冬に向けてのささやかな趣味

敬愛せしお嬢様

毎年のことではございますが、10月に入る頃はまだ夏の香りが残っておりますのに
月の終わりが近づく頃には、冬の足音が近づいているのを感じますね。

年々に秋が短くなっているとは聞き及んでおりますが、こうも急に冷えて参りますと
お嬢様がお風邪など召さないか心配になってしまいます。

お嬢様が寒い日に暖かくお過ごしいただけるよう、この時期はよくホットカクテルのご紹介をしておりましたが、此度は趣向を変えまして

「出汁」についてご紹介しようかと存じます。

和食にさまざまお使いいただける出汁。
鰹、煮干し、椎茸、昆布など材料もさまざまでございます。
お料理の調味料の一つとして、お味噌汁やうどんやお吸い物、茶碗蒸し、卵焼き、果ては炒め物やお鍋なども段違いに美味しくしてくれる「出汁」は、
今日日お湯に溶かすだけで使用できる顆粒状のものなどもありお手軽でございます。

それらも使いやすく美味しく良うございますが、あえてそこをもう一手間
原材料から自ら抽出して手作りいたします出汁は、一層にお料理の味を深めますゆえ大変おすすめでございます。

もしかしたら何時間も煮込んだり複雑怪奇な手順を想像なさるかもしれませんが
案外と、出汁を作るには原材料を10分程度煮込むぐらいで十分なものも多うございます。
しかし10分間煮込むというのも、分単位でご多忙であられるお嬢様にとっては難しいのかもしれません。

そんなお嬢様、ご安心くださいませ!
今宵、私がご紹介するのは、そんな煮込む手間すら必要ない「水出し」でございます!

手間がさらに少なくて、しかもひと晩かけてじっくり抽出するため、お味が奥深くも優しくクリアなものとなり、お出汁料理のお味をさらに高みへと導いてくれるのです。

作り方はあら簡単。
タッパーなり冷水筒なりの入れ物をご用意いただき
おおまか1リットルのお水に、25g~30gほどの材料(カツオ節、昆布、煮干しなど)をお入れいただき、ひと晩そのまま冷蔵庫に入れておくだけでございます。
(干し椎茸は500mlに対し椎茸4つぐらいがよろしいようです。)

おやすみ前にさっと仕込んでいただき、お目覚めの頃には完成です。
あとは材料を抜いて完成した出汁を冷蔵庫でとっておけば
いつでも最高のお出汁をお料理にお使いいただける寸法でございます!

あ、でもそれぞれ、こうすると一段と美味しいという小技もございます。
・昆布は表面のぬめりや汚れは拭き取っておくと良いです。白い粉やつぶつぶは逆に美味しさの元なのでそのままで大丈夫でございます。
また昆布は「なるべく刻まない」のが美味しく作るコツでございます。

・煮干しはできれば頭を取ってやったほうが苦味が出ません。
ご面倒ですが、さらに腹わたも取ってやりますと、煮干しの澄んだ旨みだけが味わえる最高の出汁に仕上がります。
また、煮干しは漬け込む前にちょっとだけフライパンで炒ってやるといっそう深みある味わいになります。

・また、どのお出汁も水出して漬け込むのは8時間ぐらいです。
これを越えますと雑味や苦味が出てきてしまいますので、寝過ごし要注意でございます。

ぜひこれらを参考に、お料理などもお楽しみくださいませ。
お料理以外でも
晩酌のお供に、日本酒や焼酎の出汁割りを作りますと、お体が暖まり素敵でございます。
なお、時任はドライジンの出汁割りもかなりお気に入りでございます。

 

 

何より最高なのは
鰹出汁や煮干し出汁は、猫たちにとっても最高のおやつになるところでございます。
ちょっとだけ掬ってあげて、愛猫たちと盃を交わす癒しタイムも良うございますね。

(猫のおやつになさる場合は、必ず無塩の材料をお使いください。
また、無塩でお造りになった場合も、あくまで嗜好品・オヤツとして、与えすぎにならないようお気をつけくださいませ。)

 

それではお嬢様、良き出汁ライフをお送りくださいませ!