行方不明者捜索願

お嬢様、いかがお過ごしでしょうか。

伊織でございます。

 

 

メガネを無くして早3,4ヶ月くらい、すでにいつから行方不明なのかも分からないまま時間だけが過ぎてゆきます。

せっかく気に入って購入したメガネだというのに、入浴かなにかのタイミングで外して以降、その姿を見ることはありません。

 

 

毎度なくし物をしますと自身では見つけるのがヘタクソ過ぎて見つからず、椎名執事によって発見されるという恒例行事を繰り返しているのですが、いかんせんメガネは私室にて行方不明になってしまったがゆえ、椎名執事の力を借りるというのも気兼ねいたします。

 

 

どうしたらこんなにも物を無くすことができ、また見つけることができないのか、あの日母親に問われた言葉は今も変わらず自分自身に向けて問い続けられています。

香りというより、匂い

お嬢様は愛読書と呼べる作品はお持ちですか?

ご自身に大きな影響を与えるほどの作品に出会えるという体験は非常に希少で、貴重なものでございます。

いかがお過ごしでしょうか?

伊織でございます。

 

 

書店には独特の香りがございますが、香りというよりも匂いと表現したくなるのはわたくしだけでしょうか。

この匂いは図書館でより強くなり、古書店においてはさらに強くなるように感じております。

本、とくに古い本が放つ匂いには非常に独特のものがございませんか?

時間を経た紙やインク、ホコリの放つ成分だけでなく、きっとそこには本に触れてきた数多の人間の手が作用するものもきっとあるのではないでしょうか。

知らない他人の手と考えるとあまりいい気持ちはしないかしれませんが、博物館や骨董品の類いとはちがい、都度きれいに磨かれ、手入れが行き届いたものとは違う歴史の積み重ねがそこに現れているようで、わたくしは嫌いではありません。

何十年も前に絶版となった本が放つのと同じ匂いを、わたくしが所蔵する愛読書は同じだけの年月を経た後に放つことができるでしょうか。

わたくしひとりが幾度となく手に取って読もうとも、古書店に積まれた本と同じ仕上がりになるとは思いません。

想像の及ばぬ様々な人々の手と時間、手入れの行き届き具合と行き届かぬ具合の積み重ねが作り上げる匂いなのだと思うのです。

 

それを不衛生ととるかロマンととるか、こればかりは他人に強要できるものではございませんね。

 

日本人が好む数字として「3」があるというのはよく知られていることですが、いや、日本人に限らず人間の好む数字といってもよいかもしれません。

なにせ世界中に三大なにがしというものがあまりにも多く存在しているのですから。

いかがお過ごしでしょうか。

伊織でございます。

 

世界三大なにがしというと、お屋敷としては一番最初に連想するのは世界三大紅茶ではないでしょうか。キームン、ウヴァ、ダージリンの三産地をさす言葉でございます。ただし、三大紅茶、もしくは三大銘茶という呼び方は日本くらいでしか通用いたしません。

商業的な画策などがうごめいていたのでしょうか……?

 

私的には三大なにがしに日本由来のものが含まれていると、なんだか懐疑的になってしまいます。

例えば世界三大美女のクレオパトラ、楊貴妃と並ぶ小野小町や、世界三大キノコ「トリュフ、ポルチーニ、マツタケ」に含まれるマツタケなどです。

 

失礼ながら小野小町様がいかに美しかったかは勉強不足ではありますが、はたして何千年という歴史の中で選ばれる3人の中に本当に選ばれるほどの方なのだろうか……マツタケなんてありがたがって食べるのは日本人くらいだそうですが、そんなマツタケが本当に世界のトップ3に選ばれるものだろうか、と都合よく日本国内向けにだけ制定されたもののように感じてならないのです。

 

