お嬢様、お坊ちゃま。
奥様、旦那様。
ご機嫌麗しゅうございます。
才木でございます。
気温が上がってまいりますと、
つい暑いと弱音を吐いてしまいます。
悪いことではないのですが、
この先夏が盛りを迎えた際のことを考えますと、
今からこのようでは、などという気持ちもございます。
幼き日を思いますと、
レジャーシーズン到来というイメージが先行し、
その変化には胸を踊らせたものです。
夏になると父に連れられ海に赴き、
シュノーケリングで様々な生き物たちを
観察する機会が多くございました。
近場の浜辺はもちろん、
時には遠く離れた島を訪れることもございました。
ちなみに好きな魚は「ナポレオンフィッシュ」です。
そもそも泳ぐことが好きで、
よく「常に水の中で過ごしたい」と思ったものでした。
どうやら私の中で、
水に浮くと感じる身体が軽くなったような感覚が、
市民プールなどの影響で、
夏休みの記憶と深く結びついていることで、
自由になれる場所という認識があるようです。
よく使われる表現ではありますが、
「羊水に包まれたような安心感」が
そこにはございまして、
私にとってそれは外界との隔絶であり、
孤独であることの証明でもございます。
こう書き綴っていると
私という人間がこの「孤独」というものに、
生の喜びを感じる生き物であることを
改めて自覚するところです。
ただ結局その孤の外側には変わらず世界があり、
循環しているからこそのものでございます。
雄大な自然の揺らぎもそうですし、
人々の営みもそう。
自分自身と関係のないものであろうとも、
その中にあるということ。
そして紛れもなく自分という個が、
存在しているということが大切なのです。
ただそれを見聞きし感じる、
そのために必要な距離を保つこと、
それが私にとっての自己の尊重でございます。
話は脱線してしまいましたが、
この季節は何かと「水」というものが
身近に感じられるところです。
アウトドアなら海やプールに、
インドアであれば水族館もいいですね。
今回私が申し上げた雰囲気で言うと、
朝井リョウさん原作の「正欲」という映画もオススメでございます。
暑い暑いと愚痴るばかりではなく、
楽しい時間を過ごしていただければ幸いです。
という自戒の気持ちも込めて。
――
先月25日に、
ミニバー「tiny BLUE MOON」を
担当させていただきました。
初めての挑戦で緊張しきりでございましたが、
皆様の温かいご感想や笑顔のおかげで、
私としても楽しくお作りすることができました。
この場を借りて御礼申し上げます。
今回特に注釈しておりましたのが、
人生初体験の「ステア」という技法です。
シェイクに並ぶバーテンダーの基本技術でございまして、
今回ご用意したマンハッタンは、
この技法を用いた基本的なレシピの一つです。
基本が故に、
バーテンダーの腕が試される、
言わばバーテンダーの顔ともなりうるカクテル。
まだまだ拙いものではありましたが、
何か私なりの色が皆様に届いていれば嬉しいです。
今回、主に時任にアドバイスを貰いながら練習をいたしましたが、
その際に時任が申していたことがございます。
才木「どのくらい混ぜたら完成なんですか」
時任「大体30回くらいだけど、混ぜながら香りが立ってきたら完成と思っていいよ」
何を言っているんだ。
と正直その時は思っていたのですが、
お作りするうちにそういった瞬間を
感じられることがございました。
明確な何かはございませんが、
明確でないからこそ面白い。
そう考えると紅茶作りも同じです。
奥深さを知ると、覗いて見たくなるのもまた性でございます。
楽しみがまた一つ増えました。
また当日、試飲を使用人たちに出した際。
このマンハッタンを
古谷に「おいしいね」と言ってもらえたのが、
結構嬉しかったのでここに記録しておきます。
またご機会ございましたら、
どうかお付き合いくださいませ、
改めてこの度はありがとうございました。
才木