​実りの秋と、心安らぐ一冊を

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。

室戸でございます。

​初秋の風が心地よく吹き抜ける九月。

お屋敷の庭園では朝夕の涼やかさとともに、秋桜が可憐に揺れております。

お嬢様におかれましては、いかがお過ごしでございましょうか。

さて、​秋といえば「読書の秋」。

不思議なもので、同じ本であっても開く時期やその折々の心情によって、心に残る一節や思い浮かぶ情景が大きく変わるものにございます。

また「食欲の秋」の楽しみとして、今月は旬の味覚をふんだんに取り入れた特別なお品をご用意いたしました。

本を片手に、贅沢なひとときをお過ごしいただければ幸いにございます。

​季節の変わり目、夏の疲れが出やすい時節でもございます。

どうかご無理をなさらず、お体を大切にお過ごしくださいませ。

それでは、今月もお嬢様の健やかな笑顔にお目にかかれますことを、使用人一同、心より楽しみにお待ち申し上げております。

14/88

気候の変化は食べものの旬にも影響を与えるものです。

四季が失われつつあるという話をよく耳にしますが、同時に季節感をともなう食べものの旬というものも失われていくのかもしれません。

 

 

このようなことを申すと怒られてしまうでしょうが、今や様式美となりつつある伝統的な季語も意味をなさなくなり、ますます形骸化してしまうのでしょう。

さみしいものです。

伊織でございます。

 

 

秋から冬にかけて空気が澄んでいくにつれて、夜空を見あげて星を探す機会が多くなるように思います。

星同士を線で結んで星座に編んでは、はて何の神話に登場するものだったっけ、と首をひねります。どうにかして助けによらず思い出したいもので、眉間にぎゅっとしわを寄せながら夜道を歩こうものなら、自然と人に道を譲られていたりするものです。

そんなに怖い顔して歩いてるものでしょうか?

 

 

そうして悩んでいても答えにたどり着けない星座がどうしても出てまいります。

神話のない星座群です。元も子もない話でございます。

星座がすべてギリシャ・ローマ神話に由来していると思いきや、18世紀になって制定された器具や芸術の道具を象る星座の一群というものが存在いたします。

「けんびきょう座」とか「じょうぎ座」などがその一例です。

 

 

古くからある星座でも、こいぬ座のような「おいおい、ムリするなよ」とつい口にしたくなる形の星座があるというのに、この新しい星座群はツッコミどころに事欠くことがございません。

ラカイユの設定した新しい星座の内、9月に見えるのは「けんびきょう座」です。

暗い星ばかりで見つけづらい星座、望遠鏡でものぞきながら探したいものです。

 