あくまで個人的な感想でございます。

勉強を怠らず、できるだけお嬢様の前で恥ずかしいところをお見せしないように努めてまいります。

まだまだ

まだまだ暑い日が続いております。

日が暮れてからは幾分涼しい風を感じることもございますが、なんだかそう思いたいだけという気もいたしまして、夏の呪縛から抜けるには時間がかかるだろうなと頭を垂れる毎日でございます。

いかがおすごしでしょうか。

伊織でございます。

 

昔ながらの涼のとり方も風流で大変よいのですが、ここ100年で気温がぐっと上がっていることを考えますと、今や風流なだけでは暑さをやり過ごすことはできないのだろうと納得せざるを得ません。

技術の恩恵を受けることに反発したい気持ちはあれど、背に腹はかえられません。空調は絶えず稼働しっぱなしでなければ耐えられるものも耐えられなかったりいたします。

暑さだけではございません。

強い日差しへの対策も大切ですが、これはわたくしなどが口を出す必要などありませんね。お嬢様の方がお詳しいことは百も承知でございますし、わたくしが学ばせていただかなければならないことのひとつでございます。

 

外から体を守るための道具や努力も大切ですが、体の内側から整えることもどうかお忘れのございませんように。

旬のものを口にし、どうかお元気なままで秋を迎えられますように。

どく

過ぎたるはなお及ばざるが如し。

心して日々を過ごしたい言葉でございます。

伊織でございます。

 

 

様々な毒が世の中にはあり、我々の命を脅かすわけですが、人間は動物として非常に毒に強い生き物であるということを知り、驚いております。

 

動植物が捕食者から身を守るために得た毒ですが、どうも人間にはあまり効いていないようです。もちろん命の危険があったり、心身に多大な損傷を及ぼす毒があることは承知の上ですが、もっと身近で毒だと認識していないものが、意外と人間以外には毒となり得るのだそうです。

 

それはたとえばニンニクの香り成分であったり、コーヒーや紅茶に含まれるカフェインだったりするのです。

ニンニクも1日の摂取目安量が定められているようで、食べ過ぎには注意が必要なのだそうですが、カフェインもまた摂り過ぎがよくないことはお嬢様もご承知の通りです。

生物によってはこうした成分が命を奪いかねないのだと考えると、なるほど、きちんと用量を守って口にする必要があるのだなと理解できます。

 

なかなか調べてみると面白そうですね。

つゆ

伊織でございます

 

梅雨入りの早かった今年、その分早く明けてくれるのだろうかと期待しつつも、梅雨が明けたところでカラッとした夏が来るわけでもないなと思い、残念な気持ちでおります。

伊織でございます。

 

 

月が変わると同時に、7月1日、2日と開催されるオーストラリアはシドニーのコンベンションにお邪魔してまいります。

2019年から久々の海外でのお勤めでございます。

しばしお屋敷を空けることとなりますが、どうかご容赦いただきつつ、旅のご報告をお待ちいただけたらと思います。

 

無事に帰国のご挨拶ができることを祈りつつ、行ってまいります。

灯台もと暗し

疑問を抱かずに日々生活していると、ふとしたことでひょんな驚きに出会うものです。

お嬢様はいかがお過ごしですか。

伊織でございます

 

 

わたくしが最近知った驚いたことは、『納豆は冬の季語』です。

いまや一年中、どこででも購入することができ、健康食品の王者とも言える確固とした地位を確立している納豆ですが、実は冬の季語なのだそうです。

納豆は元々冬に仕込み、日持ちしないためにすぐ消費されるという食品だったのだそうです。そのため、納豆は冬の季語だというのです。

 

 

江戸時代の風俗などを学んでみますと、納豆+こたつ+女性というモチーフで描かれる浮世絵なども存在するそうで、こたつの熱を利用して豆を発酵させた、なんていう話にも信憑性を感じます。

 

 

どうしても、納豆と申しますと好みの分かれる食品の代表ですが、意外と海外にも納豆に類似する食品は様々存在してもおります。

土地ごとの食文化の成長とともに、どのように影響されて生まれた文化・食品なのかもたどっていくと楽しそうですね。