感謝と謝罪

健やかにお過ごしでいらっしゃいますか?
宗近でございます。

お屋敷に参って二か月余、時々お嬢様にお声をかけていただけることがございます。

「宗近はそろそろお屋敷に慣れてきた?」
「頑張りなさい。」

と、お気にかけていただくお言葉です。
かような温かいお心遣いを賜るたびに一層励まねばと、とても気持ちが前向きになります。
ありがとうございます、お嬢様。

そしてまだまだ未熟な私が執務を遂行できるのは、折につけ気に留めてくださる使用人の方々のお力添えが大きく感謝の念に堪えません。

私は素晴らしいお屋敷にお仕えできておりますね。

 

またお仕えするなかでお嬢様より多く賜るもう一つのお言葉がございます。

「宗近は何か音楽をやっているの?」

恐らく私の風貌が音楽の教科書に掲載されている楽聖のお姿を彷彿とさせるせいもあるかと存じます。

……お嬢様のご期待に応えることがかなわず大変心苦しいのですが……。
私は楽器演奏、創作等の才能、技術は幼少の頃より皆無でございました。
非才の身をお赦しくださいませ。

しかしいつの日かティーサロンに据えられたピアノでお嬢様のお心を癒して差し上げることを目標に、まずは次の賜暇に何か楽器でも探してまいりましょう。
まずはカスタネットあたりから。

霊感

残暑厳しい毎日でございますが健やかにお過ごしでしょうか?
宗近でございます。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉も過去のものになりつつあるのかもしれませんね。

まだまだ暑い、暑いといえば怪談、ということで先日、落語の「死神」を聴いてまいりました。
米津玄師さんも歌にされていますのでお嬢様もご存知かもしれませんね。
少し肝が冷えるオチが昔から好きな落語の一つでございます。

そんな怪談話が好きな私でございますが、実は幼い頃より霊感はまっっったくございません。
霊を見たことも、金縛りにあったことも、ブラウン管から髪の長い女が這い出てきた経験もございません。

それならば霊は怖くないか?というと真逆でございます。
見たことはございませんが存在する気がしておりますので余計怖いのです。
夜の心霊番組は録画して午前中に観るようにしております。

それゆえにお嬢様、私めには決して真実味のある怖いお話はなさいませんようお願い申し上げます。

ごあいさつ

初めてご挨拶させていただきます。
ご縁あって大旦那様より執事のお役目を賜りました 「宗近」(むねちか) と申します。

お屋敷に参ってまだ日の浅い私ですが、使用人の方々の熱意と愛情に満ちた姿勢から大旦那様はじめ奥様、お嬢さま、お坊ちゃまのお人柄の素晴らしさを感じております。

皆さまにお仕えする者の末席に連ねていただける誉れに恥じぬよう、日々努力してまいります。
これからよろしくお願い申し上げます。