ちなみに「ぼうえんきょう座」は日本からは半分しか見えないそうです。

片目をつぶってよーく探して……見つからないならもう片方の目もつむって、ゆっくり眠るといたします。

からくり

敬愛せしお嬢様へ
猛暑が続くかと思えば夏の嵐も続き、お体への負担がいささか心配にございます。お嬢様、御身ご健勝にお過ごしであられますか?気候に恵まれぬ日々は無理をなさらず、涼しき場にて余暇をお過ごしいただくのが一番でございます。
以前の日誌にてこんな時期、時任めは美術館や博物館、図書館を巡るのが趣味と申し上げましたが、先日は上野の国立科学博物館にお邪魔してまいりました。上野は美術館にもお邪魔したばかりでございますが、数々の文化施設が立ち並び実に学びにも余暇の無聊を収めるにも良き地にございます。
他の様々な施設についても追ってご案内差し上げたくはございますが、そもこの国立科学博物館一つ取っても多彩にして広大な施設であり、到底一日で周り切れるものではございません。もはや博物界のディズニーと申し上げても過言ではありますまい。
この科学博物館はランドとシー、、、あいや、「日本館」と「世界館」に分かれておりましてそれぞれに歴史や考古学、生物学、天文学、工学と多彩すぎるほどの展示がぎっしりと並んでおります。その濃度たるや、うっかり心を奪われてじっくり眺めておりますと、1時間の時が過ぎておりましたのに5メートルしか移動していなかったなんてこともございました。
昔し懐かしい某パンダも吃驚でございます。
ゆえにその全てを日誌に記したいのは山々なれど、おそらく本が一冊書けてしまいますゆえここは最も心に残った一つ「万年時計」について記させていただきます。
「万年時計」は、国立科学博物館の理工電子資料館に展示されております、なんと江戸時代に作られたカラクリ時計でございまして、正式には「万年自鳴鐘」と申します。
江戸の発明家・田中久重氏による作品でございまして
1000を悠に超える部品から組み上げられており、その部品のほぼ全ては田中氏自身の手で作成されたものだそうです。
和時計・西洋時計双方の機能を持ち、和時計については不定時法(和時計は昼夜で1時間の長さが異なります)に自動で対応する機能までございました。加えて、定刻にての打鍾や曜日・干支の表示、天象儀(太陽と月の方向を示す機能)、月齢(月の満ち欠け)、簡易なカレンダー機能まで備えておりました。おそらくBluetoothにも対応していたと思われます(していません)
これだけの機構を動かす動力は、二巻のゼンマイのみでございまして一度ゼンマイを巻いてあげればなんと一年間は動き続けたそうでございます。
そのたった一つの動力を、様々なベクトルの力に変えて分配する機能は、田中久重氏独自の「虫歯車」と呼ばれる部品により構成されており、この繊細な機構は現在でも多くの機器に利用されておりますが、過去から現在に至るまで、多くの専門時計職人たちに「久重氏でなければこの斬新な発想に至ることは決してなかっただろう。」と言わしめるほどの発想でございました。
精密で斬新な機構のみならず、外装に関しましては日本古来の蒔絵や差物、七宝、螺鈿などの伝統工芸が用いられており、精密な「最先端」の技術と、古来から受け継いだ伝統が見事に融合しておりました。
あまりにも見事でございましたものでおそらく小一時間ぐらい、この万年時計や設計図面に見入っていたやもしれません。制作者たる田中久重氏は、いかなる方やと調べましたところ若年の頃から様々な発明品を作り始め、特に時代を考えるとあまりにも精密な、現在も方々の博物館に残る精密な「からくり人形」を作り、晩年には蒸気機関の開発や鉄道の開発にまで貢献した、筋金入りの工学者であられました。
からくり。ただその技術を生涯追い求めた方は、その手で生み出す部品だけでここまでのモノを生み出せるのかとただただ感服しその作品や図面の前でもう小一時間を過ごしてしまった日でございました。
やがて柔らかなメロディーと共に閉館のお知らせが響き、いつも間にか夕暮れになっていたことに気付きました。
なんとまぁ。丸一日掛けて、科学館の中を見れたのは全体の1/8ぐらい。まぁ、言い換えれば私はあと7回は科学館を全力で楽しめる計算でございます。ぜひ次回伺いました時も、この胸踊る感動をお嬢様にお伝えできればと存じます。

日誌

ご機嫌麗しゅうございます。

中島でございます。

夏の陽射しがいっそう力強く感じられる8月となりました。

暑さが続く毎日ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。

 

日頃からお嬢様やお屋敷に支えられている私でございますが、8月下旬を節目に使用人としてお屋敷にお仕えして2年という節目を迎えることとなりました。

この節目を迎えられましたのも、あたたかく見守ってくださったお嬢様のおかげでございます。

この世に、変わることのないものはございません。

時は静かに流れ、どのようなものにも変化は訪れるものでございます。

変わらないものはないからこそ、今このひとときや、お嬢様とのご縁を大切にしてまいりたいと思っております。

 

これからも心安らぐひとときをお届けできますよう、誠心誠意お仕えしてまいります。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

中島

栄養の救世主

お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。
夏も盛りでございますね。

暑い時期の過ごし方も様々なものがございますが、お嬢様はどのようにお過ごしでいらっしゃいますか?

