もういくつ寝ると誕生日?

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
伊織でございます。

まだ2月にもなっておりませんが、わたくしは3月の特別な日を見越したお務めを頂戴しております。

3月24日、ティーサロンスワロウテイルの開館記念日を祝ってご提供いたします特別メニュー「マダムバタフライ」とともにプレゼントさせていただく記念品の準備でございます。

11周年を迎える今年は、シックでクラシカルなお品物をと思って製作しております。

昨年10周年の懐中時計とは、また違った方向でわたくしの趣味が反映されつつありますが……大旦那様が、わたくしにお任せ下さったことを後悔されませんように祈るばかりでございます。

マダムバタフライに関しましては、3月のメニュー公開に合わせてウェブページ上でもご覧いただけるようになります。
どうぞお楽しみにお待ち下さいませ。

Loup garou

早晩、冬の気配が色濃くなって参りましたね。
街路樹が色あせないうちに、秋の空気をたくさん吸っておこうと思います。
伊織でございます。

今月のデザートプレート「Loup garou ルーガルー」の物語をご紹介いたします。

「人の気も知らずに照りつける満月が憎かったから、この爪で切り裂いてやった」

色気のない机をはさんで座る少年は「自分は狼男なのだ」と付け加えながら、そう言った。
とはいえ、僕には彼が本物の化け物かどうかなんて分かりようがない。
卓上灯に照らされる彼の顔は年相応な少年のそれであり、するどい牙もなければ獣のように毛深いということもない。
こうして彼を観察している間も少年はくちびるを尖らせたまま、差し出されたチョコレートを口に詰めこみ続けている。
その表情も仕草も、せいぜい僕より2つ3つ年下かなという推測ができるだけで、彼が狼男だと言われたって、うなずけるほどの理由はどこにも見当たらない。
僕はほおづえをついて、大きくため息をはいた。
仮にこの少年が本当に狼男だったとして、変身できない狼男なんて誰が信じてくれるだろうか?
肝心の月は壊れてしまったのだ。
もし彼がウソをついていたとしても、『実録! これが本当の狼少年』……なんて調書に書けるはずもない。
こりゃ厄介な事件を押しつけられたものだ。
第一、彼の何の罪を問われるのだろう?
月を壊したことだろうか、それとも狼男に生まれたことなのだろうか。それすらもよく分からない。
それでも昨夜から月がまっぷたつになって光を無くしたことと、彼が無類の甘党だということだけは疑いようがなかった。
僕はチョコレートで口元をべとべとにする少年を眺めながら調書の表紙を閉じ、またひとつため息をこぼした。

フレーバーティー心機一転

桜の盛りもあとわずかかと思うと寂しくなってしまいますね。
今年は桜のフレーバーティーも2種ご用意し、それぞれ趣のちがう香りをお楽しみいただけているかと存じますが、お嬢様のお好みはチェリーのみずみずしさを持ったチェーホフと和菓子のような優しさのワシントン、どちらでしょうか?
スワロウテイル、ギフトショップともに数量限定でのご用意でございます。お早めにお試し下さいませ。

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記念すべき日に向かって⑩

2016年3月24日で当ティーサロンが開館10周年を迎えますことを祝い、お嬢様方にお贈りする懐中時計の作成を大旦那様より仰せつかりました。
時計ができるまでの課程を、少しずつご紹介してまいりましたが、とうとう完成品が到着いたしました!
さっそくご披露いたします。

伊織でございます。

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