時には海賊のように

敬愛せしお嬢様。

季節が夏への階段を一足飛びに駆け上がっているようなこの頃、いかがお過ごしでございましょうか。
時任は、一歩お外に出るだけで、黒焦げになって倒れそうでございますので、
おうちの中で大人しく生きていこうと思っております。

さて、おうちの中で生きていくとなりますと、お給仕や執務に勤めているうちは良うございますが、
余暇の過ごし方というものが味気なくなってしまいます。
お散歩や、良い感じの美味しいお店を探しにいくのも難しく。
かと言って書庫の本はあらかた読み尽くしてしまったとき、どのように余暇を過ごしたら良いのでしょうか。

時任は、ご友人と集ってのゲームをオススメいたします。
よく若人が遊んでいるような、電気を使ったものではありません。いえ、ああ言ったものも嫌いではありませんが、なぜだがすぐに飽きてしまいます。

好みといたしましてはチェスなどのボードゲーム。
チェスや将棋といった伝統的なものも好んでおりますし、世界各国の様々な趣向を凝らしたものも面白いものが多うございます。
今宵は、そんな『ゲーム』のひとつをご紹介いたしましょう。

『ブラフ』と申しますゲームでございます。
古典的なゲームの一つでございまして、これを源流として派生したゲームも数多うございます。

ダイスを用います。サイコロのことでございます。
困ったことにダイスがとてもたくさん必要でございます。ご参加人数×6個ぐらいでございます。
ご近所の玩具屋でお求めくださいませ。

プレイヤーの皆様、おひとり6個ずつダイスを配ります。
そして全員同時に、中の見えないカップなどの中にダイスを入れて振り、自分の振ったダイスだけ見ることができます。
他のプレイヤーのダイスを見てはいけません。なのでカップを伏せるように振ったほうが良いかもしれませんね。
ジャパニーズ壺振りスタイルでございます。なお、本当にこう呼ぶそうでございます。

それぞれ、ダイスを確認致しましたら、ゲームの始まりです。
最初のプレイヤーは、宣言を行います。
「②が三個以上ある。」
これが本当か嘘かを、他のプレイヤーは全員考えます。
嘘だと思ったら「この嘘つきめ!」と宣言しなければなりません。

ただし、この宣言された数は…全員のダイスを合わせた数でございます。
もし3名様で遊んでおられたら、ダイスはこの時点で全部で18個。まぁ、②が三つぐらいは出ているでしょう。
というわけで、誰も嘘だとは思いませんでした。

次のプレイヤーが宣言致します。
「じゃあ、③が五個以上ある。」
ダイスは全部で18個…③が五個以上出ているかは、確率的には微妙でございます。
なので、プレイヤーの皆様は、自分のカップの中のダイスを見て考えます。
自分のカップに③が一つもなければ、これが嘘となる確率はだいぶ高くなります。
なんせ。12個中③が五個ないといけないのですから。
逆に、自分のカップに③が三個ぐらいあったなら、全体で五個以上ある確率はだいぶ高くなります。

これも疑われなければ、次のプレイヤーが宣言致します。
「③が六個以上ある!」
だんだん疑わしくなってきました。

…さて、この宣言にはルールがございます。
それは「前の人が宣言したよりも多くの個数を宣言しないといけない。」ことでございます。
そのため、順番が回るほどに「○が▲個以上ある」という宣言は、どんどん疑わしくなっていくのでございます。

さて、ついに耐え切れず、誰かが「嘘つきめ!」と宣言いたしました。
「嘘つきめ!」宣言がなされたら、全員のダイスをオープン致します。
皆様で確認していただき、疑われた宣言が本当か嘘か確かめてくださいませ。
先の例で言うなら、③が六個以上あるか確認するわけでございます。

③が六個なかったなら、つまり嘘であったなら、嘘を見破られたプレイヤーは。ダイスをひとつ没収されます。
③が六個以上あったならば、つまり本当となったならば、「嘘つきめ!」と宣言したプレイヤーがダイスを一つ没収されます。
いずれにしても、ダイスが一つ減り、また最初から繰り返しとなります。
ダイスが全部で17個となった状態で繰り返し、だんだん1個ずつ減っていくわけでございますね。

これを繰り返していき、ダイスが最後まで無くならなかったプレイヤーが勝者となります。


…言葉で語るとややこしいものですが、やってみると簡単なルールでございます。
そして簡単でありながら、自分のダイスと残りダイスを推測する戦略性、ゲームが進むごとに変化する状況と、
なかなか知略を尽くした戦いを楽しむことが出来るゲームでございます。

かつては船乗りの間でも、長い航海の時間つぶしに流行っていたゲームだそうでございまして、
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の中では、海賊と幽霊船長が、お宝と魂を賭けて劇中で遊んでいたゲームでもございます。


ご友人と盃を交わしながら、海賊気分で楽しんでいただくには良いゲームでございます。
ただし、爺やに見つかって「また海賊ごっこなんかして!」と怒られないよう、ご用心下さいませ。

いつかこんな娯楽もサロンでご用意できたら、時任としても嬉しいことでございます。
Filed under: 時任 — 23:55