ひまわり

まだ梅雨明け前というのに、夏さながらの毎日が続いております。
吹きつける風が、真綿のような体積を持っているように感じられるのは、ひとえに湿度のなせる業なのでしょう。まとわり付いて、払えどもはらえども拭いきれない湿った風が、流す必要のない汗まで滲ませるようです。

湿度に耐え切れぬ忌まわしいクセ毛を短く刈ってまいりました伊織でございます。

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姫睡蓮

寒暖の起伏激しい日々が続き、幾分梅雨の到来を予感させるような雨も続いております。
急な白雨にお体を冷やされませんよう、十分にお気を付けくださいませ。
伊織でございます。

そろそろ衣替えの時期かと思い立ち、引き出しをひっくり返している最中に突然の雨。
まったく気のおけない毎日でございます。
そんな中、ふと開いた整理箱の中から古い日記帳が出てまいりました。

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待ち人、去る

日にひに温みをまし、街ゆく人々の衣の色も明るみを
まして参りました。
わたくしもようやく、分厚い外套を手放せそうです。

執事歌劇団も順調に舞台の稽古を積み、その成果に
笑みをもらす毎日でございます。
まだまだ望む高みには遠ございますが、公演の日には
きっとご満足いただける仕上がりになっていることでしょう。
少しでもご興味をお持ちいただけたなら、ぜひとも
執事歌劇団のホームページもご覧いただければと存じます。

ファーストフラッシュとの出会いが待ち遠しい、
伊織でございます。

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春の気配は東の果てへ

冷たい風が爪痕のつくほどにこの肩を鷲づかみ、
逃げ行く春を追うことを決して許そうとはいたしません。
暦はあらがう術を知らずに、風のなすまま、
そのうすい皮膚をめくり剥がされております。
ただ、暖かな春陽に包まれて盛る花々を眺めていたいだけですのに、
いまだ冷たい風はわたくしの肩に青痣を残そうと爪を立て続けるのです。

お嬢様の身には何事もなきよう、冷たい風の意地悪はわたくしが
代わりにお引き受けいたします。
ご機嫌いかがでしょうか。伊織でございます。

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風花

もう随分と以前のことでございますが、学生の時分に英作文を
認める授業がございました。
文中に「風が光る」という表現を織り込みましたところ、
「風は光るものではない、吹くものだ」と、苦笑混じりに指摘
されたことが印象に残っております。

英語にそのような表現が存在するのかどうか、わたくしの知識
では知るところではございませんが、雪を花にたとえて表すことの
できる言語を第一カ国語として生まれたことを嬉しく思います。

どうも東京に降る雪は、美しい情景よりも現実的な悩みばかりを
思わせてなりません。
お足元には十二分にお気を付け下さいませ。
伊織でございます。

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耳をすませて

わたくしの好みの花のひとつである水仙が、花壇を水辺を
彩っております。その細い首もとにまつわる冷たい風が、
暖かな季節を迎えるまでに、今しばらくの辛抱が必要であると
教えてくれました。

暖炉の火はまだまだ絶やすわけにはいかないようです。
新しい薪を補っておきましょう。
伊織でございます。

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寒を楽しむ散歩道

めくる暦も残りが知れて参りました。
そこかしこで年の終わりが叫ばれておりますが、忘れて
ならないのは迎える年の準備でございます。
終わりと始めがともにやってくるこの時期、師走とは
よく言ったもので、わたくし共フットマンのみならず、
執事連もまた足早に廊下を急ぐ姿を目にいたします。

にぎやかさを増す街路にお疲れでしたら、温かな紅茶で
一息お休みくださいませ。
いつでもお帰りをお待ちしております。
伊織でございます。

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