春の絨毯

お屋敷の門を叩いてから何度桜が散る景色を見た事でしょう。

2024年の春もこうしてお屋敷の大地を踏み締めていられる事、幸甚に存じます。

お嬢様はどんな春の思い出が一番印象に残っておりますか?

私の一番の記憶は…

お屋敷で何もかもが上手くいかない時が重なり、自信を無くし切ってしまった帰路。
強い風と共にたくさんの桜が私の横を横切っていきました。

振り返ると道いっぱいの桜が散らばっていて…
こんなにも綺麗な景色を見逃す程、私は自分の事ばかり考えていたのだと知らされました。

あまりにも可憐で儚く、私の悩みがとても小さく感じました。

桜に救われた春。

それが私の一番でございました。

お嬢様はどんな春を迎えてきたのでしょうね。

小さな幸せが末永くお嬢様に訪れますように。

百合野