秋風に誘われて

お嬢様、お坊ちゃま、ご機嫌いかがで御座いましょう、金澤でございます。

先日、数日間のお休みを頂戴し車中泊の旅に行ってまいりました。海沿いの下道を北上し、道中色々と立ち寄りながら気仙沼で折り返してまいりました。

天候にも恵まれ、秋らしい夕焼け雲や、気仙沼大島から見た朝日がとても綺麗でした。

車で遠くに出かけた時、前を走る車のナンバープレートの地名が変わっていくのが好きです、ここまでやって来たんだなと実感します。
普段と違う景色を見ていると、時同じく私の知らない様々な暮らしが同時進行している、そこにはどんな物語があるのだろうと静かに思うのです。

遠くに行きますとその地域のFMラジオをよく聞きます。その土地の情報やCM等も聞いていると楽しいものです。

行く方向だけ決め、あとは時間と相談しながらの行き当たりばったりの旅でしたが、自分を見つめ直す意味でも素晴らしい時間でした。

帰り道
来たルートと違う道を選ぼうとも思いましたが、あえて行きと同じ海沿いを選びました。
もしかしたら数日前、まだこの先何があるのかわからない私とすれ違うかもしれません。

子供の頃、遠足の帰り道って寂しかったですね、女子がうるっときているところを男子が「泣いてやんのヤーイヤーイ」と茶化すわけですが、そう言ってる男子が一番寂しいんですよね
解散前にだいたい先生が言う「家に帰るまでが遠足です」という言葉にちょっとだけ寂しさが和らいだ記憶があります。
まあ気を付けて帰れって意味ですが…

FMラジオのノイズが増え出し途切れ途切れになっていきます、その地域の周波数に変えればいいものの名残惜しくノイズだらけのラジオを流し続けます。

「あーぁ、うんうん…」
とうとう聴こえなくなりました
静かにハンドルを握り直すのです。

『彼と彼女のソネット』♪

見覚えのあるナンバープレートの車が前を走り出しました。
もうこのあたりでは帰ってきたと実感するわけですが、先生の言葉を思い出し気を引き締めて運転します。

到着ぅー、総走行距離1,215km

自室に帰ると、急いで旅支度したので散らかり放題
そんな数日前の出来事もクスッとしてしまう思い出です。

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お嬢様にとりましてお屋敷の時間、またその道中も含め素敵な思い出になりますように

お嬢様がご出発される時、茶化す使用人が時々おりますけれど、きっとお見送りが寂しいからでしょうね、フフフ。