秋に向けて

お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。

「暦の上ではもう残暑」
という文言を聞きまして、
それから気に入ってたびたび申しております。

残暑どころか先が見えない気がいたしますし、
海の向こうに広がる水平線と例えれば爽やかに感じますが、
この暑さを思うとそんな気持ちも雲散してしまいます。

この日誌をお読みいただく頃には、
過ごしやすい程度になっていると嬉しいのですが……。
現実そうもいかないのでしょうか。

さて先月の終わりに、
佐々木と共にカクテルをご用意いたしました。
当家伝統のチョコミントカクテルお楽しみいただけたでしょうか。

早速来年は新しい形も模索していきたいなどと話しておりますが、
お決まりの形というのも残してはいきたいところです。
またご用意が叶いましたら、お楽しみいただければ幸いでございます。

――

日頃書庫管理を仰せつかっておりまして、
歴史的な名著を目にする機会も多くございます。
(不勉強故、しっかりと目を通したことがないものも多いのですが)

執事歌劇団十五回公演において、
劇中劇のシーンがございました。
拝見しながらぼんやりと
「かもめ」っぽいな。などと思いました。

「かもめ」はアントン・チェーホフというロシアの劇作家の作品です。
チェーホフの代表的な作品であり、
チェーホフの最も私的な作品などと評されることもあります。

様々な作品のモチーフになりましたり、
現在も度々上演されておりますね。

当家の春の定番「チェーホフ」も、
彼の「桜の園」という作品からとって名付けたものです。

これらの作品は「戯曲」というジャンルで括られ、出版されております。
小説などと違い馴染みのないものですので、
読みづらさはあると存じますかが、
ご興味があれば試されるのも良いかと。

私としてはシェイクスピア「ヴェニスの商人」や
ブレヒト「三文オペラ」あたりが
滑稽で面白く読めました。

秋に向けて新しい作品を、
というのも素晴らしくは存じますが、
腰を据えて過去の名著をお読みになるのも
また一興かと存じます。

ちなみにお好みがあるところですが、
古典作品を読むと言えば、
岩波文庫や新潮文庫が定番ですね。

新潮文庫ですと、毎年のプレミアムカバーセレクションを
手にとってみるのも面白いと存じます。

最近ですと光文社の新訳シリーズも読みやすいところ。

話はズレますが近現代の戯曲を少しお試しになるなら、
ハヤカワ演劇文庫もオススメです。

海外古典ですと訳文自体に若干の取っ付きにくさもございますので、
お好みのものが見つかると幸いです。

私自身もまだまだ触れたことのない作品が多くございます。
何か皆様のオススメがありましたら、
お教えくださいませ。

才木