春眠暁を覚えず、処処啼鳥を聞く、に続く節をどうも思い出せません。
ランニングを習慣にしたからか、朝の目覚めがよい能見でございます。
お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
しばらくで、お屋敷が創立して二十年の月日が経とうとしております。
その歳月の中で一言では申し上げられぬ、様々なドラマがありました。
私のいち使用人としての身を置く場所の変容も多くございました一方、
お屋敷自体が、そして世間を取り巻く環境が大きく変化いたしました。
その日ごとに変わりゆく時代の容赦ない濁流に飲み込まれることなく、
今もなおこちらのティーサロンを存続することができておりますのは、
まぎれもなく、お嬢様がお屋敷を愛してくださったからでございます。
改めましてこの場をお借りいたしまして、深く深く感謝申し上げます。
お嬢様が安心してお戻りいただける大切な居場所をお守りするために、
これからも使用人一同、誠心誠意お仕えいたします。
二十一年目を迎えるお屋敷を、そしてそこでお仕えする使用人を、
どうかあたたかく見守ってやってくださいませ。
歴史の節目に立ち会うことができまして、幸甚に存じます。
誠にありがとうございました。そしてこれからも。
能見