magic butterfly

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

使用人にできること、とはなんでしょう。

現実的に使用人がお役にたてることなんてせいぜい限られておりましょう。

どれほど望んでもあなた様の過去の後悔を消すことも、未来のご不安を理解することも、今この瞬間の心の痛みを和らげることも、直接的には何ひとつできやしないではありませんか。

魔法のようにすべてを叶えてさしあげたくとも、この現実を変える魔法を私たちは誰1人として持ち合わせていないのです。

 

それでも
だからといって、なにもできないのか、というとそんなことはございません。

たとえ限られたことであったとしても、何かがきっとできるはず。

もしも、貴方が嬉しそうに
微笑みを湛えることがあれば
特別製のケーキを用意して一緒に祝いましょう

もしも、貴方が退屈そうに
あくびを浮かべるような午後は
滑稽なユーモアで口元を緩めてみせましょう

もしも、貴方の悲しみに
世界が滲んで見えるときは
仰せのまま何処へでも
新しい景色を探しに行きましょう

未来や過去、今を愛せなくとも
なにもかもがうまくいかなくとも

この瞬間にこの文章を読んでくださっているあなた様が我々使用人にとってかけがえのない大切な存在であることを、心から信じていただきたいのです。

そして、他ならぬあなた様にも自分自身のことを、同じように大切に思っていただきたいのです。

それはティーサロンにお顔を見せられないときでも変わることはございません。

そのために本日も変わらず
紅茶を注ぎ、言葉を紡ぎ、音楽を奏で、それぞれにできることを精一杯にあなた様に捧げます。魔法でも作れないような幸せな一瞬のきっかけを見逃さぬように。

あらためて
使用人にできること、とはなんでしょう。

どうかこれからもその答えをお傍で探させてください。

小さな蝶が追い風で海を渡るように
この日誌がほんのすこしでも
眠れない夜を越えるささやかな力添えになりますように。

隈川

 

御礼参り

お嬢様、お坊ちゃまご機嫌麗しゅうございます。

冴島でございます。

お嬢様、お坊ちゃまは覚えていらっしゃるでしょうか。

私がいつの日か日誌に綴ったとある神社を参拝するまでの珍道中。

あれは確かとても寒い冬の日でございました。

私の記憶が正しければ2月。

そう、バレンタイン近辺の出来事でございました。

どのような出来事だったのかは改めて振り返るにはここに書くと少々長いお話になってしまいますので私の過去の日誌を参照して頂けましたら幸いでございます。

確かあの日誌の最後には”もう行くことはないでしょう”と綴ったのを覚えております。

しかし時間が経つにつれ私の胸にはもう一度挑戦したい、何よりお参りしてから今日まで無事に、平穏に過ごせていることに対して御礼参りをするべきではないかという思いが膨らんで参りました。

そして9月のある日朝、起きてから行くなら今日だと決意を固め御礼参りへと行って参りました。

再挑戦にございますので交通手段も時間も全て同じものに致しました。

まだまだ残暑の厳しい頃でございましたので家を出てからしばらくして駅のホームで乗り換えの電車を待っていると非常に激しいゲリラ豪雨も降って参りました。

今回の行程も一筋縄ではございません。

ただ幸いなことに直接雨に打たれるということはございませんでした。

これも歓迎の雨と思い、目的地へと歩をすすめて参ります。

そして前回降り忘れた駅へと着き、今回は無事にしっかりと一回で乗り換えることに成功致しました。

その後も大きなトラブルはなく無事に目的地の神社に辿りつく事ができました。

前回よりも時間が早く、季節が夏ということもありついてからもまだ空が明るく非常に充実した時間を過ごすことができました。

しっかりと御礼参りを済ませ帰路につく頃には空は晴れ綺麗な夕焼けでございました。

これにて御礼参りのお話はお終いでございますが、お嬢様におかれましても無限大の可能性をご自身で狭められることはございませんよう日々をお過ごしくださいませ。

富士山からの景色には及ばぬかもしれませんが、日誌の最後にはその日撮った写真も何枚か載せますのでぜひ御覧くださいませ。

 

ではティーサロンにてご帰宅お待ちしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冴島

日誌

お嬢様、お坊ちゃま
朝晩と涼やかになり秋を感じておられる頃合いでしょうか?
近衛でございます。

今回はハロウィンフェアについて少し書かせていただこうかと存じます。

私は、サマーフェアに続いての二回目の撮影でございました。

普段とは違った使用人たちの姿を見ることができとても新鮮な気分でございました。

犬と猫といったテーマでお送りした今年のハロウィンいかがでございましたか?

