皆が見ている…

5月24日の金澤の日誌を読んで目頭が熱くなった百合野でございます。

使用人達をサッカープレイヤーに例えていただいたり、歌劇団の歴史を語ってくれたり。
嬉しゅうございますね。

使用人の立ち位置をサッカーのポジションで例えると確かに歌劇団はFWポジションかと存じます。

お屋敷の名を背負って外での音楽舞踏会などに参加させていただいて、お呼ばれされるパーティー等ございましたら我々が顔を出させていただいております。

ですので、皆様から見られるお屋敷の『顔』と例えられてもその名に恥じない様、努めているつもりでございます。

しかし、使用人はティーサロンや本邸でのお給仕の姿勢もお嬢様への忠誠の一つとなります。

安心してお食事を楽しんでいただいたり、時に紅茶やカクテルのデモンストレーションなどを行うパフォーマンスも。

そちらを表現出来るのは紅茶部やビバレージユニットのメンバーしかいないと存じております。

そしてゴールキーパーと表現しておりましたが…

フットマンの時は、つい見落としがちな食器の下げ物や洗い上がりの補充などに気を配り。

ドアマンの時は、ティーサロンの流れを予測し気を配りながら執事に案内し。

シェフとフットマンの架け橋となるマスターオブサーバンツホールを担う時は、それぞれのフットマンの動き方を把握しつつ指示を出してくれる。

おまけに紅茶係の時はお嬢様の好みに合わせたレシピコントロールをし、それぞれ紅茶の特性を把握しながら淹れられる使用人…。

金澤さん…
貴方はゴールキーパーには留まりませんよ。

使用人の皆はきっと貴方のそんな『背中』を見て尊敬しております。

私もその一人でございます。

だから安心してください。

ゴールまでボールは運ばせませんから。

古谷でございます

窓の向こうから響く雨音。

しとしとと聴こえてくるこの音色が、まどろみの中でも耳を伝い、どこか朧げに流れてゆく。そんな夜もそろそろ多くなって参りました。

6月の空に映る月は今宵も、まるでかの楊貴妃がこよなく愛したパールの如く、銀白の煌めきを真珠の粒のように地上にこぼして輝いているようです。

地上では水無月を彩る、それはみずみずしいまま咲く紫陽花の花。

この花もそんな月明かりをたっぷりと浴び、雨夜に映えるほどに艶やかで美しい色を魅せてくれます。

そんな景色を窓を開いて眺めていたら、気づけば夜もすっかり更けてしまいました。

降りつづく長雨により、今宵もどこか肌寒い夜になりそうでございます。

オヤスミ前のカクテルは、じめじめとしたこの頃をしばし忘れさせ、6月のしっとりとした風情が垣間見れるような。そんなグラスに致しましょう。

心身を潤わせ、冷えた身体を温め、美容にも良いとされる。それは旬の果実ライチのリキュール。すっきりとした爽快な口当たりをお贈り致します。

「China Blue-チャイナブルー-」

その神秘的な色合いを見つめ、グラスにひろがるハーバル系の香りをたっぷりと吸い込み、すっきりとした喉越しで今日の疲れを癒して頂きましょう。

「Violet Fizz-ヴァイオレットフィズ-」

今日はいつもよりもほんの少しだけ。外の雨音に耳を傾けながらじっくりとグラスを飲み干してみてください。そして、どうか今宵も良き夢を観れますように。

古谷

寛ぎながら戯れ言

敬愛せしお嬢様へ

時任でございます。
本当に春はどこへ行ってしまったのでしょうか。
昼夜の温度差激しい日々が続いておりますゆえ、お嬢様におかれましては身体にお気をつけ頂き、如何に暑く感じられる日でございましてもまだまだ上着はお忘れなきようにお願い申し上げます。

さて、今宵も拙き言葉を紡いで参りますが、子守唄がわりと思って頂ければ幸いでございます。

誰しもなぜか心安らぐ場所というのはございますね。

それが子供の遊ぶ公園であったり、古びた香りの和室であったり、木漏れ日のある森の中だったり…それは人それぞれですね。

お人によっては、うず高く本の積まれた書庫だったり、機械油香る車のガレージだったり、愚者のカードのごとき高い塔のてっぺんだったりするでしょう。

時任にとってのそれは、夜の街でございます。
幼い頃から夜に縁深かったこともございましょうが、夜の雑踏の中に身を浸しておりますと、どんなに心身がえぐれていても泡と溶けるように痛みが消えていくように思えます。

