Πλουτων

11月。
空気も澄み、夜空を見上げるのも楽しい季節の始まりです。
本格的に寒さが厳しくなります前に、少し夜空の星を楽しんでみてはいかがでしょうか?

星というのは大変興味深いものです。
ロマンを感じますが、このロマンの感じ方には男性と女性の心証では大きく違うのではないかと考えています。
まさに天文学的な数字でしか表せない、大きすぎる力や長大な距離。そこを旅するデブリの気持ちになって星々の合間を縫って飛ぶ想像をしてみたり、宇宙人と一緒に月で生活することを夢想してみたりするのか、はたまた星々を結んで描かれた星座が語りかける、神話の恋物語に胸を焦がすのか――ロマンという一言でも、ずいぶん感触も温度も変わるものです。

遠く、太陽の光すら満足に届かないような、太陽系の果てにも星々は存在します。
いえ、太陽系などという、ちっぽけな単位では数え切れないくらいの星々が宇宙には存在します。生粋の文系育ちのわたくしでも知っているくらい平易なことです。
太陽系のはじっこに、茶色っぽい小さな星がありますが、どうしてもこれを見ようとするなら望遠鏡が必要になってしまいます。その星はあまりにも遠く、暗いのです。
それまで、これといって大きな興味を持たなかったものに、急に気を引かれることがございます。
この遠くにある茶色っぽい星もそうです。

たまには父がくれた望遠鏡を取り出してみましょう。
小学生のころに月のクレーターを覗いたのが最後、ずっと押し入れの奥にしまったままになっているはずです。
あの望遠鏡で、今一度ロマンを探して夜空を覗きこんでみるとしましょう。
どんなに遠くたって、見えるものは見えるはずです。
蜃気楼のようにぼんやりとしか映らなくたって、茶色っぽい小さな星はそこに確かにあるのです。
偉い人が言っているのですから、見るはずです。

夜空の左側のちょっと上、それとも下?
もう教えてもらえないのかな。
君の文字は難しすぎてお嬢様が読めないってさ。
なぁ、冥王星の方角はどっちかな?