夏が始まります。

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

七月。
いよいよ夏の始まりでございます。

 

海水浴、川遊び、スイカ割り、山登り、バーベキュー。
盆踊り、花火大会、夜店の焼きそば、綿あめ、トウモロコシ、ヨーヨー釣り、金魚すくい。

油断していると、たちまち溶けていくアイスキャンディー。
透き通った小鉢に、山盛りのかき氷。

高原の避暑地、涼しい夜風に吹かれながらの読書。
余興に語られる恐ろしい百物語。

大輪のひまわり。
水辺を彩る蛍の光。
天空に横たわる天の川。

 

思いつくままに、夏の楽しさを連想する言葉を挙げてみましたが、まだまだ尽きません。
早くも先月の末あたりから、本当に暑い日々が続いております。
ついつい億劫になりがちではございますが、こうして連想を繰り広げていきますと、やはり夏は楽しいものなのだな、という実感が湧いてまいります。

心躍る日々は、これから数か月は続くことでございましょう。
お嬢様方、照りつける日差しなどにめげることなく、楽しく毎日をお過ごしくださいませ。

 

ただし、海や山などへお出かけの際は、くれぐれも事故に遭わぬよう、用心のために、必ず使用人を護衛にお連れ下さいますように。
いくら楽しい夏とはいえ、あまりにも開放的になりすぎず、淑女らしい立ち居振る舞いをお忘れなきよう、こちらも重ねてお願い申し上げます。

 

それでは、紫外線や熱中症の対策はくれぐれも念入りに、どうぞご自愛くださいませ。

 

日誌

お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様、ご機嫌麗しゅうございます。
久保でございます。

お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様、今年も七夕の飾りつけをしておりましたところ、
「願いごと書きましたか?」と、ふいにお声をかけられまして。

はい、、、書いておりませんでした。
短冊を目の前にして、固まってしまったのでございます。

昔は「背が伸びますように」とか「俊足になれますように」だとか、
ぱっと浮かんでいたのですが……どうにも筆が止まってしまいました。

今の自分は、何を願いたいのか、、、
ありがたいことに、笑って過ごせる場所があって、お嬢様がおられて、
それだけでも十分すぎるくらいだと存じております。

けれども、それでは「満ち足りている」と言いきれるのかと言えば、どこかで「もっとできるようになりたい」、「お嬢様の役に立ちたい」と、欲が顔を出す。
成長したいとか、笑っていただきたいとか、
あともう少しスマートな給仕をしたいと。

人の心は、満足と向上心のあいだを行ったり来たりしているのでございますね。

まるで、冷房の温度設定のように。上げては下げて、また戻って。

結局、悩んだ末に書いたのは、

「今日も、心から笑って過ごせますように」でございました。

答えのない問いを抱えながらも、笑って前に進めるのが人間の良さだと、そう信じております。

それではお嬢様、長い夏が始まったばかりでございます。
くれぐれも体調にはお気をつけてご自愛くださいませ。

夏の避暑を考察する

敬愛せしお嬢様へ

真夏を先取りしたような夏日が続き、庭師もなかなかに庭園の維持に奔走しているようでございます。
お嬢様におかれましてはご健勝であられましょうか。

暑い暑いと茹ってしまう日々ではありますが、嘆いたところでこれも季節の定め
あと数ヶ月は逃れることのできぬ運命でございます。
こと、使用人たちにつきましては勤めの命ともいうべき燕尾服やモーニングコートを着用しておりますゆえ、暑さへの対策もそれなりに要するところ。

それぞれの小さな工夫がお嬢様のお役に立つこともあるやもしれませぬゆえ
此度は「夏の暑さに抗するちょっとした工夫」の数々と、その有効性について綴らせていただこうかと存じます。

近年の使用人たちが真夏によく利用しておりますのが、「メントール」でございましょうか。ハッカなどの成分が含まれていて、スーッとした涼感を感じることができるものでございまして
スプレーやウエットティッシュ形式など、さまざまなスタイルがあるようでございます。

