唯一無二を

道具は大事に使ってこそでございます。
お嬢様は大事に使いたいと思える道具に出会えておりますか?
伊織でございます。

万年筆をオーバーホールに出したいと思って、早1年がたちました。
時世の影響で持ち出す機会を失い、今に至ります。
まだまだ長く使いたいからこそ、少しの加減の悪さでも気になってまいります。わたくしの使い方のせいもありましょうから、いっそ、そうした問題点も見いだせたら良いのになぁと、相談したい気持ちばかりが膨らんでおります。

代わりなんていくらでもある――大概の物に当てはまる世の中ですが、それでも何物も代わることができない物が誰しもひとつはお持ちなのではないでしょうか。
大切だからこそしまい込んでおきたくなる物もあります。
ですが、目を離している時間が長いほど、予期せぬ変化をきたしていている可能性も大きくなります。
それが何であれ、大切だからこそ目で見て、触れて、使って――許される限り近くにおいて差し上げましょう。