D’OR

桜の花弁は何故五枚なのだろうと生命の神秘に思いを馳せておりました。

その科学的な根拠の新発見に、春の楽しみを見出した能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

我々が行った数々の悪戯を、まずはお嬢様に謝罪しなくてはなりません。

お屋敷や配信で使用人らしからぬ無礼を働き申し訳ございませんでした。

しかし誠に勝手ながらねがわくば来年も年に一度のエイプリルフールに、

お屋敷の使用人たちによる悪ふざけに付き合っていただけますと幸いです。

 

春になり四月から新しい年度を迎え、お勉強も心機一転でございますね。

お嬢様は新しい環境での社会勉強に奔走していらっしゃる最中でしょうか。

馬車の中での初々しいお嬢様やお坊ちゃまのスーツ姿を拝見いたしますと

応援したいと申しましょうか、エールを送りたいという気持ちになります。

 

年度初めは普段とは違う独特の緊張感もきっとございましょうから、

お疲れが出ましたらすぐにティーサロンへお戻りくださいませ。

どうかその未来が燦々たる太陽のように輝かしいものでありますように

私もお屋敷の片隅から切に祈っておりますね。

 

能見

チャールズ王とオークの樹

敬愛せしお嬢様へ

いよいよ暦も4月に入りまして、本格的な春の訪れも感じられる気候となりましたね。

新生活を始められる方も多いことでしょう。
志は高らかに。されど生活が変わるときはお体の調子を崩しやすいものですから、睡眠と食事にはくれぐれもお気をつけくださいませ。

さて、そんな4月の始まりは同時にエイプリルフール。
嘘をついて良い日だとか、嘘をつくのは午前だけとか、諸説ある日でございます。

あまりに諸説ありすぎて、本当の発祥がどれなのかわかりゃしないものでございますが。

もっとも当家に近しい説はと考えますと、英国のチャールズ二世統治の時代まで遡っての逸話が相応しゅうございましょうか。

1651年。イングランド内戦に破れた王政派のチャールズ王は、議会派の兵に追われボスコベルの森へと逃げ込み身を隠しました。

かの地は敵兵に包囲され、絶体絶命の危機のなか。
わずかなチャールズ王の兵たちは、チャールズ王をひときわ大きなオークの樹の木陰に隠し

森の狩人の姿に身姿を変えて、
チャールズ王を探し居場所を訪ねてくる敵兵たちを
嘘まやかしで惑わせて、広大な森の中を迷わせ

ついに変装を見破られて敵兵の剣で脅されようとも
王が身を隠すオークの木のことは決して語らず
ついにチャールズ王は敵兵の追求を逃れて
数年後の王政復古の政変まで無事、生き延びることが出来たのです。

このときの忠実な王兵たちの
忠誠と、巧みな嘘を讃えて
チャールズ王が王政復古を成し遂げた記念日である「オークアップルデー」には
王が身を隠したオークの木の実を衣服に飾り
いくらでも嘘をつくことが許されるという催事が生まれたのです。

ただし、嘘の訂正と仲直りが義務付けられており
そのため、嘘をついて良いのは午前まで
午後は仲直りにつかうべきと定められたわけでございます。

 

さて。
そんな大法螺を並べてみましたが
考えてみればこの日誌がお嬢様がたの目に触れるのは夜のことでした。

とはいえ、ここまでが大嘘であるならば
午前しか嘘をついてはいけないと言うのも嘘なので、問題はございませんし。

意表をついてすべて真実であったなら、
そもそも嘘を言っていないわけでございますから
こちらも問題ございません。

嘘かまことか夢かうつつか

真偽はお嬢様のお心のうちでご判定くださいませ。

 

 

 

