In the sky

百合野でございます。
私だけかもしれませんが、夏に切り替わると 名前のついていない感情が胸の奥でそっと目を覚ますような
そんな匂いがいたします。

雨上がりのアスファルト。 出会うことのなかった天気雨の気まぐれ。
そんなイメージを元に6月下旬から

「白ブドウのショートケーキ」 『In the sky』をご用意いたしました

その名の通り、 雲の上にいるような軽やかさと、 雨上がりの空を思わせる透明感を感じていただける一品でございます。

軽い口どけ感にこだわりを持ち、パティシエと味を確認しながら仕上げさせていただきました。

名前を考えるタイミングで隈川がそばにおりまして、相談したのですが
あまりにもストレートなネーミングに流石の隈川さんも思わずにっこり。

「私と百合野さんのカラー、白色と緑色でいいじゃないですかー」
とまるで歌い出しのAメロを歌うかのように即座に賛同してくださいました。

甘いものがさほど得意でないお嬢様にもお楽しみいただけるケーキでございます。
ぜひ、お試しくださいませ。

では、暑さにはお気をつけて素敵な夏を過ごしてくださいませ。

潮騒と静寂の休日

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。

室戸でございます。

今年もはや衣替えの季節となりましたが、つつがなくお過ごしのことと存じます。

先日、大旦那様よりお暇をいただき、久方ぶりに潮騒に包まれる穏やかな休日を過ごしてまいりました。

その折の記憶を、少しばかり日誌に留めさせていただきます。

​新調いたしました釣竿とリールを手に磯場に立ち、その重みを確かめるたび、初めて海を前にした折の高揚感が蘇るようでございました。

波の音に耳を澄ませ、慎重に仕掛けを投じる。

かつては海中の様子を想像するだけで精一杯でございましたが、今は竿先から伝わる微かな震えに、海の鼓動を感じられるようになった気がいたします。

​やがて手元に確かな手応えがあり、慎重に引き寄せましたところ、立派なカサゴが姿を現してくれました。

その力強い引きは、まさに命の輝きそのもの。

吹き抜ける潮風の中で、お嬢様にお給仕する時間とはまた異なる、静謐で濃密なひとときでございました。

​この経験で得た活力は、明日からのお給仕をより豊かに彩ってくれることでしょう。

ティーサロンにて、お嬢様にこの海の情景をお話しできる時を楽しみにしております。

はやとちり

先日、骨董市へ赴いてまいりました。
……とはいえ、散歩の途中で偶然見つけた、といった方が正しいのですが。

朝が早かったためか、まだ人影もまばらで、
並べられた器や小物を覗き込みながら、そそくさと見て回っておりました。

すると――
当家にもございます、エインズレイの「コテージガーデン」があるではありませんか。

ただ、何やら様子が違うのです。
青い。とにかく青い。

「なるほど、コテージガーデンにもブルーのシリーズがあるのですね」
などと思ってしまうほどには、見事な青でした。

なんだか少し嬉しくなってしまいまして、
その子をお迎えすることに。

せっかくですので、当家にあるものと並べて見比べてみたところ、
やはり色味が異なっているのですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで使用人にも確認してみたのですが、
どうやらこれも“コバルト”なのだそうです。

少々残念です。
てっきり新しいシリーズを見つけた気分になっておりましたので……。

けれど、陶器というものは、
こうした思いがけない出会いや違いがあるからこそ面白いのかもしれませんね。

水無月

雨に映える紫陽花の花も美しく、爽やかな季節となりました。
お嬢様いかがお過ごしでしょうか、乾でございます。

6月の和菓子に「水無月」がございます。
京都をはじめ全国の神社では1年の折り返しにあたる6月30日に、半年間の罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する神事「夏越祓(なごしのはらえ)」が行われます。
この時に食されるのが「水無月」でございます。
三角形の白の外郎生地に小豆を乗せた和菓子でございますが、それぞれに意味が込められております。
「水無月」の上部にある小豆は悪魔祓いの意味があり、三角の形の外郎は暑気を払う氷を表していると言われております。
お嬢様も「水無月」を召し上がって頂いてこれから半年の無病息災を祈願するのもよいかもしれませんね。

では、お嬢様のお帰りをお待ちしております。

 

御礼

お嬢様、奥様、お坊ちゃま、旦那様、ご機嫌麗しゅうございます。
久保でございます。

先日、冴島と共にご用意いたしましたカクテル「春のさいきょうえん」召し上がってくださったお嬢様方、本当にありがとうございました!

桜を思わせる淡い色合い
新緑のように鮮やかなグリーン

きらきらと輝く金粉に、口の中でぱちぱちと弾けるポッピングシュガー!

グラスの中に春を閉じ込めながら、「次は何が起こるのだろう?」という楽しさも詰め込んだ一杯でございました。

ただ喉を潤すための飲み物ではなく、目の前に置かれた瞬間からわくわくしてしまうもの。

まるで小さな科学実験のように混ざり合い、光り、弾け、変化する。

そんな「遊び心」を込めてお作りいたしました。

お嬢様方が笑顔でグラスを眺めてくださる姿や、驚いた表情を見せてくださるたび、私も胸がいっぱいでございました。

「美味しい」の一言だけでなく、
「楽しい」という気持ちまでお届けできておりましたら、これほど嬉しいことはございません。
改めまして、本当にありがとうございました‼︎

さてさて、本日は少しだけ食器のお話を、、、

お屋敷でも時折見かける、リチャードジノリの「ギルランダー」というカップ。

白磁の上を彩る緑の装飾は、まるで植物が静かに伸びていくようで、私はあのデザインを見るたび不思議と深呼吸したくなります。

派手ではないのです。

けれど、気づけば目で追ってしまう、、、

私はそこに「良い給仕」と少し似たものを感じております。
大きく目立つわけではない。
けれど、お嬢様が自然と安心できる。
気づけば空気のように傍にいて、ふとした瞬間に心が和らぐ。

そんな存在であれたらでいるのが理想でございます。

……とはいえ、現実の私はどうでしょうか!

