V.V.

秋風吹く空を見上げて、北新地へと向かう黄金色の銀杏並木を思い出しました。

その落ち葉を踏み締めた感覚が起因となり郷愁の想いに耽る能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

 

ソムリエが年に最もそわそわするボジョレー・ヌーヴォーの季節でこざいます。

本年の新酒には一体どのようなキャッチコピーがつけられているのでしょうか。

こちらの日誌がお嬢様の目に留まる頃には、文言が決まっているとよいですね。

 

今年は時任とともに、2025年のボジョレー・ヌーヴォーをお届けいたします。

五年以上も前、時任とワインバーに立っていたことを非常に懐かしく感じます。

味覚のプロフェッショナルでございますので、選定したワインが楽しみです。

 

本年の新酒は、昨年とラインナップを少し変えてご用意する予定でございます。

入れ替わりのあったボジョレー・ヌーヴォーを、簡単にご紹介いたしましょう。

 

Gaspard et Lisa Beaujolais Nouveau 2025

リサとガスパール ボジョレー・ヌーヴォー 2025

僭越ながら私が選定いたしましたこちらはお屋敷に初登場の一本でございます。

可愛らしいタッチで描かれました、何とも言えない表情の動物たちが愛おしい。

お嬢様が幼少期によくお読みになっていた絵本を彷彿とさせるエチケットです。

デザインとは裏腹にワイン自体は本格派。優美なエレガントを纏っております。

 

Lou Dumont Beaujolais Nouveau Vieilles Vignes 2025

ルー・デュモン ボジョレー・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ 2025

こちらは、時任が選定いたしましたボジョレー・ヌーヴォーでございまして、

日本人醸造家の仲田晃司さんがフランスに渡り開いたワイナリーの一本です。

ヴィエイユ・ヴィーニュ、通称「VV」。古樹に成ったブドウから造られました。

新酒でありながら、ワイン通好みの複雑なアロマを愉しめそうでございます。

 

11月も始まり、様々な生産地のたくさんの新酒がお屋敷に届いてまいります。

ソムリエが浮き足立つ季節、お嬢様も本年の味わいをご期待くださいませ。

 

能見

回顧

ご機嫌麗しゅうございます。

室戸でございます。

フットマンとしてティーサロンにて給仕するようになり、およそ半年が経過いたしました。

この半年の日々は、わたくしにとりまして、何物にも代えがたい、光栄と喜びに満ちた時間でございました。

初めてお屋敷の門をくぐったあの日から、わたくしの心は、ひとえにお嬢様のお傍でお仕えすることに捧げられております。

思えば、最初は緊張からミスもございました。

今思い返しても冷や汗をかいてしまいます。

半年が経過し、わたくしは少しばかりではございますが、お嬢様の日常の機微を察することができるようになってきたとも感じております。

使用人の務めといたしまして、最も重要なのは、お嬢様が心穏やかに、そしてご自身の望むままに日々をお送りいただけるよう、影となり、盾となることでございます。

この半年間で培った、わずかながらのお嬢様への理解と、フットマンとしての経験を糧に、わたくしは今後も精進を続ける所存でございます。

願わくは、この先、何年、何十年と、お嬢様のお傍でお仕えできますよう。

わたくしの生涯は、お嬢様の幸福のために捧げられております。

明日からも、初心を忘れることなく、お嬢様のティーサロンでの一時を支えさせていただきます。

感謝を込めて。

十一月は、なんの月?

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

ほんの少し前まで、暑さにあえいでいたと思ったら、朝夕は上着が必要なほど肌寒い日々がやって参りました。
最近、たびたび話題に出ることでございますが、とうとう日本の秋が失われてしまったかのようでございます。
そんな中でも、十一月だけは短いながらも、秋の面影を感じられそうです。

十一月。
秋の終わりと冬の始まりの狭間。
これといった行事もなく、その月らしさというものを思い出すことは難しゅうございます。
しかし、ものは考えようでございまして、年末になりますとバタバタと忙しくなり、一年をゆっくり振り返る余裕もなくなってしまうもの。
このなにもない透明な一か月で、今年を思い返してみるのも一興のような気がいたします。

また、使う機会も少なくなってしまいましたが、食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋という言葉もございます。
駆け足で秋が過ぎ去ってしまい、すぐに冬の気配も忍び寄ってまいります。
せめて、今月だけは秋の楽しさを存分にお楽しみいただければ幸いです。

なにもないと思っていた十一月でも、けっこう忙しくなりそうでございますね。
お嬢様方、どうぞお風邪など召しませぬよう、重々ご自愛くださいませ。

そろそろ、厚手の上着と冬の寝具のお支度もしませんと。

諏訪野でございます

ご機嫌麗しゅう、お嬢様。諏訪野でございます。

この度当家に、新たに以下4名のティーアドバイザーが誕生致しましたことをご報告いたします。

明石、野崎、卯月、近衛

今後もお嬢様のお役に立てるよう、しっかりと励んでまいるとのことでございますので、あたたかく見守って下さいますようお願い申し上げます。

これからの活躍にご期待くださいませ。お早いお帰りをお待ちしております。

日誌

ご機嫌麗しゅうございます。
久保でございます。

秋の運動場というのは、不思議な場所でございますね。
誰もいないはずなのに風が吹くたびに、どこか遠くで笑い声が聞こえるような気がいたします。
落ち葉がサラサラと音を立て、白いラインの上を転がっていく…
まるで、過ぎ去った季節たちが、もう一度走り抜けているようでございます。