私は、もっぱら屋内で過ごすことが多くございますので、この頃は体調管理に難儀しております。
そこで、以前にもお話したことがございましたが、食事を見直すことに致しました。

納豆は変わらず頂いておりましたが、もう一声栄養が欲しいところでございます。
何かないかとお買い物に出ておりましたところ、庶民たちが集う市場に、こんな文字が掲げられておりました。

「本日 キムチ割引中」

天啓でございました。
キムチと言えば唐辛子を使用した浅漬けでございますが、唐辛子に含まれるカプサイシンには、食欲増進や代謝向上などの夏バテ防止効果がございます。
さらに普段の食事に添えるだけで食物繊維と乳酸菌が摂れる一石二鳥。
すぐさま店内に入り、白菜のキムチを購入いたしました。

以降一日一回、納豆と共に意識的にいただくようにしておりますが、屋内疲れのそこはかとない不調が改善されたような気がいたします。

お嬢様も、もし夏バテの予防にお悩みでございましたら、是非キムチをお試しくださいませ。

もっとも、栄養バランスも大切でございますが、最も重要なのは生活習慣でございます。
日頃から適度な運動と水分補給をお忘れなくお過ごしくださいませ。

お嬢様が健康で楽しい夏をお過ごしになれますように。

宗方

水平線 越えて臨むは 海のひれ

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様、お坊ちゃま。
藤波でございます。

今年の夏は昨年に比べると幾分か過ごしやすくございますが、いかがお過ごしでしょうか。

私はそのような気候も相まって、休日に外出する機会が昨年よりもかなり増えたと感じております。
この間はエアコンで冷えきった筋肉を解そうと、勇気を出して鍼治療へと足を運びました。

施術の際は痛みは全く感じず、鍼を刺されてしばらくするとじんわり温かくなってくるような、程よい感覚に見舞われました。

数分後に鍼から電気を流す施術へと移るのですが、トトトト、というような、まるで背中にキツツキがいるような感覚に陥りましたので、咄嗟に鍼灸師の方にその旨をお伝え致しました。
するとしばらくの沈黙のあと、

「キツツキって、どんな声で鳴くんでしょうね」

と話題を振っていただけたので、

「木の皮おいしいねー、などと鳴くのではないでしょうか」

と返したら、それ以降鍼灸師からの返事はございませんでした。

思わず仰向けに寝返って、

「今鳴いているのは閑古鳥ですね」

と言いたくなりましたが、施術台が事件現場になってしまいますので、ぐっと飲み込んで忍耐いたしました。

この時期は急な通り雨や夕立に見舞われることも多くございますので、傘の携帯をお忘れなきようお過ごしくださいませ。

藤波

ある夏の日

お嬢様、お坊ちゃま、
ご機嫌麗しゅうございます。
佐倉でございます。

燦々と太陽の照りつける8月、
お邪魔、お坊ちゃまにおきましては、いかがお過ごしでございますか。
夏の暑さにお身体をお崩しになられてはございませんか。
水分補給はしっかりとなさってございますか。
大変心配でございます。
お出掛けの際は、なるべくお外でのお時間を短くしてお過ごしいただければと存じます。

さて、これほどお暑くございますと、何処かへ避暑に行きたいものでございますね。
中々機会には恵まれないものにございますが、旅というのは様々なことを調べている間も楽しいものでございます。
やはり、向かうのであれば北でございましょうか。
夏の北海道はお屋敷の近辺と気温にして5℃以上低い様でございます。きっと大変過ごしやすいのでございましょうね。
それとも、山に囲まれている、長野などもよろしゅうございましょうか。
私も何度か訪れたことのある上高地などは、大変涼しく、美しい自然に囲まれていた覚えがございます。木々のざわめき、川のせせらぎ、日が暮れれば温泉などもよろしゅうございましょうか。

その様な事を考えながら、ふと、海外などはいかがなものかと思い至りました。
日本は北半球にございますが、その反対にございます南半球は冬。
つまり、避暑、暑さを避けるのに最も適しているのは、日本の反対側まで行ってしまうことではないかと。
そこまで考えて、私は寒い方が苦手な事を思い出し、暑さに浮かされていたのだなと感じるとある夏の日のことでございました。
(何やら、「永遠の春の街」と呼ばれる国もあるとか、少々気になっております)

お嬢様や、お坊ちゃまは今年はどこかバカンスなど参られるのでございましょうか。
もしよろしければ、行った先での事、また行ってみたい先での事、お屋敷で是非お聞きしたくございます。

大変暑い日が続く事かと存じます。
お戻りの際は暑さ対策と水分の補給、そしてお身体に無理のない安全なご帰宅をお待ちしております。
冷たい紅茶もご用意いたしまして、皆様のお帰りを心よりお待ちしております。