木漏れ日に暖かさを感じ、庭園で読書できる日を待ち遠しく思いました。
日が長くなるのを感じて、意味もなくそろそろかと呟く能見でございます。
お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
街を歩くとあちらこちらで発するカカオの香りが鼻腔を刺激してきますね。
大人になってからというもの、なるべく甘味の摂取を控えているのですが、
昔はどちらかというと甘党だったなあと、幼少の頃を振り返っております。
自分で初めて作ったお菓子は「大学いも」でございました。我ながら渋い。
小学生の頃に、ひとつ歳の離れた、当時兄のように慕う存在がおりました。
長男の私を可愛がってくれる、とても面倒見のよい好少年でございました。
遊びに行ったときにおやつで作ってくれたのが、「大学いも」でございます。
お芋のカットがスティック状だと火が入るのに時間がかかってしまいます。
薄い輪切りにして水にさらして、シュガーバターでじっくり炒めたら完成。
小学生でも簡単にできる、美味しさも兼ねた安心安全レシピでございます。
四苦八苦しながら見様見真似で作ったことを今でも鮮明に覚えております。
小学校を卒業してからは親交が途絶えて、連絡を取る手段もありませんが、
どこか同じ空の下で、元気に生きていてくれたらなと切に思います。
先日一時的に浪花へ帰省した際、変わらない実家のキッチンを見たことが、
幼少期のお菓子作りの光景を思い出す、とても大切な引き金となりました。
糸口がないと思い出せないことが、大人になるとますます増えてゆきます。
しかし、きっかけがあるとしっかりと覚えているものだな、とも思います。
お嬢様にとりましても、そのような記憶の端緒はございますか。
能見