麗らかな春光の候

ご機嫌麗しゅうございます。お嬢様。

 

日々温かさが増して行き、ようやく春本番といった様子。

街路樹の桜も、まるでお嬢様をお迎えするかのように一片また一片と花を開いていき、あっという間に満開に。

その美しい情景たるや、見上げれば枝の隙間からこぼれる光が花びらに反射し、薄紅がかった白い霞のような空が視界すべてを覆い広がり。風がそっと吹けば、花びらはユラユラと舞い落ち空気そのものが淡い香りを帯びてゆくようでございます。

 

桜の名所と言った所へ赴けば、それはもう大勢の花見に勤しむ方々でいっぱいでした。

桜の木の下は海のように青いシートを敷き全力で宴を楽しむ人々。

歩き見ている人も歩を進めるスピードは様々でしかしながら皆天を仰いで思い思いに眺め、時に足を止め機器でその一瞬を写していたり、各々がそれぞれの方法で心にとどめているようでした。

 

満開の桜の下で人は皆、満面の笑みでただその美しさに心を預けている様子でした。

この時がずっと続けば良いのにと思わずにはいられないのでした。

 

 

 

 

 

 

 

ところが

せっかくソメイヨシノの開花を告げたその日から花散らしの雨風に見舞われる日も多く

あっ

という間に緑の葉と枝がむき出しの姿になってしまったのでした。

しかしながら桜は咲くその瞬間にすべてを注ぎ込むかのように、短い命を惜しげもなく輝かせます。

だからこそ毎年こうして私を含め多くの人々を魅了して止まないのでしょう。

 

そしてお嬢様にお届けしたい春を告げる花がもう一つ

それはネモフィラ

とある使用人にお話をいただくまでは不覚にもあまり気にも留めることはございませんでした。

しかし、その公園に足を運び私はその圧倒的なまでの青の絶佳に言葉を失うのでした。

ネモフィラは「瑠璃唐草」とも呼ばれ、春の庭を淡い青で染め上げる可憐な花でございます背丈は控えめでありながら、群れ咲く姿はまるで青い絨毯のよう。ひとつひとつは小さくとも寄り添い合うことで風景を変えてしまう、その慎ましさと力強さが、なんとも奥ゆかしくございます。

 

 

 

 

 

 

 

頬を撫でる春の風にプルプルと揺れる可愛らしい花たち。

風に揺れる青の光は、心をやさしく包み込み優しさで満たされてゆくのを感じました。

 

今年の春は長くあって欲しいと願うのでした。

 

季節の変わり目ゆえ、どうぞご自愛のうえお過ごしくださいませ。

お嬢様の春が、やわらかな幸福に満ちたものでありますよう。

 

葉山