3月

この日誌をしたためる今、
世間では早咲きの河津桜や寒緋桜が咲いております。
この日誌が主人のお元に届く頃、
きっとソメイヨシノも咲き始めるでしょう。

お嬢様、おぼっちゃま、
奥様、旦那様、
ご機嫌麗しゅうございます。
山岡でございます。

行く月、逃げる月が過ぎ、
去る月になりました。
今年の六分の一が終了いたしましたが
主はいかがお過ごしでしょうか。

きっと皆様にとって
あっという間に過ぎた事でございましょう
この2ヶ月、
私も例に漏れずでございました。
特に16日から始まりました、
シャンデリア新調の為の長期休館。
私にとっては
休みなんてものではございませんでした。
いい意味で。いえ本当にいい意味でです。

長期休館の間、
東武百貨店の催事にお屋敷が参加させて頂き、
25日まで開催しておりました。
お屋敷としては何回目なのでしょう、
もう 東武 催事 常連
といった所まで池袋のひとつの文化になったのかも知れませんが、
山岡個人としては
今までお仕えさせて頂くご縁がございませんでしたので
(歌劇団の野外ステージのお手伝いは
省いて話しております)
初めてあのような形式のお仕えをさせて頂いたわけです。
何なら今となっては当たり前となった、
「新人の使用人が修行期間中一度、
ギフトショップにてお嬢様方にお仕えをさせて頂く」
という風習すらギリギリ通っていないのでございます。

まず真っ先に思うのは、楽しい。
楽しいと言うと語弊を生むかも知れませんが、
いつもとは違う、環境、景色。
いつもとは違う内容のお仕え。
新たな出会い。まだティーサロンへお戻りなさったことのない方へのきっかけ。
そして慣れぬ環境でお迎えさせて頂くお嬢様方への安心感。
誰が誰に甘えているんだという話ですが
実の所本当に楽しくも心細い中、
お嬢様方ひとりひとりのお顔がお姿が見えた瞬間の、
「はぁー!いらしてくださったんですね!!!」
のあの感覚は正真正銘真っ直ぐお伝えしたい明るい感情であり、悪い感情では全くないです。
日頃の感謝を改めて思い直す機会でございました。
本当に沢山の方が足を運んでくださって、
ありがとうございました。
勿論お手に取って頂いたお品を楽しんで頂きたい気持ちと、
お味のご感想をお待ち申し上げておりますという気持ちと、
この日誌をご覧下さっているお嬢様おぼっちゃま奥様旦那様の中に、あの日お仕えさせて頂いた上でまだティーサロンへお見えになられた事が無い方は、
是非、ティーサロンでもお待ち申し上げております。

最後に、二月中に出会った浅煎りコーヒーのお話を。
お品の名は「マスカット ブルーム ナチュラル」
ミャンマーのコーヒー豆でした。
マスカット ブルームというのは
所謂ティスティングノートのようなものです。
本当にフルーティでマスカットのような香りを持っていました。
ナチュラルというのは製法の事です。
いつか詳しくしたためさせて頂きます。

何に惹かれたかと言うとその流通について。
このコーヒー豆が生産された土地はまだインフラが整っておらず自給自足の暮らしと、
生計の農業も、家族栽培で成り立っているそうです。
そんな土地から日本まで色んな支援を経て流通が叶い
私が出会った豆屋さんに並んでいたわけです。
なんだか凄く感銘を受けました。
この2026年令和の何でも簡単に手に入る便利な時代に、
世界のどこかではまだそうではない土地があり、
そんな場所で作られた素敵なコーヒー豆と出会い、
実際手に取ってみたらそれがとても美味しくて、
コーヒー豆は生物であり、
それを作っている方はどこかの国の顔も存じ上げない人で、
そういう方々のおかげで今日も美味しいコーヒーが飲めているということを改めて思ったわけです。
これはきっと紅茶も同じでございますね。
当たり前に食べられているもの、飲めているものが、
実は人々の繋がりによって成り立っていて
全然当たり前ではないという事を、
これから目の前にある数多のものに対し
思っていきたいと存じました。

かなり話の規模が大袈裟になってしまいましたが、
三月の便りは、これにて失礼させて頂きます。

またティーサロンでも、
お戻りをお待ちしております。