見るなの禁

2022年はこのような具合でございました、かくかくしかじかといった日誌が連日お嬢様のもとに届いているのではないでしょうか。

面白くもないことを承知で私も同様の日誌を認めようかと存じます。

 

さて今年は昨年に続きよく映画を見た1年でございました。
特に意識しないで見ていたのですが、昨年は100本、今年はこのままのペースで150本近くは見たことになりそうです。
配信が気軽に楽しめる環境になり5年前10年前の100本よりもはるかに容易でございます。
(そもそも量は量でしかないので良し悪しがあるなと思いますが)
相変わらず学ぶことばかりなのですが、司馬執事と会話をするにも以前よりも少しはついていけるようになったかもしれません。

 

さてそんな2022年でございますが。
視聴したリストを振り返ってみますと、
年始の連休で最初に選んだ作品が

ルードヴィヒ
マイ・プライベート・アイダホ
最後の決闘裁判

という素晴らしい内容。
この上ない開幕でございました。
その後も

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
ウエスト・サイド・ストーリー

などの新作。
そのほかには

パターソン
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
ノスタルジア
海辺のポーリーヌ
去年マリエンバートで
ガタカ
インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
アラビアのロレンス

などなど、
感動した作品を挙げればきりがございませんね。

今年は新しい出会いを求めて、ついつい未見の作品にばかり手が伸びてしまっていたので
来年はその瞬間に観たいと思うものを素直に選んでみてもいいなと思っております。
いずれにせよ、この豊かな時間を楽しめるような余裕を持っていたいものです。

良いお年をお迎えください。

秋をおもう

秋の軽井沢が好きでして。
ここ数年必ず訪れておりました。

新幹線から一歩足を踏み出した瞬間、ひんやりとした空気が肌を撫で、
駅舎からでますと目の前に真っ赤な紅葉が広がります。

そしていつものホテルへキャリケースを転がしながら、いつもの道を歩く。
この幸福感。

何年も足を運びますとお気に入りのお店も増えるのですが、毎年必ず行ききれない場所もでてくるので、翌年あらためてそちらに足を運びます。

軽井沢の面白いところは普通のコンビニエンスストアでも、異常に高価なワインが当たり前であるかのように並んでいるところでしょうか。
さすがに買うことはないのですが、毎回眺めてしまいます。

 

さてそんな軽井沢ですが、今年はタイミングを失ってしまい足を運ぶことができませんでした、久しぶりに初夏でもいいのかもしれませんね。

お嬢様方も別荘を探してみてはいかがでしょう?
私もお供してお手伝いいたしますので。

わたしのカヌレ

昔からカヌレが好きで。
もう5年以上前でしょうか、一度私の提案で当家のパティスリー用にご用意しようという話があったのですが、焼き型の問題で流れてしまい、その後再びティーサロンでお出ししたという経緯がございます。
その上で今回改めて声をかけていただきカヌレをご用意できることとなりました。

 

表面の飴のようなぱりぱり、その下の厚みのある硬さ、そして中はしっとりもちもちと。
ただ、ぱりぱりならいいというものではございません、伝統菓子という側面を鑑みますと、多少しっとりした上でリズムの良い食感が残るくらいが美しゅうございましょう。
顔に近づけたときの香ばしい香り、そして口の中で広がるラムやブランデー、濃厚な卵の風味。
お菓子の由来も、ボルドーという世界屈指のワイン生産地で、その過程で余る卵黄を消費するために生まれたというエピソードすら美しく感じます。

このように
カヌレという菓子においては、残念ながらシンプルなスタイルこそが至高であると認めざるを得ません。

 

しかし、私がカヌレをティーサロンで提供した数年前とは違い、最近は至る所でカヌレを目にするようになりました。
応援していたロックバンドが売れてしまったときのような喜びと悔しさが入り混じっているのが正直なところではございます。ただそのような環境だからこそ、定番のカヌレでは私がご用意する価値が薄いのではないかと思い、今回は、少しアクセントのある味わいを提案いたしました。

 

軽くスモーキーなウィスキーをベースにハチミツとハーブを漬け込んだリキュール、ドランブイという英国のお酒を使っております。
ボルドーは過去英国領だったこともございますので、浅からぬ縁があるリキュールなのかなとも思います。

