新ユニット…そして、カクテルサロン開催!

敬愛せしお嬢様へ。

時任でございます。
つい先日まで春風に揺れていた若葉が、気が付けば6月の雨にしとしとと雨滴を光らせております。
季節の移り変わりは実に慌ただしいものでございますが、人の世の移ろいもまた、ときに夏の雷雨のように激しく揺れ動くものでございます。

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もうひとつのバトラーズツアー

敬愛せしお嬢様へ
季節の移り変わりはいつも、訪れるまでは待ち遠しいものですが、一度季節が変わってしまうと瞬く間に気候が移りゆくものでございます。
風雪の中で、灰色の空から粉雪が舞い降りるのを眺めて過ごしたのか昨日のことのように思えるのに、今やもう、日差しが強くて外に出ることもできない有様でございます。

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心温まる酒

敬愛せしお嬢様へ

窓の外をふとみれば、粉雪がひらひらと舞っている。
いつそんな光景を見ることになろうと不思議ではないほどに、冬が色濃くなりましたね。

冬の夜は何処までも静謐な深さがございまして、散歩など致しますと、温度も音もない、時間まで止まったようなモノトーンの庭園に、銀月の明りだけが冷たく降っている様子に魅入られてしまいます。
庭園から森へ、森から薔薇園へと、静寂を楽しみ、ついつい時間を忘れて散策してしまうのも実に趣き在る事でございます。

されど先日に、散歩中の姿を、夜を更かし星を眺めていたフットマンに目撃され、「お屋敷を彷徨う亡霊」の怪談話を生み出したばかりでございました。

いらぬ騒ぎを起こさぬよう、散歩の際は重々に用心いたします。
…もう一寸ぐらい、生命あるニンゲンらしく見れるように振舞いましょう。

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友との絆に捧ぐ酒

我が敬愛せしお嬢様へ

夏が残した熱気を洗い流すような雨が続き、気付けば風は早くも、ひんやりと頬を撫でる秋の涼けさを抱いているようでございます。

寒暖の変化が日中にも激しく、予想のつかぬ日がしばらく続くことと存じますゆえ、お嬢様方におかれましてはどうか、ご面倒でも軽く羽織れる上着の一枚もお持ち頂きますように、お願い申し上げます。

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カクテルジュレ

我が敬愛せしお嬢様へ

今年の雨季は明けるのでしょうか。それともまだ霧雨の帳を下ろし続けるのでしょうか。
時折に降り注ぐ雨が、梅雨のものなのか真夏のスコールなのか判別しかねている時任でございます。

いずれにせよ油断ならぬ季節ゆえ、どうぞ傘は肌身離さずお持ち頂きますように。
太陽が顔を出しておりますときの陽射しも強うございますから、晴雨兼用をお持ち頂くのが一番かと存じます。
どうぞ準備万端になさり、優雅にこの季節をお潜り抜けくださいませ。

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今宵は猫の話をしましょう。

我が敬愛せしお嬢様へ。
夏の日差しを感じたかと思えば、静かに雨の降る肌寒い日が続いたりと、何とも気候の安定しない日々が続いておりますね。
こんな時期はお身体の調子も崩れやすいものでございますから、お食事を抜いたり夜更かしなさったりせず、規則正しい生活をお心掛け下さいませ。
無理をするとすぐに調子を崩してしまう時期ですからね。

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宿命の対決

我が敬愛せしお嬢様へ。

庭園を咲き染めておりました桜も瞬く間に散り、新緑の季節が訪れております。
桜一色に染まる庭園も美しゅうございますが、様々な色彩が咲き交わるこの季節もまた格別でございますね。
とはいえ、急な雨が多いのもこの季節の特徴でございます。
どうぞご面倒でも、晴雨兼用の傘はお持ち頂き、急な雨に濡れたりせぬようご自愛下さいませ。

私事ではございますが、時任は毎年、桜の季節に宿敵とのチェス勝負を行う慣わしがございます。
今年は色々と庶務もあり、桜が舞う下で…とは叶わぬ事となりましたが、次のお休みを頂いております日に、新緑の下で一勝負交わしてまいる予定でございます。
今から、気付くと架空の盤面を脳裏に描き、如何に布陣を敷くべきか、如何に騎士たちを進軍させるか…そんなことばかり考えてしまいます。

…楽しみにしている?
そうなのかもしれません。

遠く離れた友との、久々の邂逅でございますゆえ、豪徳寺執事に賜ったワインを手土産に、チェス盤を挟んで、馬鹿らしい軽口の応酬に華を咲かせてまいります。
あ、ちなみに友人は下戸です。このワインは自分用でございます。
目の前で美味そうに飲んで見せ、羨ましがらせるための嫌がらせでございます。

それでは、暫くばかりお屋敷を留守に致します。
どうぞお嬢様。私がいない間、爺やや執政の申す事には、ゆめゆめ耳を傾けて頂き、あまり我儘を言って困らせないようにお願いいたします。

夜はまだ冷えますから、暖かくしてお休み下さいませ。

時任