けれど、よく見ておりますと落ち葉というのはただ散っているわけではございません。
風に運ばれながら、運動場のあちこちで小さな模様を描いていくのです。
それはまるで、人の記憶のようでございます。
形も色も違う思い出が時間の風に押され、少しずつ寄り添いながら、模様をつくっていく。

思い出とは、積もる落ち葉のようなものかもしれませんね。
時には踏みしめてしまいたくなることもございますますが、ふと足をとめて見つめると、そこに確かに自分の足跡が残っている。
あの日の息づかいや、かすかな声の余韻までもが、まだ風の中に漂っている気がいたします。
だから私は、運動場を掃くときも、すべてを片づけようとはいたしません。
少しだけ残しておくのです。
風が吹けば舞い上がり、陽が当たればきらりと光るそんな一枚の記憶を。

それはまるで、心の奥に残した小さな光のようなもの。
過ぎ去った時間を思い出すたび、静かに温もりをくれるのです。

落ち葉も記憶も、消してしまうには惜しいもの。
それらが重なり合って、今日の自分を形づくっていくと存じます。
お嬢様、私は決して落ち葉を片付けるのが面倒になったわけではございません。

そうです素敵な記憶を残しておきたいのです!

ですから、これから午後の給仕に備えてお昼寝をさせていただ、、、。

い、今一度お掃除に行ってまいります。

読書の秋(?)

お嬢様ご機嫌麗しゅうございます。綾瀬にございます。

「秋と言えば何」と申しますと様々な答えがあるかと存じます。食材の場合もあれば何々の秋と言った言葉もございますね。私は運動とお答えしたいところでございましたが根っからの出不精にございますれば、「読書の秋」を過ごしたいと考えました。
私の読書の原点は映画の原作小説を読み始めたところからでございまして、今年は話題となった映画も多くございましたからとても楽しゅうございます。そろそろ寒くなって参りましたが温かい紅茶と共に読書をなさると言うのも素敵な時間かと存じます。

ただ一点大きな誤算がございました。今年話題の映画の中にホラー映画がございまして、街中の広告などで目に入っておりました故にふと思い立ち手にとってみたのでございます。あまり造詣の深くない分野でございますからワクワクしながや読み進めますと、なかなかどうしてゾワッと背筋が寒くなって参ります。小説ならではの面白さを確かに感じつつ「絶対この季節ではない」と凍えながら強く思った次第でございます。

まぁ捉えようによっては夏と秋の風物詩を一挙に味わっているのでお得と言う事も出来るのかも知れません。なんなら紅茶には「チェーホフ」でも淹れましょうか。
おそらくまだ戸棚にあったはずでございますが………

では大捜索に参りますので本日はこの辺りで。
ご帰宅をお待ちしております。

『山岳部』2

前回の日誌の続きでございます。

御来光を見るために深夜4時に出発いたします。
20時に消灯するため三人で就寝するのですが、左を見ると目の前に的場の足がある程スペースがなかったため、わたくしはほぼ寝られませんでした。
それもあるのか、頭痛と若干の体調の悪さが襲ってきます。

深夜の登頂のため、
本当に気をつけて登らなくてはならないのですが、
宿舎から出てから頂上までの登山は

雨で目の前が霧になっておりまして、

視界が悪い、
雨で足場が悪い、
気圧での空気の薄さ、
寒さによる身体の動かなさ、
突風での吹き飛ばしと
それらを疲労した状態で立ち向かわなければいけない山の怖さをひしひしと感じました。

一度突風で後ろに飛ばされそうになった時には
これは本当に気をつけなければ
お屋敷に帰れなくなると
身を引き締めて登りました。

頂上に着いた時は少し放心状態でした。御来光は霧でほとんど見えませんでした。
となればせめて剣ヶ峰には何としても行きたい。ここからは約20分程。ほとんど気合だけで登りました。

剣ヶ峰で写真を撮る時はあまりに嬉しくて拳を突き上げて写真を撮ってしまいました。

もしかしたら何処かでその写真をお嬢様にお見せ出来るかもしれませんね。
わたくしにとっての良い思い出がまた一つうまれました。

無事目的が達成出来たのは
能見、的場のおかげでございます。彼等がいたからこそ自身を鼓舞して登ることが出来ました。
本当にありがとうございました。

帰りの馬車では

『次はどの山登りましょうか?』

という話をしながらお屋敷へ向かっておりました。

これはもはや

『山岳部』

だなと感じたのでした。

 

10月7日、そんな思い出を胸に

能見、影山でご用意したエクストラティー『富士山』でございます。

また何かしらご一緒に思い出を共有させていただけましたら嬉しゅうございます。