お戻りの際にはお嬢様、お坊ちゃまが見てみたいと思うハロウィンのテーマや仮装なさったエピソードを聞かせていただけましたら幸いです。

ハロウィン飾りで彩られたティーサロンにて、お戻りになられる時をお待ちしております。

日誌

お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様、ご機嫌麗しゅうございます。
久保でございます。

朝夕の風がひんやりしてまいりましたね。

陽ざしの色も、どこか熟考を重ねたあとのようにやわらかく、木々もため息をつくように色づきはじめております。

秋は、まるで一年が少し立ち止まって、自分の影を見つめ直しているかのような、もう少しで今年が終わるなぁ、ついつい来年について考えてしまうそんな季節でございます。

そんな季節にあわせて、今年もまたブラジルの伝統菓子「ぷぢんケーキ」をお届けいたします。
練乳をたっぷりと使った濃厚なプリンが静かに上層を楽しく

その下では、ほろ苦いココアスポンジが落ち着いた余韻を支えております。

ドイツの哲学者ヘーゲルは「対立するものは、より高い次元で統合される」と説きましたが、
このお菓子もまた、甘さと苦さという異なる性質が互いを打ち消すことなく、
むしろ引き立てあいながら一つの世界を形づくっております。
昨年と今年という異なる時間が、同じ味わいを介してつながるのです。

変化と持続がひとつの皿に並んでいるのかもしれませんね。

ちなみに、今年も表記はあえて「ぷぢん」とひらがなにさせていただきました。

小さくてまるい文字の並びが、このお菓子のころんとした可愛さに似ている気がしたからでございます。
難解な哲学の話をしておきながら、名前だけは可愛く、そんな小さな矛盾もまた、この菓子にぴったりかもしれません。

もっとも、考案者としては「甘さと苦さを調和させる」という高尚な理念を掲げつつ、
試作中は最終的に練乳の量とにらめっこをするという、たいへん哲学的とは言いがたい戦いを繰り広げておりましたが…

考えていたら、私という存在と、この静かなティーサロンの秩序との間にも、なんだか矛盾が生まれている気がしてまいりました…。

きっと気のせいでございましょう!

秋でございますから、やはり考え事が増えますね…

そんな秋の始まりに、どうぞ今年もこの楽しい調和の甘美をごゆっくりお楽しみくださいませ。

 

読書の秋

​爽やかな秋晴れの日が続くこの頃、いかがお過ごしでしょうか。

​室戸でございます。

​最近、本を読む機会が減ったと感じております。

スマートフォンやインターネットが普及し、「活字離れ」という言葉もよく耳にするようになりました。

​しかし、この季節になると、やはり読書の大切さを改めて実感いたします。

​読書は、単に知識を増やすだけでなく、私たちの内面を豊かにしてくれます。

物語の主人公に感情移入することで共感力が育まれ、自分とは違う考え方や生き方を知ることで視野が広がりますし、複雑な文章を読み解くことは、論理的な思考力を鍛える良い訓練にもなります。

​情報が溢れる現代だからこそ、静かに本と向き合う時間は、心を落ち着かせ、思考を整理する上でとても貴重でございます。

​忙しい日々の中でも、少しずつ読書の時間を持つことで、きっと新しい発見や心の安らぎを得られることと存じます。

​もし何かお勧めの本などございましたら、ぜひお教えくださいませ。

お早いお帰りをお待ちしております。

神無月

爽やかな秋晴れが続く今日この頃、お嬢様いかがお過ごしでしょうか。
乾でございます。

今回は10月を題材にした小説をご紹介いたします。
万城目学(著)「鹿男あをによし」
奈良の女子高に赴任した教師が奈良公園の鹿に命を受け、日本の滅亡を防ぐために奮迅するファンタジー小説でございます。
タイトルの「あをによし(青丹よし)」は「奈良」につく枕詞です。
この場合は奈良の都が華やかで今まさに盛んである様子を表しております。

内容は、実は地中に大鯰がいて時々大暴れをし災害を起こすと言う言い伝えがあり、遠い昔卑弥呼に仕えていた奈良の鹿や京都の狐、大阪のネズミが60年に一度、神無月(10月)になると地中にいる大鯰を暴れないようにする「鎮めの儀式」を行う・・・
といった奇想天外な物語でございます。
夜が長くなった今の時期に、肩の力を抜いてクスッと笑えるお話しなのでお勧めでございます。

お嬢様も何かお勧めの小説がございましたらお教えくださいませ。
お帰りをお待ちしております。

月見

勝手に9月中だろうと思い込んでおりましたが、今年の仲秋の名月は本日10月6日だそうです。

いかがお過ごしでしょうか。伊織でございます。

 

 

お団子を供えたりススキを飾ったりという風習も、日々の慌ただしさや土や木々から離れた暮らしを理由に忘れさせられているようです。

 

 

とはいいながら、幼いころを思い出しましても七夕は父がどこからか刈り取ってきた笹を飾ったものですが、仲秋の名月に特別なにかした記憶はございません。

今になって意識するようになりましても、残念ながらお団子のお供えもススキの飾りも用意することはなく、代わりに月餅をいただくことが多くございます。

月餅と申しましてもあんこ入りの甘いものではなく、肉餡と卵黄の塩漬けが入った惣菜感のあるものが好みです。

 

 

月餅もその時が表すとおり月にちなんだお菓子であり、まさに中秋節を祝って食べられるものだそうです。

もし甘い物はひかえておこうということでしたら、今年はお嬢様にも月餅をご用意いたしましょうか。