猛暑に紫陽花

敬愛せしお嬢様へ

冷夏との噂はどこへやら、大地を焼くような日差しがまぶしい季節となりました。
時任にとっては年に二度くる生命の危機を感じる時期でございます。(もう一つはクリスマス。)
この時期はくれぐれも、水分・塩分はこまめに摂取して頂きますよう、お願い申し上げます。

さて、そんな時期にあえて今更のご報告でございますが、アジサイを見てまいりました。
…先々月に。

まだ梅雨のただなかでございましたが、紫色の小花に誘われて、新宿御苑へとお邪魔してきた次第でございます。

雨の中ではございましたが、アジサイの花は見事に満開で、青紫や赤紫、ときには純白の小さな花が集い咲いておりました。
むしろ雨中にあってこそ、この花は風情があるようにも思えます。
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庭園や小川の縁を散策し、隠れるように咲くアジサイを探すのも、楽しいものでございますね。
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アジサイ以外にも、見るべきものは多くございました。
御苑には仏国式、英国式、日本式のそれぞれの庭園があり、その違いを楽しむのも一つの楽しみでございます。

こちらは仏国式の庭園。整然と並べられた樹木と花壇が美しいことでございます。
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一方、こちらは英国式。ひろびろとした芝生と、所々にのびのびと茂る大樹。
お散歩というより、乗馬にての散策が相応しゅうございましょうか。
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そしてこちらが日本式。やはり一番心が休まる眺めでございます。
ちょうど、雨もひどくなってきたので、東屋にて休憩し、ラムネなどを傾けながら夏の景色を眺めておりました。
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庭園を眺めながら、懐かしい夏の風味を楽しむ…たまにはこんな昼下がりも良いものでございます。

庭園を散歩しておりました折に、小雨のなかをひらひらと舞っている蝶々を見かけました。
驚いたことに、当家の紋章そのままの青いアゲハチョウでございましたので、叶うことなら写真に収めて、お嬢様にご覧頂きたいと、
子供のように蝶を追ってみましたが、綺麗な蝶は手の届かぬところを舞うものなのか、気が付けば小雨の中に消えてしまいました。
実に残念でございますゆえ、また御苑に立ち寄りました時に探してみようと思います。

さて、蝶を追って居りますうちに、大きなガラス張りの建物に辿りつきました。
雨宿りも兼ねまして立ち寄りました其処は、各国の熱帯植物が立ち並ぶ大温室。
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緑深い植物が並ぶその空間は、切り取られた異国の一部ようで、大変不思議な光景でございました。

雨足がゆらゆら強くなったり弱くなったりと、そんな天候の中ではございましたが、
様々な季節のかけらや、麗しい景色を楽しむことができた、良い散歩でございました。
今はきっと真夏の深緑が占めていることでしょうが、きっと季節とりどりの発見をして頂けることと思います。

お嬢様方も、お気が向かれたら、御苑のお散歩などいかがでございましょうか。

その時は、日傘と水筒もお忘れなく、お持ちくださいませ。