

では、お嬢様のお帰りをお待ちしております。

日誌

お嬢様 ご機嫌麗しゅうございます。

 

陽気に包まれる一日が増えてきたように思われますがいかがお過ごしでしょうか。

 

私ごとではございますが、
ティーサロンにてお給仕を勤めましていつの間にやら3年ほどの月日が経とうとしてございます。

 

まだまだ学ぶべき事は沢山ございますが、それでも、こんなにも長くの間 お勤めする事が叶いましたのも、一重に日頃よりあたたかかく見守って下さったからこそかと思われます。

 

本当にありがとうございます。

 

この3年間でお嬢様へ幸せなひと時を全力でおおくりしてきた自負はございますが、それ以上にいただいたものが沢山あるので
これからの給仕にてめいっぱいお返しできるよう精進いたします。

 

さて少し早くはございますが5月の前半には、僭越ながら私が考案致しましたフットマンケーキ「ベリーロールケーキ」をご用意してございます。

 

苺のスポンジ生地でフランボワーズクリームをお包みした、私の大好きな赤色をふんだんに閉じ込めた1品でございます。

 

是非お試しくださいませ。

 

そして、来たる5月16日と5月27日の2日間、

 

自身初のタイニーブルームーンをご用意することが叶いました。

 

お恥ずかしながら、この日をとても楽しみにしておりました。

 

3年間の中で初めて自身1人でご用意をするカクテル。

 

当日は 私の全てをお嬢様にお届けいたします。

 

ひとつひとつのお品にこれまでの想いを込めて準備に務めてまいりました。

 

ご感想いただければ幸いです。

 

それではお嬢様、

 

また、お屋敷でお会いいたしましょう。

 

火野

日誌

「……そこには、何があるんですか?」

「とくに、なにも。まァ強いて言えば、県境になるんですかね」

「県境、ですか? あぁ、何か特別なモニュメントでもあるんですね」

「いや、まったく。本当に、ただ県境があるだけですよ。目には見えないけど」

「そのためだけに、こんな辺鄙な駅で降りるんですか?」

「ま、そういう人もいるんですよ」

ご機嫌麗しゅうございます、荒木田でございます。

一期一会。

この四字熟語を一人旅という言葉から連想する人もきっと多いのではないでしょうか。旅先での、ほんの少しの出会い。日常社会のしがらみから解き放たれ、決して尾を引かない間柄だからこそ取れるコミュニケーションには、確かに非日常の刺激と面白さがございます。

私自身、オートバイでの移動がメインになってしまったり、流行り病もあったりと、今でこそ旅先でのコミュニケーションはめっきりと減ってしまいましたが、それこそまだ学生の時分には、そういった一期一会も旅の醍醐味として楽しんでおりました。

特に、鉄道列車のボックス席なんかは、まさしく一期一会の宝庫でございまして。

 

 

 

 

鈍行電車にゆらり揺られて一人、何とはなしに車窓を眺めていると、どこぞの駅で相席になります。

装いを見ると、どうにも自分と同じような旅人に見える。とは言え少しの気まずさもあり、しばらくはお互い、車窓を眺めたり手元の地図に目を落としたりと適当に時間を使いますが気もそぞろ。そうこうしていると大抵、どちらかが痺れを切らして、こう尋ねるのです。

「目的地はどこですか?」

と。

これが中々に優秀な質問でございまして。まま、だからこそ旅人は、示し合わせたかのようにこの質問を使うのですが。それが観光地であれば、もしかしたらあまり旅や旅行に行く機会が少ない方なのかもしれない。温泉地の名前があがれば、普段の社会生活に気苦労が多い方なのかも。駅名があがれば鉄道好きか、あるいは雑な全国行脚か。特に決めてない、や分からない、といった回答はウム、まさしく流離の旅人でございますね。……何だか格好いいので、私はそう答えるようにしておりましたが。

旅の目的というものには、背景にその人の人となりが、裏付けとなって張り付いているのです。

すなわち、なぜ旅に出るのかという問いは、AIには決して導き出すことのできない、人間らしさの極致と言えるでしょう。

さて。

冒頭の会話は、そんな数ある一期一会の一幕でございます。

確か新潟から山形へ北上するその車内でしたでしょうか。当時の自分より、四つか五つ程年上に見える青年との相席でございましたが、その会話が印象的で、どうにも記憶に残っているのです。

その青年は、境目に足を運ぶのが趣味なのだと、そう仰っておりました。県境に限らず、何かと何かを隔絶する、何らかの境界に行って自分の目でそれを確かめる。その為に旅をしているのだと。

「……ちなみに、理由は聞いても大丈夫ですか?」

「別に大した理由じゃないですよ。県境にしろなんにしろ、境界って地図の上にしかないでしょう。だからそれが、本当の境目はどうなってるのか自分の目で見て、自分なりの真実を見つけたい。それだけですよ」

「……はあ」

「ま、お互い気をつけて旅を楽しみましょう。それじゃあ、また」

私の半分程度の大きさのバックパックを背負ってボックス席を立つ彼の背中を見送りながら、当時の自分は、変わった人がいるもんだなあと失礼な感想を心に秘めておりました。そんなものを見て、何が楽しいのだろうか、と。まぁだからこそ、その会話を今でも覚えているわけですが。

