九月

これは私の夢のお話でございます。

 

時は五年後か十年後か、はたまたもっとその先なのか。

いつも通り燕尾服に身を包み、今日も帰宅なさるお嬢様、お坊ちゃまの優雅なティータイムのお手伝いを。

髪は伸びてるのか、背は伸びてるのか、前髪は短いのか、それは分かりませんが、今の私よりお給仕の姿勢に成長があると良いなと思います。

変わることのない場所で、シャンデリアはいつもより輝き、翳り一つない楽しそうな笑顔と賑やかな声が詰まった私の居場所。

そこで疲れを知らずピンチに動ずることがない。
紅茶のことを聞かれても、アルコールのことを聞かれても、食事のことを聞かれても、全てに余裕もって答えられる。
どんな些細なことから期待を込めたことまで全て応えられる。

そんな一人前の使用人としてお嬢様、お坊ちゃまに仕えること。

 

これが私の夢のお話でございます。

 

私がティーサロンに降り、お嬢様、お坊ちゃまに仕える始め、あっという間に半年経ちました。

まだ成長途中の私でございますが、これからも優雅なティータイムを過ごしていただけるように努力してまいります。

お嬢様、お坊ちゃま、扉が開くその時を楽しみにしていたくださいませ。