燕尾服の内側やシャツに振りかけておくこともでき、デオドラント効果も期待できるため
愛用する者もよく見かけますが、欠点を挙げるなら「効力は人による」というところでございましょうか。

ハッカ成分の蒸発時に若干の放熱効果は望めるものの、この手段がもたらす涼感はメントールの刺激が冷涼感に「似ている」というものであり、実際に温度が下がっているわけではございません。
そしてこのメントールの刺激は、個人によっては涼感というより痛みや、ことによっては灼熱感と感じてしまう方もいるため、逆効果になってしまうこともございます。
メントール系の品を暑さ対策に用いる場合は、事前のパッチテストが必須というところでございますね。

時任的には、ミントの清涼感はカクテルにおいては重宝いたしますが、肌につけるのは遠慮したい派でございます。

上記メントールに似た即時効果が望めるものとして「アルコール」がございます。
飲むわけではございません。
暑さが辛く体が火照る時など、アルコールを少量、腕や首筋などに噴霧あるいは塗布することにより、即座に気化するアルコールによる放熱効果を得る方法です。
衛生面でも効果が見込めますが、メントールと比べると即座に気化してしまうため持続性が無いことと、やはりメントール同様体質により可否が分かれるところが欠点でございます。

また、髪やお召し物に付かぬよう注意も必要でございますね。

一方、
やはり塗布する系統は頼れぬと、一部派閥が愛用するのは耐暑用のインナーでございます。
肌に触れた時の感触が非常に涼しげなもの、あるいは汗に触れたときなどに蒸発しやすく放熱効果を補助するものなどが世の中に開発されております。

シャツの内に着れば良いだけですので、扱いも非常に簡易でございますが、この方策の反対派意見としましては「そもそも一枚多く着ているので暑い」という本末転倒な問題点でございます。
‥まぁ、ごもっともでございますね。

大技として、このインナーシャツを冷蔵庫などで冷やしておいてから着るという技もございます。
が、衛生的観点から、個人所有の冷蔵庫でしかできませんので難しいところでございますし、これもまた持続性という点では全くもって駄目でございます。

お召し物を用いたテクニックとしては、涼感とはまた異なりますが
日本古来の技として「胸部を強めに圧迫するように服を着る」と、発汗や暑気を抑えられるという口伝がございます。特に、和服を着られる方などはお聞き及びではないでしょうか。

日本古来の口伝という繋がりで申しますなら「呼吸法」というものもございます。
暑気や発汗を抑えるには、呼吸を浅く広く、、、有り体に申せばすごく静かにゆっくりと呼吸をすると、暑さを感じづらいなんて言もございますね。

この胸部圧縮と呼吸法は、時任が我が身で試してみましたところ
プラシーボ効果を加味してもなお変化が見られる程度には、効果があるようでございました。
‥ただし、非常に息苦しいので、暑いか苦しいかを選ぶというかなり自虐的な選択肢になってしまうのは否めないところでございます。

などなど、諸方考察してみましたが、やはり物理的な空調や扇風機に勝るものはなさそうでございます。
大分以前に、ベルトの背中側に装着できる小型扇風機というものを発見し、フットマンたちに支給できないかと検討したこともございました。
背中から首筋にかけて風を抜けさせてくれるため、大変心地よく涼しい優れものでございましたが、お屋敷サロンでテストしましたところ常に「ゔぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん」という機械音が響き渡り、メカフットマンにでも改造されたのかという有様になっておりましたため、残念ながら頓挫しております。

メカフットマン、、、、少年心をくすぐる響きでございます、、、。

使用人たちもこのように、万策尽くして見苦しくなきようお嬢様方をお迎えさせていただいておりますが、
何よりお外の世界へお出かけなさっているお嬢様方が暑さに苦しんでおられないかが我々の最大の心配でございます。
どうか策を尽くして涼しく心地よく、何より健康にお過ごしくださいませ。

もちろん、そのためにもティーサロンにていつでも
涼しいお席と爽やかなお茶をご用意して、お戻りをお待ちしております。

 

 

 

、、、、、、メカフットマン、、、、、良いなぁ。