君さらう 色なき風と 終列車

目を傷めるような陽の強さに閉口する毎日でございますが、そんな陽にどことなく赤味が見て取れるようになると、いくらかは涼しい季節へと近づいているのだろうかと
期待せざるをえません。
いかにして暑を避け涼をとるかは、まだまだ当面の課題であるようです。

先日ちらとお話ししたローズヒップのコーディアルもよろしいですが、この季節にお召し上がりいただくならエルダーフラワーの物もおすすめです。あっさりめの紅茶で割っていただくと、また格別でございます。
いかがお過ごしでしょうか、伊織で御座います。

さて、本日は8月19日。ごろ合わせから俳句の日とされております。
お嬢様方に日本の伝統文芸である俳句に少しでも触れていただこうという大旦那様のご意向から、昨年よりこの8月19日にご帰宅いただいたお嬢様方に、わたくし伊織の認めさせていただきました句をお贈りしております。
稚拙な出来でおはずかしゅうござますが、五七五の音に触れていただくだけでもとご用意させていただきました。

さて、この度は――

解けじままと 願の糸に 結ぶ指

という句を詠ませていただきました。
切れの悪さがお恥ずかしゅうございます。

分かりづらいですが、「願(ねがい)の糸」が季語でございます。七夕の折、織姫に願いを託して飾る五色の糸のことをこのように呼びます。
今さら七夕と思われるかもしれませんが、実はりっぱな秋の季語なのです、

先日訪れたある七夕祭りでの情景でございます。
手をつなぎ、七夕の竿飾りを見上げる若い男性と女性――学生でございましょうか。

「いつまでも、こうして手をつないでいられますように」

そんな願い事が聞こえてくるようです。

つないだふたりの手、そんな手が離れないようにと願の糸に向けて組んだ指。
いっそ願いを遂げるため、糸で指を結んでしまえたら……。
わたくしが感じえた、ふたりの思いを詠んだ句でございます。
願いが聞き届けられますように。

と、まぁ、そうして句を詠んでいるわたくしはと言えば、

溶けじままと 願いつすする 夏氷

今年の夏も暑うございます。