春うらら

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木にございます。

春になりますといつも頭に浮かぶのが、
春眠暁を覚えず、という言葉です。
お務めがありませんと、
どちらかと言えば
コアラ的な生活リズムの
私でございますので、春だから、
などと言うのは言い訳に近いのですが
気持ちのいい気候の中でまどろむのは
何にも代えられないものがございます。

これにのんびりした散歩の時間や
木漏れ日の下での読書でもあれば、
それだけで有意義な人生だと思えるなと感じるのですが、
時節がら高望みなのが歯がゆいところです。
せめて部屋のカーテンを開けて窓辺で
のんびりと過ごすぐらいはしたいものですね。

自粛の末の我慢というのも中々辛いですから、
気持ちだけでも前向きでいたいものです。

春の朗らかな気候の中で
まどろみを感じながら一読なさるのでしたら
「不思議の国のアリス」シリーズがお勧めです。

不思議の国と鏡の国の二作品がございまして、
少々難解に感じる部分もありますが
教訓や哲学のようなものではなく、
ただ童話の世界に浸ってお読みになるのがよろしいと存じます。

特に「鏡の国のアリス」は新鮮味もありながらも、
色々な創作作品のモチーフになる
センテンスが登場するので、
中々面白く感じられるかと存じます。

物語としてもチェス盤のモチーフですとか、
鏡の中なので全てが反転しているですとか、
基本的な世界観が分かり易いので
より世界観に浸って頂けるのではないかと。

生きておりますと様々な雑事が頭の中を巡りますが、
カラッポになる瞬間と言うのも、きっと大事です。
頭を悩ますことが多い昨今ですから
是非、無意味なことをしてみてください。
不思議の国のアリスの
有名なティーパーティーのシーンでは、
「アンハッピーバースデー(なんでもない日おめでとう)」
という言葉が印象的なのですが、
意味を求めることではなくて、ただただ素晴らしいですとか、
ただただ楽しいということは
より日常を華やかなものにしてくれるもの。
と私は思っております。

より豊かな生活を皆さまが送れますことを
微力ながらお祈りして。
落ち着きましたらティーサロンや書庫で
楽しいお話を是非お聞かせくださいませ。
私も楽しみにしております。
それまでは夢の貯金と参りましょう。

良い春を。

あ、それと。

四月八日で
お給仕を許されて三年となります。
改めてですが、
よろしくお願い致します。

才木