決意と感謝

お嬢様、お寒い日々が続きますがお身体を壊されてはいませんか?

片倉でございます。
いつもなら動物や武器、雑貨のお話をするところですが少々お付き合いくださいませ。

この度、大旦那様のお許しを得まして御屋敷の美術品を修繕する技術を会得する修行へ赴く為旅立つ事と相成りました。
どんなに素晴らしくても、頑丈でも、思い入れがあったとしても物というのはいつか壊れてしまうもの。
新たなものを買えば済む…確かにそれはその通りです。
しかし、せっかく出会ったのも何かの縁…その縁まで失ってしまう様な感覚が少々寂しく思いましてこのような決心した次第でございます。

御屋敷の門を叩いて気が付けば3年が経っておりました。
長くも短いこの期間
お嬢様、お坊ちゃま、奥様、旦那様のお給仕をさせていただいた日々…外の世界であった喜怒哀楽に溢れたお話、今まで触れたことの無い知識や体験、どれも刺激的で使用人の分際で身に余る程楽しい時間を送ってまいりました。

こんなにも楽しい日々を送らせて頂いたのに私からは何一つお返し出来ていないのが歯痒く存じます。
せめて感謝の気持ちだけでも送らせてくださいませ。

本当にありがとうございました。