ティム・バートン雑感

司馬でございます。
皆様、お健やかにお過ごしでございますか?

10月となれば、お待ちかねのハロウィン到来でございますね。
当スワロウテイルでも、お嬢さまに楽しんでいただけるよう、様々な計画が持ち上がっておりますので、例年どおりご期待くださいませ。

一方、怪しい者たちが力を徐々に増しつつある時季でもございます。
いたずらなどされぬように、どうぞお気をつけを。

さて、この日誌でも何度かふれたこともございますが、ハロウィンにちなんだ映画で私が最も愛するものといえば、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」でございます。

この有名な映画については、いまさら語るまでもございませんので、今回はティム・バートンについてお話したいと存じます。

ティム・バートンといえば、「バットマン」や「マーズ・アタック!」のようなハリウッド大作をまかされる、いわずと知れた超メジャー監督でございます。
意外なことに「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」では監督ではなく、バートン氏はプロデューサーの役目を務めていらっしゃいます。
とはいえ、制作の細部にいたるまで目を光らせていますので、氏の作品といっても間違いではないでしょう。

バートン氏の作品について、私が常に感じているのは郷愁という想いでございます。
想像するに、あまり活動的ではなく、映画やコミックをマニアックに愛していた少年期を過ごしていたのでしょう。
そのころに出会った様々な作品への懐かしい気持ちが、映画づくりの原動力となっているのではないでしょうか。

懐かしさとは甘く優しい感情を伴います。
そして、少年期において怪物や幽霊といった怪異は恐怖ではなく、むしろ親近感を覚えるものでございます。
ですから、たとえゴシック・ホラーの衣をまとった「スリーピー・ホロウ」や「スウィーニー・トッド―フリート街の恐怖の理髪師―」に登場する恐怖のキャラクターでさえ、どこか優しい視線にくるまれてしまうのでしょう。

しかし、私がここで望みたいのは、心底から恐ろしい作品をティム・バートン氏に撮ってもらえないか、ということでございます。
たとえば、スティーブン・キングの小説などを丹念に撮れば、などと考えてしまいます。
「スタンド・バイ・ミー」や「イット」のようにキング氏の小説も、少年期への郷愁に満ちております。ティム・バートンの作風と相性は最高ではないでしょうか?
きっとハロウィン・シーズンに鑑賞するにふさわしい名作に仕上がることと存じます。

さて、ホラーが苦手なお嬢さまには
「ビッグ・フィッシュ」というバートン作品をお勧めします。
独特の作風と美意識も健在ながら、心あたたまる感動作でございます。
優しい気持ちになりたい時には、ぜひどうぞ。

では、今回はこの辺りで失礼いたします。