笑い声は大きく、動きも賑やか。
今回の「春のさいきょうえん」に至っては、金粉がきらきらと舞い、ポッピングシュガーはぱちぱちと弾け、“静かに寄り添う”とはずいぶん違う方向へ走っております。

けれど私は、それもまた給仕なのだと思っております。
落ち着いた時間をお届けすること。
そして時には、「次は何が起こるのだろう」と胸が弾むような時間をお届けすること。

静けさと、楽しさ。
穏やかさと、遊び心。

一見すると矛盾しているようですが、ギルランダーもまた、静かな白磁の中に確かな華やかさを秘めております。
だからこそ私は、ただ紅茶や食事を運ぶだけではなく
その時間ごと心地よいものにしたい。
ふっと肩の力が抜ける安心感も、思わず笑ってしまうような楽しさも、どちらもお嬢様方にお届けできましたら幸いでございます。
ギルランダーの柔らかな模様を見るたびに、私はそんなことを考えるのでございます。

それではお嬢様方に素敵な一日が訪れますように。

 

ミルクが先か紅茶が先か

6月26日には紅茶サロンが開催されます。

今回はナショナルクリームティーデーにちなみ、スコーンとクロテッドクリームが主役のクリームティーをお楽しみいただこうと企画しております。

伊織でございます。

 

 

イギリスで紅茶と言えばミルクティー、というのはお嬢様もご存じの通りです。

英語ではミルクティーとは言わず「Tea with milk」と称します。

 

 

ミルクティーに関して長く論じられているのが「ミルクが先か、紅茶が先か」という問題でございます。

初めにカップに入れるのは、はたしてどちらが正解なのか。

この議論について少しだけ掘り下げてみましょう。

 

 

議論の前に文化を振り返ります。

イギリスには中国からの磁器=chinaが輸入され、もてはやされました。

遠い国からの輸入品である磁器は高価ではありますが、耐熱性に優れるという特徴をもっておりました。

しかしそんなものを使えるのは貴族などのお金持ちだけです。

一般庶民は紅茶が飲めるようになっても、高級な磁器は使えません。熱に弱く、割れやすいカップを使っておりました。

 

 

こうしたところから、庶民の間では「ミルクを先に入れておくことで急激な温度上昇を防ぎ、カップを割れにくくする」という方法が採られることになります。

対照的に高価な磁器が使える人たちはその必要がありませんし、そんなことを問題にすること自体がありませんでした。ですので、先に紅茶を注いでもなんら問題はありません。

やがてこの差は「ミルク先入れ=庶民」、「紅茶先入れ=お金持ち」のような階級意識と結びついていきます。

 

 

後になると、科学的なアプローチでどちらを先にカップに入れるかの違いを検証することになりました。

ミルクを先に入れた場合、ミルクに含まれるタンパク質であるカゼインの変質が穏やかになります。

カゼインは紅茶に含まれるタンニン(渋み成分)と結びつく性質があります。

低温のミルクに紅茶を注ぎ入れることで温度変化が緩やかになり、カゼインとタンニンの結びつきが安定し、全体的に味がまろやかに仕上がります。

 

 

対してミルクを後から入れた場合、高温の紅茶にミルクが入ることでミルク自体の温度が急激に上がりやすく、カゼインの結合力に影響を及ぼすのだそうです。

結果タンニンとの結びつきが弱くなり、紅茶の渋みを感じやすくなり、また風味もミルク先入れとは変わります。どちらかと言えば紅茶の風味がより引き立ちます。

 

 

なんて違いはありますが、その差異はごくささいなもので、正直わたくしはあまり気にしません。後からミルクを入れた方が紅茶に対してのミルクの配分がしやすいなと、思う程度です。

 

 

科学的なアプローチからすると、ミルク先入れの方が奨励されるようですが、紅茶を楽しむのに堅苦しい決まり事などいりません。

小説「1984」で知られるジョージ・オーウェルも紅茶に関してはかなり厳格な意見を主張したのは有名ですが、同時に「多くの人が反対するだろう」という趣旨の言葉も記しております。

 

 

紅茶は趣向品です。

ご自身がおいしいと感じる方法が正解です。

それが他人と異なった場合は、ぜひ互いに飲み比べたり語り合ったりしてみてはいかがでしょうか。

これもまた紅茶が好きだからこそできることです。

 

はや夏服

肌寒さがようやく初夏の陽気にバトンを渡す気になったと思いきや、蒸した空気がそこかしこに流れ込んできてございますね。

 

 

お嬢様方、いかがお過ごしでございましょうか。

香川でございます。

 

 

ティーサロンでも夏服の季節でございます。

一年たったということでございますね。

 

 

一年後のことを想像したとして、その通りになっていることなどどれだけあるのでございましょう。

このところは特に想像が追い付かぬ事態も多いように存じます。

 

 

ただ、

 

 

想像するからこそその未来への希望を思い描くことができ、

 

想像力を豊かにする努力をし続けるからこそ、

 

短絡的な行動を控えられるようにもなるのではないかと存じます。

 

 

思考するためには言語が必要。

 

その言葉を巧みにあやつるためにも、思考の源たる脳に良い刺激を。

 

 

今月、とうとうミニバーの開催を仰せつかり、初挑戦への大いなる刺激を頂戴しております。

 

 

本格的な夏が訪れる前に、

御身におかれましてもご自身なりのチャレンジをどうぞ。

 

 

われわれはいつでもお嬢様方を応援しております。