〇〇の秋

皆さま、お健やかでいらっしゃいますか?
まだまだ残暑の日差しも厳しゅうございますが、朝夕しだいに涼しくなってまいりました。
お屋敷はもうじき、秋を迎えようとしております。
少々、風邪なども流行り始めているようで、皆様どうぞお体を崩されませぬよう、ご自愛くださいませ。
秋、と申しますとまず思い出されるのが「芸術の秋」・・・・。

申しわけございません。嘘を申し上げました。
はずかしながら、私の場合、まずは「食欲の秋」でございます。
夏の盛りでございましても、一向に食欲の衰えることもなく、夏バテしらずの私でございますが、やはり秋の気配を感じますと、よりいっそう食べ物がおいしく感じられます。
皆様、ご存じでございましょうか?
当家の執事の一人である時任は、イタリア料理に関する造詣も深く、なかなかの食通であります。私にとっては、一緒に食事を楽しめる仲間の一人でございます。
以前、たまたま彼と外出いたしましたおりのことでございます。ちょうど食事時となりましたので、とある洋食屋に入りました。
それぞれ好きなものを注文して、少しづつシェアしたのですが、とんかつの衣が実にサクサクと軽やかで、また具だくさんでありながら卵がとろとろにしあげられたオムレツもすばらしく、二人して思わず絶句してしまったものでございます。
後ほど調べましたところ、その洋食屋はどうも初めてとんかつに千切りのキャベツを添えるという大発明をなしとげた由緒正しきお店だということでございました。―なるほど。
さて、おいしい物をいただくのは実に大きな喜びでございますが、それを共に楽しめる相手がいるということも人生の大切な糧ではないでしょうか?
いつも一緒に食事をたのしんでくれる仲間の多い私は、実に恵まれております。
そして、これをお読みの皆様も、毎日の食事を大きな喜びとともに、と切に祈らずにはいられません。
どうぞ「食欲の秋」を心よりお楽しみくださいませ。
では、今回はこのあたりで失礼いたします。