……心のうちでって言ってるでしょ。
サーチエンジンを開くのはお止めなさい。

キントレがキンニクとなる

いかがお過ごしでしょうか。桐島でございます。

気温も暖かくなり外も春めいてまいりました。

本当でしたら花見やお散歩にすごく快適な陽気ですがそれもなかなか叶わず難しい日々でございます。

こんなことを申しておりますが私はどちらかと申しますと凄くインドア派でございまして日々行なっている肉体鍛錬も自室で行なっております。

最近は上半身のトレーニング主体でおこなっておりますがそのおかげか袖のボタンが先日弾け飛びまして、お屋敷お抱えの仕立て屋に苦い顔されました。

そう、先日やっと88キロのハンドグリッパーを握れましたのでついに握力100キロの道へ挑戦すべく108キロのグリッパーを購入しました。

10月ごろからトレーニングを始め、60→66→88キロとステップアップしてきましてここまできたかぁという思いでございます。

恐らくお屋敷初の握力0.1トンの使用人になれると思うと両胸筋が躍動いたします。

今後の桐島の腕橈骨筋の活躍に是非ともご期待くださいませ。

それではまたお屋敷でお会いいたしましょう。

クッキー

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

お嬢様はクッキーについてどのように思われるでしょうか。

はい、さようでございます。
焼き菓子のです。

美味しい
いい香り
かわいい
サクサク

咄嗟に思いつくのは非常にシンプルでポジティブなイメージかと存じます。私はお菓子全般を好んでいるのでもちろんクッキーに対しても好感的な印象を受けます。

なかには甘い物がお苦手でクッキーに対してあまり良い印象を抱かないという方ももちろんいらっしゃるかとは存じますが、憎しみや怒りを持っている方というのは極めて珍しいのではないでしょうか(完全にいないとは思いません)

 

さて、では
ここでこのクッキーをどなたでも結構ですので人間に置き換えてみるとどうでしょう。

ポジティブなイメージもネガティブなイメージも倍増したのではないでしょうか。

なぜクッキーに対してはシンプルな感情でいられるのに、人間には複雑な感情が生まれるのでしょうか。

これは私が思うに『影響力』なのではないかと。

自分に対してクッキーと人間では及ぼす影響の大きさが異なるから抱く感情も違う。

逆に申し上げますと、自分に対して影響を及ぼさないものに対して人は寛容でいられるのです。

例えば、どんなに素晴らしい人徳者であっても、人間である限りさまざまな要因が重なって普段ならば言いたくないような言葉を選んでしまう場面がきっとあります。

もし、そういうタイミングの方と遭遇して聞きたくない言葉を聞いてしまったときにはあまり影響を受けず、お相手をクッキーだと思うと良いかもしれません。

こんな日誌を認めながらお腹のなる午前2時です。

隈川

牛肉の黒ビール煮込み カリカリ生肉和えを添えて

敬愛せしお嬢様へ

時勢もありまして、ご別邸での生活も増える中、
休館日も多くご不便をお掛け致します。

使用人たちも互いに弁え、
以前は時間があれば食事会を開いたり、パブに繰り出していたものでしたが、
ここ暫くは休日も個々で過ごすことが殆どでございます。

皆と杯を交わす楽しみは、世が落ち着いたときの楽しみにとっておきまして、

まぁ一人の時間も時には大事なものでございますから
好きなお酒と好きな食事だけをたっぷり用意して、
それを独り占めできる優雅な食卓を楽しむと致しましょう。

せっかくなら美味しいものを食べとうございます。
何を食べたいかと自らの心に問いかけましたら、ビーフシチューとの返事が返ってきました。

何故でしょう。シェフのビーフシチューが恋しいのでしょうか。

まぁ、ここは自室なれば自力でどうにかするしかございません。
幸い、市場とは親しくしておりますので
手頃なお肉とお野菜は常備してございますから、
早速下ごしらえしてまいりましょう。

玉ねぎニンジンジャガイモブロッコリーアスパラガスと刻みまして、ジャガイモとアスパラガスは下ゆでを少々。

お肉も適度に刻んで塩コショウ。更に薄力粉をうっすらとまぶして
バターをたっぷり熱したフライパンで、弱火からジワジワ強火へと、色の変化を確かめながら軽く焼いて参ります。

このへんで、良き香りも漂いますれば
当然、猫たちが足元で騒ぎ始めます。
キッチンに飛び乗ろうと頑張ったり、飼い主のズボンに爪を立てて背伸びしたりと、お肉に興味津々の様子です。

しばらくはじゃれるに任せてあげますが、
あまり夢中にさせて火傷をしてもいけませんので
いよいよキッチンテーブルにお手々や顔を覗かせるようになったならば、ちゃんと叱ってあげましょう。

長男を両手で鍋の上に抱き上げて
「悪戯者はグツグツ煮ますよ?」と脅してみましたら
…なんか喉をゴロゴロ言わせてますね。
抱っこして遊んでるわけではないのですが。

もう一匹。次男のほうは、私が手を伸ばした時点で危険を察して逃亡していました。

怒られそうな気配や空気を読むのに長けた次男は
こんなときいつも、野生をどこかに忘れたらしい長男を囮に、さっさと安全圏のキャットタワーから成り行きを見守っております。