深まる秋にぴったりの焼き菓子ですので是非お手に取っていただければ幸いです。

9月のお品

ご機嫌麗しゅうございます。大河内でございます。

今月は私がタイニーブルームーンでカクテルをご用意いたします。

今回のテーマはデザートカクテル。
1杯でデザート代わりになるようなお品を3つご用意いたします。

 

まずは
アレキサンダー

チョコレートを生クリームに溶かし込み、そちらにスパイスとリキュールを合わせてシェークします。
年始にカルヴァドスを使い同名のカクテルがございましたが、その時の経験と、召し上がってくださったお嬢様方の感想をもとにブラッシュアップしてご用意いたします。
ベースとなるお酒にはブランデー、ヘネシーのスリースターを使用します。

 

ふたつ目は
グラスホッパー

ミントリキュールとチョコレートのカクテルです。
グラスホッパーは今までお屋敷で何度もアレンジされています。
私、大河内がどのようにアプローチするのかご期待ください。
レシピは調整中なのですが、無糖練乳かホワイトチョコレートを生クリームに溶かし込みそのまま飲めるようにおつくりしようかと考えております。

 

みっつ目は
ロイヤルミルクティブランデー

手製のアッサムシロップ、生クリーム、キャラメルシロップをベースに、ブランデーとスパイスを加えてチャイ風に仕上げてみようと思います。
餅は餅屋ということで、伊織に相談し、パンダーバの茶葉にスパイスも選んでもらいました。
後は私の腕次第ですので頑張ろうと思います。

 

どれも本当に素晴らしいカクテルです、ご都合がよろしければ是非ティーサロンまで足をお運びください。おまちしております。

コロニアル

今月は私が提案したケーキ「コロニアル」をご用意できる運びとなりました。

 

以前何度か認めましたが、真夏ほど忌々しい季節もございません。

(ただ一方でその強烈で過酷な日差しと空気を五感全てでもって刻み込めること、そしてその全てがゆっくりと去っていく晩夏には強い美しさも感じます)

そのような夏に、多少なりとも楽しみを見つけられるすれば、コロニアルスタイルではないでしょうか。

ポアロの「ナイル殺人事件」などがわかりやすいでしょうか。
服飾、建築、インテリアなどにみられる様式ですが、時代がかった夏の美しさを発見できるはずです。

ポアロ自身もデザートを愛してやまない人物だったと思いますが、今回はそんなコロニアルスタイルテーマにデザートを用意でございます。

 

しっとりとした食感のダックワーズにマンゴーとパイナップル、ココナツのを組み合わせております。
しかし夏らしく味わいは軽やかに。

ご用命いただければ幸いです。

 

最後になりましたが、私の我儘を素晴らしい形で実現してくれた当家のパティシエに感謝いたします。

日誌

藤。春の青い空のもと、風に揺られながら視界一面を覆う様は、まるでシャンデリアのようです。
またその風に運ばれる香りのなんと美しいこと。
この花の前ではどんな香水であろうと無粋でございましょう。

この枝ぶりをご覧ください。伏龍という単語がございますが、まさに龍が水の中で横たわっているかのような姿。圧倒されます。
こちらの藤は樹齢200年を超えるそうです。
あまり実感もわきませんね。日本でしたら江戸時代。ヨーロッパでしたらフランス革命の後、ナポレオンの活躍も終わろうとする時期です。
それだけ長く生きた藤が、200前と同じように、今年もまた私の目の前で花を咲かせているという事実を前にしますと、自然と畏怖の念が芽生え、万物に魂を感じ取り、神として奉る感覚もわかるような気がいたします。

当家の庭園でも藤が美しゅうございましたね。来年は散る前にお散歩して存分にお楽しみください。

ラムパンチ

お嬢様。いかがお過ごしでございましょうか。
初夏の爽やかさから、徐々に湿気をまとった空気を感じられるようになってまいりましたね。
体調をくずしてらっしゃいませんか?

今月私が主催いたしますタイニーブルームーンでは、そのような空気を吹き飛ばしてくれるような力強いカクテルをいくらかご用意いたします。

パンペロ アニバサリオという上質なラムをベースにいたしました。

どれもスタンダードなカクテルのレシピなのですが、
私なりに意匠を凝らしなかなか面白い味に仕上がったと自負しております。

前回よりも、今私自身が飲みたいと思う味を素直にご用意するつもりです。
日取りが合うようでしたら是非お召し上がりください。