古谷でございます

重たい扉は私が開けて差し上げます。
どうぞお先に、

今夜も物語を紡ぎましょう。薄明かりに照らされた木質のカウンターにて。

地上とは異なる大人の時間。

すこしだけほろ苦い物語。

吹きあげたアクアヴィットグラスに注がれる樽色。

「Don Julio Anejo」は古の文明、アステカの地が悠久の時を経て生みし魅惑の美酒。熟成された芳醇な香りがグラスを漂い伝わります。

Tequilaの濃密な口どけと供に薫る、爽やかですこしビターな柑橘のアロマ。

添えたオランジュショコラをご一緒に含んでみては如何でしょう?ほろ苦い今日の夜に相応しき、一段と大人びた、それでいで耽美なマリアージュを今夜は堪能できるはず。

聴こえてくる楽曲にはCharlie Parker Jr,を。

彼が奏でる12小節。その音の内にほんのりと哀、帯びるブルースに致しましょう。杉村イチオシでございます。

さぁ、お召し上がりあがりくださいませ。

どうぞお先に、

給仕はよりレディーファーストで。何せ「Au Privave」の本来の意味は執事の心構えの基本。

「Apres Vous」

それでは、貴女からどうぞお先に、
今宵、日々の感謝のお返しを此処に贈ります。

古谷