長男のほうもキャットタワーにぽいっとダンクシュートしておきまして

ほどよくお肉が色づきましたら
お鍋には、お湯を煮立てまして
猫ではなく野菜を入れてもうひと煮立て

ここでお肉やブイヨンを投入しましてから
いつもなら赤ワインなど入れるところですが
今日は敢えて。某社の黒ビールをたっぷりと注ぎ入れます。

そう、今日は「牛肉の黒ビール煮込み」を作るのです。

お肉料理に良いローリエの葉をお鍋にヒラヒラと入れたら、あとはひたすら弱火で煮込むだけでございます。

キッチンに椅子を持ち込んで、片手で執務を進めながら、ときおり鍋の表面に浮かぶ灰汁をすくうこと

3時間。

もっと煮てもよいのですが、さすがに飽きました。

トロトロに煮えたお肉と、トロリと仕上がった黒ビールシチューを器に盛り付けて。
適温に整えておいた、シチューにいれたのと同じ黒ビールをゆっくりグラスに注ぎます。

そして。
別に取っておいて細か目に刻んでおいた牛肉をカリカリに混ぜ込んだスペシャルかりかりを、専用の器二つにたっぷり盛って。
じっと見上げる長男と次男の前に置いてやりまして
ディナータイムの始まりでございます。

時間と手間をかけた分、自画自賛ながらいっそう美味しく感じます。

お嬢様も、なにかと別邸でのお時間も増えます昨今に
ご自身のためだけのスペシャルディナーなど、料理から楽しんで頂くのも一興かと存じます。

ぜひお試しくださいませ。

16年を振り返って

お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様、お元気でいらっしゃることと存じます。
藤堂でございます。

スワロウテイルも16周年の日を迎えました。お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様多くの皆様に支えられてサロンも益々楽しい憩いの場所となり、本当に嬉しく感謝しております。

藤堂がお屋敷に帰って参りましたのは、ティーサロンが開館しまして半年ほどたってからでございました。
まだサロンは小さく、沢山の方には楽しんで頂けない場所でした。
藤堂は二期生で、初めは二名だけで勉強しておりましたが、八月の上旬になり若い人が大勢やって来て30名の大所帯になり、日々勉強に勤しみました。
毎日毎日紅茶の習得で、おなかがだぼだぼになるほどでした。

現在のお屋敷が大きくなる10月の中旬まで続き、フットマンの勉強ばかりでした。
お皿の持ち方、お嬢様方へのおもてなし等、楽しい日々でもございました。

今のティーサロンは本屋さんでした。開館の日が待ち遠しかったですが、執事の勉強はほとんどなく、椎名執事にいろいろ教えて頂き、本当に感謝しています。
一人でお嬢様をお迎えするようになれたのも、椎名執事の後押しを頂けたからです。
そしてもう一人、大河内フットマンには勉強のとき優しくわかりやすく指導頂けたことも思い出に残っています。

そしていろいろなイベントがございました。
朗読サロン、紅茶サロン、外へ出てのイベント、東京湾クルーズ、日光でのお食事会等、楽しいイベントには藤堂ほとんど参加しています。

特に朗読サロンは好きでした。お屋敷の中で、劇場での開催と本当に嬉しいことばかりでした。
これからも世の中が平和になりましたら種々考えられると思います。是非是非ご参加下さいませ。

本日は16年を振り返りまして、ほんの一部でございましたがお話させて頂きました。
またいろいろお聞きになりたい事がございましたらティーサロンにてお話させて頂きます。

本日はこの辺りで失礼いたします。

藤堂でした。

16年の痕跡

3月24日、お屋敷は16周年を迎えました。
お嬢様がくださった日常が今をくださっております。

16年という月日からみるととてもあっという間で、まだまだお屋敷はこれから、とも思いますが

振り返るととても沢山の記憶がございます。
私の全てがここで作られたとも申しましても過言ではないほど…
もしかしたら他の使用人も同じ様に感じているかもしれません。

全てはお嬢様への想いで紡いでまいりましたが、
ひょっとしたらお嬢様を想う事で自身を満たしているのかもしれない…
我々はきちんと支える事が出来ているのだろうか…
と、不安になる時もございました、

しかし一つだけ分かっている事があるとすれば、お嬢様を想う「全力の使用人」をたくさん見てまいりました。
その姿を見る度にここで仕える事が出来て良かったと感じさせられます。

お嬢様。
時は変化してまいりますが我々の想いは日々新しく生まれてまいります。

それはどんな時も変わらず…

決して器用とは言い切れない使用人達でございますが、これからも共に時を刻めたら幸甚に存じます。

ではまた、ティーサロンでお待ちしております。

百合野