耳をすませて

わたくしの好みの花のひとつである水仙が、花壇を水辺を
彩っております。その細い首もとにまつわる冷たい風が、
暖かな季節を迎えるまでに、今しばらくの辛抱が必要であると
教えてくれました。

暖炉の火はまだまだ絶やすわけにはいかないようです。
新しい薪を補っておきましょう。
伊織でございます。

見上げれば、冬晴れの空に椿の朱色、蝋梅の黄。
満作はまだ控えめにつぼみを割ったばかりでございます。
少しずつにぎやかさを取り戻してきた裏山ではございますが、
うぐいすの姿がいまだ見えないところを鑑みますと、なるほど、
鶯宿がへそを曲げて花開かぬのも納得せざるを得ませんか。

年を明け、まもなく一月が終わろうとしております。
まったく時計の針という物は仲がよろしく、一丸となって
仕事に励んでいるものですが、時にはちょっと仲違いさせて
やりたいなんて、悪い衝動に駆られてしまいます。

あれよという間に花菜が咲き、沈丁花が匂うのでしょう。
この春、先に声を聞くのは春告げ鳥か夢見の鳥か、枝の下で
耳をすませているのも、寒を楽しむひとつの作法でございましょうか。