アスファルトから生成される陽炎を眺めて、都会のオアシスへの幻想を抱きます。
冷夏の予想はどこに霧散したのかと大変嘆かわしく感じている能見でございます。
お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
空調の効いた執務室。どれほどの時間、ここにおりますでしょうか。
先ほど淹れたばかりの、アイスティーの氷の溶ける音がいたしました。
執務室の窓から見える庭園でアポカリプスのように叫ぶ蝉時雨を聴きながら、
今年の夏はモルディブよりもアカプルコに行きたいなと、空想しております。
私がこちらの日誌で何度も赴きたいと申しております常夏の島、モルディブ。
時が止まったような、絵画の中の世界。それがモルディブの海の美しさです。
日常の窮屈さや息苦しさを忘れて、のんびり優雅に過ごすことのできる場所。
私の中で勝手に作り上げた主観丸出しのモルディブのイメージでございます。
一方でアカプルコはメキシコ南部にあります美しい海と緑溢れるリゾート地。
モルディブが静だとすれば、アカプルコは動。活気あるビーチが特徴的です。
奏でられるマリアッチを聴きながら、踊り明かす夜も魅力的でございますね。
治安がよいとは言えませんが、非日常を味わうこれ以上の場所はございません。
お嬢様は今年はどちらの避暑地へお出かけでしょうか。
数多のお土産話を楽しみにお待ち申し上げております。
能見