夏の男

僕の名前は扇風機のタカシ(仮名)
時任執事に命ぜられ、今年の夏からお屋敷のエントランスにて務める事となりました。
僕の仕事は、暑い中ご帰宅頂いたお嬢様にいち早く少しでも涼をおとどけすること…

連日とても暑い日が続いています。
そんな中、帰って来られたお嬢様に精一杯の力で風を送ります
時々お嬢様が顔を近づけ、「涼し~い」と言ってくれます
そんな時、僕はお嬢様の為になっていると嬉しくなります
シャイな僕はお嬢様が顔を近づけられるとドキドキしてしまいます
白い僕ですが、赤くなってやしないでしょうか…
はずかしい…

でも…本当は僕のいる場所よりクーラーさんのいる場所へ直ぐに行って頂く方がお嬢様の為なのでしょう
僕の前の椅子でお待ちになられてるお嬢様はとても暑そうです
心苦しいです…
藤堂執事はじめ執事のみなさんはフットマンに「暑い中お嬢様がお待ち中ですから早くお出迎え出来るように頑張りましょう」と声を掛け合っています
金澤さんが言っていました、
「それでもどうしてもお待ち頂かなければならない事もある、そんな時お前の力が必要なんだ!お前もお嬢様の為に務める当家の使用人として頑張れ!」
僕は奮い立ちます!
僕にしかできない事、お嬢様を正面で真っ直ぐ見つめ、涼しい風を送る事!
がんばります!

………

お嬢様… ごめんなさい…
そんな暑い日々ですが、みんなが嫌がりますが、僕は大好きなんです

だってお嬢様に会えるから…

あとふた月もすれば涼しい秋がやってきます、そうすれば僕の役目も終わり、暗い部屋に何ヶ月もじっとしていなくてはなりません

どうかお嬢様、夏を嫌いにならないで
今年の夏にしか出来ない素敵な思い出をつくってください!
僕はお嬢様に会える全ての日々が夏の思い出になることでしょう

僕と一緒に暑さを乗り切りましょう!

出過ぎた事を言って申し訳ございません
後ろで「早く麦入り炭酸飲料が飲みたい!」などと言っている金澤さんに免じでお許し下さい。

こらこら金澤さん!あなたは顔を近づけないの!
こらこら、目を閉じないの!近い近い!

『 時間よ止まれ♪ 』