幼いころ、母親の買い物について行ってはおまけ付きのお菓子をねだって買ってもらっていたことを思い出します。
伊織でございます。
気に入りだったのは、その形や種類がなんであれ、ちいさな組み立て式の人形がついてくる類いのものでした。
動物であったり車であったり、はたまたロボットであったり、お菓子の箱にさらにおまけが入っている箱が付随しているのです。
自分で作るというのがひとつの楽しみで、完成品のなにがしが付いているというより、組み立て式の方が喜んだものでございます。
なにぶん幼いころのことですから、自分で作ると申しましても立派な模型では手が出ません。飛行機や船など、よりにもよって難しいものに挑戦したこともございましたが、父の手を借りても上手にはいかなかったものです。
ですから、ほんの10手くらいで完成してくれるお菓子のおまけくらいが丁度よかったのでしょう。
できあがった動物やら車やらロボットやらは、少なくともその日の相棒です。
あちこりを走らせたり、宙を飛ばせてみたり、先日の相棒と戦わせてみたり、頭の中では様々な場面が映し出され、数え切れない効果音が鳴り響いておりました。
瞬間ごとに物語を作り、相棒たちにしゃべらせ、話しかけ、あして遊んでいた時間が今も執事歌劇団で筆を執らせていただいている原点であったのかな、なんて思うと興味深いものです。
昨今、雑誌のおまけが豪華になり、本とおまけのどちらが主役だかわからないなんて声を耳にしますが、わたくしからすればいつだって主役はおまけの方でした。
自身の過去を振り返ると、いやいや本が主役だろ、だなんて到底口には出せそうにありません。