執事散歩 自然公園編

敬愛せしお嬢様へ
ようやく春らしい暖かさが日常となってまいりました。
まだ夜に肌寒い日もございますゆえ、薄手のお上着は持ち歩いていただきたく存じますが
厚手のコートはようやくクローゼットルームの奥にて安眠を得られそうでございますね。

さて、春らしさも溢れてまいりましたところで
時任もお暇をいただいた日にまたフラフラとお散歩を嗜んでまいりました。
いつもは町中をそぞろ歩くことが多うございますが
良き季節でございますゆえ、この日は大きな庭園を訪ねてお散歩させていただきました。

 

 

 

 

 

季節の花が咲き誇っておりまして、青空とのコンストラストが素敵でございました。
来訪のお方々は皆お写真を撮られるのに夢中の様子で、老ご夫妻にシャッターを頼まれることもしばしばでございます。
多くの民衆に楽しまれる庭園、もしかしたら当家もかくあるべきなのかもしれません。

 

 

 

 

 

湖の近くには、優雅に水鳥がお散歩しておりました。
周囲の多くの方がその姿を収めようとシャッターを切られる中、意に介さず優雅に歩みを進めるその姿に、大物モデルの如き風格を感じました。
地中海の猫は観光客に慣れすぎていて、カメラを向けるとポーズを取るなんて言われますが
この鳥たちもそれに近しいのかもしれません。

 

 

 

 

 

広大な芝生の英国式庭園もございまして、それは立派な広葉樹が多くの人々を陽光から守る屋根のように枝を広げておりました。
ジブリ映画のワンシーンのようでございますね。
もしくはミキプルー‥いえ、何でもございません。

子供達がはしゃぐ遊戯施設や、時が止まっているような森の奥のレトロな売店など
のんびりと、かなり長いお時間お散歩を楽しませていただきました。
しかしさらに奥には山地があるようでございまして
元気そうなご老体の方々が矍鑠たる足取りで野の斜面を上っていかれるのを拝見し、思わず感心してしまいました。
次回またお伺いさせていただくことあれば、登山装備で来ようと思います。

登山?

そう申しますれば、山というものに久しく触れておりません。
先達の執事方からよく山の自然の良さを聞かせていただいておりましたので
機があったら山の自然にも触れに行ってみるといたしましょう。

 

そのまま野生の執事に返ってしまわないようにだけ、気をつけます。