リキュールの女王

我が敬愛せしお嬢様へ。

窓を開ければ梅花が香り、桜の蕾ももう真近。そんな季節が訪れております。

私事ですが、時任には、毎年恒例の旧来の友と交わしている約束事がございまして。
毎年桜が咲く頃に再会し、桜舞う樹の下でチェスの勝負を行う。そんな約束でございます。

昨年ごろより、桜の花粉症が発覚した私にとっては危険すぎる対決となってしまいましたが。
今より、盤面に列ぶ瑪瑙の駒を想い、想定する鉄壁の布陣を、如何なる奇策にて打ち破るか…そんな構想ばかりが心に浮かんでおります。

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ジングルヘル

敬愛せしお嬢様へ。

窓から差し込む朝日が、凍り付いた窓に反射しステンドグラスのように輝く…そんな季節でございます。
朝、お目覚めの時にご寝所を離れるのが辛い季節でもございますが、寒さごときに屈しては、スワロウテイルが令嬢の名折れでございます。どうぞ気合一閃、凛々しく毎朝のお目覚めという戦いに勝利なさってくださいませ。

さて、世間は気が早いもので、下々の街は既にクリスマス一色でございます。
聖人の微笑みが街にあふれ、銀に輝く十字架が定番アクセサリーのように軒々に吊られ、耳に届くのは清らかなる賛美歌のメロディ…。

……。
…………。

お嬢様。時任ちょっと生物的な意味で生きていくのが辛いので、来年まで冬眠してよろしいですか?

いけませんか。畏まりました。

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問:アライグマはクマの仲間か否か?

我が敬愛せしお嬢様へ。

季節の巡りは早いものでございます。
つい先日にカボチャを飾っていたと思ったのに、もう街並にはクリスマスに向けてのイルミネーションが輝いております。

この冬一番の雪も遠くないことでございましょう。

雪ならずとも、朝方は街路が凍りつき滑りやすい時期でございます。お出掛けの際はくれぐれもお足元にご注意下さいませ。
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“エカテリーナ”

我が敬愛せしお嬢様へ。
緩やかに水銀計の目盛が短くなり、窓硝子の凍る朝も増えて参りました。
これから冬がやって参りますね。

薄雪と霜に染められる大地。空を閉ざす灰色の雲。真銀に染まる月。彩度を失う世界。
時任としては冬は好みの季節でございますが、唯一、お嬢様方が風邪などお召しにならないかだけは心配です。

どうかお嬢様の周りだけは暖かく、初春のごとき新緑色の世界が包みます様。

…いや、そんなん無理なのは存じておりますゆえ、どうか温かい上着を羽織り、お布団を早々に一枚増やしてくださいませ。
お嬢様の笑顔なしには。使用人一同とても冬を乗り越えかねますゆえに。

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番外編/秋の夜長にカクテルを

わが敬愛せしお嬢様へ。

あの陽光の横行する夏が嘘のように通り過ぎ、季節は駆け足で秋へと移り変わりました。
ともすると冬へと駆け抜けてしまいそうなほど、一挙に肌寒くなっておりますゆえ、お嬢様におかれましては、お出かけの際きちんと上着をお持ち頂き、くれぐれもお風邪など召されぬようご自愛下さいませ。

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Glover

わが敬愛せしお嬢様へ。

番外編ではない日誌をどうしようか思い悩み、日々胃を痛める時任でございます。

本格的な夏の到来と共に、真夏の陽光が輝きを増す日々でございますが、以下がお過ごしでしょうか。

時任は日々、黒焦げにならぬように、物陰を伝うように生きております。

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番外日誌

拝啓、我が敬愛せしお嬢様。

先日、珍しく別館ブルーローズの番に立たせて頂いたところ、明るい場所に長居したせいか肌がピリピリと痛くなりました。どれだけ太陽と仲が悪いのかと、リアルに悩みつつある時任でございます。

さて、今宵はいつもの小咄の筆を一時置きまして、「カクテル」などについて語らせて頂きます。

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