それから数年が経ち。当時よりは多少、酸いも甘いも経験した、ある旅の道中にて。

それはそれは美しい、西の空に広がる夕焼け空を見ました。

 

 

 

 

 

水平線に沈む太陽が染める橙色の輝きのすぐ上にはほんの少しの空色が帯のように揺蕩い、そのさらに上から天上まで、群青の空が広がっている。かと思えば東の空はもう、夜の足音が忍び寄る黒色が、群青の中に存在感を強めてございます。

橙と青と黒。その3色が織りなす美しい黄昏の空。

そんな空を見てふと、思ったのです。

今は、昼と夜、どっちなのだろうか、と。

本来、世界とはグラデーションでございます。海と川、空と大地の境目を。春と夏、昼と夜の境界を、果たして正しく引くことはできますか?

似たような話は以前したことがあるやもしれませんが。言葉という文化を持つ我々人間が勝手にこの世界を区切っているだけで、本当はもっと、微分可能で滑らかな世界が広がっているはずなのです。そしてその全ての事象の間には、どちらにも属すことのない曖昧な世界が隠されているのです。上記の例で言うと、汽水域や黄昏がそれにあたるでしょう。

その曖昧こそが、本来の、原初の、あるがままの世界と言えるでしょう。

しかし、この効率化を求め世界をイチとゼロで表示する合理的な考えこそが重んじられるこの社会において、曖昧とは、時に答えになりえません。

昼か夜かの二者択一を問われた時に、黄昏であると答えれば、正誤判定は問答無用でバツになります。太陽が最後の力強い輝きを放ち、月がそっと顔をのぞかせる橙と群青の空の下で、それでもその空をどちらかに属させなければならないのです。

昼と夜という、二つの時間を隔てる線分を限りなく細くした上で、その一本を他でもない、自身の手で引かなければならない。

昼と夜の間の僅かな黄昏時。それでは今は、昼と形容するべきなのか、夜と銘打つべきなのか。

少し逡巡し、あの青年を思い出しました。あぁ、きっと、こういうことだったのか、と。

彼が語っていた、地図の上で県と県を隔てる県境。縮尺通りに見れば、幅は数百メートルにもわたる境界になってしまいます。

無論、そんなことはございません。現地に赴けば、県境標がその境を示し、或いは〇〇県といった道路標識が見て取れます。

しかし、それらが指し示す境目も、まだ厚みがあるのです。たかだか数センチ、数ミリメートルでございますが。ではその数センチ数ミリの県境の上は、どうなっているんでしょうか?

両県に属すのか、どの県にも属さないのか。いえ、そんな場所があっていいはずがありません。

この日本において、どの県にも属さない土地なんて存在しません。県境の線分とは本来、一厘たりとも厚みがあってはならないのです。

しかしそんなことは物理的に不可能です。真に厚みのない線分は、よしんば作ることができたとしても、不可視のラインになってしまいます。

故に。

そのどちらも許される曖昧な境界線上のミクロな世界において、真に世界を分つのは、その線分を引く自分自身に他ならないのです。線分を定めることに意味があり、その境界には、他の何にも劣らない強烈な自我と個性が顕現します。

そしてそんな自分が定めた境界を見返せば、そんな線分を引く自分自身がどんな人間なのか窺い知ることができるでしょう。

おそらく彼の旅とはきっと、真の意味で自分を探し、そして定める旅だったのではないでしょうか。

自分探しの旅、とは。よく言ったものです。

さて。

5月12日に時任執事とオリジナルカクテル”arlecchino del crepuscolo”をご用意いたします。

まるで黄昏の空を思わせるような橙と群青のカクテルを。

黄昏のカクテル、と銘打ってはございますが、ここは敢えて、二者択一でお伺いいたしましょう。夜のカクテルなのか、昼のカクテルなのか、と。

正解はございませんから、ぜひ自分自身のお答えを頂戴いただければ幸いでございます。

面倒やもしれませんが、何卒。arlecchinoなりの、遊び心でございます故。

一期一会

ご機嫌麗しゅうございます。
小瀧でございます。

春うららの季節が到来いたしましたがいかがお過ごしでしょうか?

私事ではございますが日本紅茶協会が認定している「ティーインストラクター」を取得いたしました。

去年の今頃から講習を受け、今年の3月に認定をいただく事が叶いました。

とはいえ、紅茶に関して知らないこともまだまだありますから、学び続けることを継続してまいります。

さて、そんな私でございますが5月の末にはフットマンとしてお仕えして3年が経過いたします。

一昨年、去年とエクストラティーをご用意させていただいておりましたが

なんと!

今年も!

ご用意させていただけることとなりました!

その名も「イチゴのタンゴ」

様々な経験を重ねた喜びを、才木と共に踊りで
いえ、イチゴと紅茶の味わいでお届けさせていただきます。

どんな味わいになるか、絶賛奮闘中でございます!

5月には新たなブレンドやアントワネットにブルームーン、時任と荒木田のカクテルに加え火野のミニバーもございます。

心が踊る出会いが盛りだくさんな予感がいたしますね?

またお戻りになられる時を皆でお待ちしております。

小瀧