別段、夜遊びが好きなわけでも、騒ぐのが好きなわけでもございません。
衝撃の告白をいたしますと、酒を飲むことそのものも好きなわけではございません。作るのは好きですが。
ただ、夜の街という空間に、静かに身を浸しているのが好きなのです。

お嬢様がたも、自分だけの安らぐ場所というものは、大事になさいませ。
ナポレオンは必要最低限の休息しかとらなかったと言われますが、人に休息は大事でございます。

叶うなら、お屋敷がお嬢様にとって安らげる場所であればと願いますし、そうあるように尽力して参ります。
その活力を養うためにも、今は暫し、夜に身を隠すことをお許しくださいませ。

古いジュークボックスの音色に人々のざわめき。飴色のカウンタによく似合う無骨なロックグラスにはロンサカパを満たしてちびちびと舐めて。
ああ、落ちつきますね。

…あ。猫を膝に文字と戯れているこの時間も好きですよ。
だから私の膝で爪を研がないでください。
あと勝
手にリターンキーを押すのもや
めなさい。
あ、こ
ら、やめ

なさい

って。

ょ。

…ああもう。
おやつあげますからもう寝ましょう。
明日も頑張りましょうね。
あなたのお陰で、私は明日も頑張れますよ。

ペンギン

お嬢様、お坊っちゃま、ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

近頃は、すっかり暑くなって参りまして、
梅雨の足音が、ポツポツと近づいてくるのを感じます。
くれぐれも突然の雨には、お気を付け下さいませ。

とはいえ、嫌なことばかりではありません。
初夏の気候は、お出かけにはぴったりでございます。
ただ残念ながら、この一カ月ほどは、恐らく雨も続くことと存じますので、
ふと羽を伸ばされるのなら、屋根のある場所がようございましょう。

そのような時、私はよく水族館に参ります。
明るすぎない綺麗な照明と、涼しげな水の温度、
のんびりと泳いでいる生き物達を鑑賞するのは、
何とも優雅な時間でございますよ。

その中でも、とりわけ、ペンギンが好きでございまして。
あの白と黒の可愛らしいフォルム。
寝ているのか起きているのか分からない、緩さ。
可愛らしゅうございます……。

水族館で、よく飼育されておりますのは、
マゼランペンギンやフンボルトペンギンという、
中型(体長70cm程)のペンギンが多うございまして。
最もポピュラーなコウテイペンギンは、
大きいものですと、130cm! とっても大きゅうございます。
ちなみに私が好きなのは、イワトビペンギンでございます。
頭部の黄色の飾り羽が特徴の、凛々しいさが特徴的です。

いつも、一度水槽の前に参りますと、
20分でも30分でも眺めておりますので、
外に出れば、暗くなっていることもしばしば。(私の話ではございますが)

先ほどから、暑い暑いと申しておりましたが、
昼と夜との温度差は激しく、
少々肌寒さを感じる時もございますので、
くれぐれもご自愛くださいますように。

それでは、どこからか私を呼ぶ鳴き声が
するようでございますので、
本日はこれにて失礼致します。
……あれは何ペンギンでございましょう。

才木

甘酒のアイス

雨に映える紫陽花の花も美しい季節となりました。
お嬢様、如何お過ごしでしょうか。

今回はお嬢様にお知らせでございます。

6月17日より6月の末日まで私が考案致しました「甘酒のアイス」がご提供出来るようになりました。

日本の伝統的な甘味飲料をアイスクリームとしてアレンジした一品でございます。

梅雨のこの季節は湿度が多くなり体調を崩される方も多く、この時期に豊富なビタミンB群(B1,B2,B6,ナイアシン等)やナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン等のミネラル、またオリゴ糖・食物繊維を含む甘酒を材料としたアイスクリームでお元気にお過ごしいただければ幸いでございます。
是非ご賞味くださいませ。

それでは、お帰りをお待ちしております。