深淵を覗く者は

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木にございます。

今年もハロウィンの時期がやって参りましたね!
皆様とパーティーをというのは、
時節柄難しいようです……。

「さあ、サーカスの開幕です」

わあ、誰だお前は。

「我々アクトパスサーカスが、
皆様の楽しい時間をお約束致します」

大旦那のはからいで
今年はホームパーティーならぬ、
ホームサーカスということで。
お屋敷の庭園の仮設テントにて、
ショーが催されるとのこと。

何やら怪しいヤツらですので、
注意は必要かと存じますが、
存分にお楽しみくださいませ!
変わったことがあれば、
すぐにご報告ください。

「しかし、一つだけお約束を。
我々のことはどうかお気にせずに。
例え何者であろうと、皆様には意味の無いこと。
闇夜に紛れ、うつろい、うたかたに消えゆく幻を
当てどなく、為すがままに、お楽しみください。
覗くことなく前を見て、
呑み込まれないようにご注意を。
我々は、いつでも、見ております」

存分にお楽しみくださいませ。

才木