お酒と紅茶

敬愛せしお嬢様へ。

あれよというまに今年も師走を迎え、残りわずかとなりました。
冷え込みも少しずつ厳しくなりそうでございます。
手袋やマフラーなどのご用意はお済みでございますか?

そんな寒い日の夜には、暖かい紅茶も良うございますが、ちょっとブランデーを垂らして頂きますとよりお体が暖まりますね。

紅茶にお酒を加える飲み方は冬になると特に良く耳に致しますが、どちらかと言うとお休み前に飲まれることが多いせいか、サロンでお召し上がりいただくことはあまりございませんね。

ご別宅でお体を暖めて頂くべく、いくつか紅茶+お酒のレシピをご紹介いたしましょう。

まずは「ロシアンティー」。
ジャムを紅茶に入れて飲む‥というイメージがおありかと存じますが、実際楽しみ方は多彩なようでございます。
特に冷えます夜などは、紅茶を濃く熱く淹れていただき、別の器にご用意頂いたジャムにウォッカやブランデーをお好みの量だけ混ぜてしまいましょう。

そして、ウォッカやブランデー入りのジャムをティースプーンでお召し上がり頂きつつ、濃く熱い紅茶をお召し上がり頂き、お口の中で混ざりゆき広がる甘さや香りを楽しんで頂くのが主流でございます。

そう。主流のロシアンティーはそもそも、ジャムを紅茶に入れないのです。

お好みによっては、ジャムを掬ったティースプーンを紅茶に軽く入れてジャムを暖めてからお召し上がり頂いても良いようでして、このときウォッカやジャムの香り・甘さが紅茶にも少しずつ移ってゆくのもまた良いものでございます。

そして「ロワイヤル」。
ティースプーンに角砂糖を乗せて、ブランデーを染み込ませて、そこに火を点けてアルコールを軽く飛ばしてから、その角砂糖を紅茶に溶かしてお召し上がり頂く形式でございます。

ブランデーが燃えている間の炎が美しく、また芳醇な香りも楽しめますため、この角砂糖を燃やす前準備の時間も楽しみに含めた紅茶だと申し上げましょう。

ロワイヤルスプーンと申します、カップの上に橋渡しに置ける特殊なスプーンを使うことが多うございますが、ご別宅でご自身用に楽しまれる分には、普通のティースプーンでも全く問題はございません。
あぁ、とは言えど加熱してしまいますので、銀食器など使って変色させてしまいませんようご注意を。じいやに怒られますよ。
あと、お火傷にご注意くださいませ。

「タブラティー」というものもございます。
これは一番簡単でございまして、暖めたカップにラム酒をスプーン一杯ほど入れておき、そこに熱い紅茶を注ぐだけでございます。

紅茶の香りにふくよかさが加わり、華やかなティータイムをお楽しみ頂けるかと存じます。
紅茶は香り高きもの、正式にはダージリンがよろしいようでございますが、お嬢様のお好みでお試しくださいませ。

冬の夜にふさわしき、紅茶とお酒のレシピをご紹介させて頂きましたが、これらがお嬢様の眠りをより深く暖かく守ってくれたなら幸いでございます。
よき夜をお過ごしくださいませ。