風花

もう随分と以前のことでございますが、学生の時分に英作文を
認める授業がございました。
文中に「風が光る」という表現を織り込みましたところ、
「風は光るものではない、吹くものだ」と、苦笑混じりに指摘
されたことが印象に残っております。


英語にそのような表現が存在するのかどうか、わたくしの知識
では知るところではございませんが、雪を花にたとえて表すことの
できる言語を第一カ国語として生まれたことを嬉しく思います。


どうも東京に降る雪は、美しい情景よりも現実的な悩みばかりを
思わせてなりません。
お足元には十二分にお気を付け下さいませ。
伊織でございます。





6片の白い花弁が音もなくこの肩へ舞い降りる様を眺めておりますと、
否応なく桜の散る姿を思い出させるものですが、ちいさく身をかがめて
震えるような花のつぼみは、気を急ぎすぎなのではないかと語りかけて
くるようでもございます。


陽のぬくもりが多くの花を開かせる中、この掌の温度でさえ散り
消えてしまう花もあるのですね。
いとしくとも抱くことすらできない花を想うだなんて、まるで我が身の
業をふり返るようにつらいものです。


羊革の外套は今日も手の届く所にあります。
まだまだ薄手の上着は、押込みの奥から出せそうにございません。
Filed under: 伊織 — 23:00