ショートカットに憧れて

新しい年度が始まりましたね。

お屋敷ではお嬢様を祝福するかのように、色とりどりの花が咲き乱れております。

お嬢様、いかがお過ごしでしょうか。
汐見でございます。


季節の変わり目は髪を切りたくなるものでございますね。

私も髪を切りまして、春らしくさっぱりとベリーショートにいたしました。

頭が軽い、整髪料がすぐ落ちる、髪が乾くのが早い(ほぼタオルドライのみで乾く)、セットの時間が短いなどと、とても快適でございます。

何かと忙しい現代人にぴったりでございますね……。

もし、私の以前の髪型をご存知でいらっしゃいましたら、感想をお聞かせいただけると嬉しゅうございます。


また、髪を切ることは、古いエネルギーや悪い運とお別れして新たな運を開く「厄払い」にもなるのだとか。


新年度でございますし、よろしければお嬢様も髪をお切りになって、気持ち新たにスタートされてみてはいかがでしょうか。
Filed under: 汐見 — 13:50

Where’s Worry?

今年の桜の季節は短くてございましたね。テキサスへ旅立った者たちは咲きはじめに出掛け、散ったあとで戻って参りました。気の毒でなりません。藤原でございます。
(more...)
Filed under: 藤原 — 09:30

ガーデンジュレップ

敬愛せしお嬢様へ。
ようやく春らしくなってきたと思えば、いささか陽の強さが過ぎるように思えるこの頃でございます。

来月…5月の13日に久方ぶりにお屋敷本館にてオリジナルカクテルをご用意させて頂くことと相成りまして、徐々に準備を進めております。

お酒の調合のみならず、時任が好んで修めておりますハーブの技術を駆使して、春の新緑にちなんだジュレップをご用意させて頂こうと考えており。どうにかハーブの調合もまとまってまいりました。

添えましたこの写真が、今回のカクテルに使用するハーブたちでございます。
彼らが良き味や香りとなって、お嬢様に爽やかな緑の庭園のごとき世界をお届けできますよう、調合に勤めまいります。
カクテル『新緑のガーデンジュレップ』、どうか楽しみにお待ちくださいませ。


…え?ハーブを調合する姿がとてもアンダーグラウンドっぽい?
自覚してます。だから通報だけはやめてくださいませ。後生ですから。
Filed under: 時任 — 22:30

修羅天魔~髑髏城の七人…極

お嬢様、奥様、旦那様、お坊ちゃま暖かい日が訪れたと思いましたら急に気温が下がり天気のいい日は花粉が多く、何となく過ごしにくい日々ですがお元気なことと存じます。藤堂でございます。本日は芝居のお話でございます。

「IHIステージアラウンド東京」で劇団新感線の「修羅天魔~髑髏城の七人…極」花鳥風月と続き最後の公演の極を観てきました。

先ず驚きましたのは1,300人を乗せた観客席が回転しながら次々場面展開していくステージアラウンドシステム。座っていながら場面場面が変わってゆき右に行ったり左に行ったり少し上がった感じがしたり不思議な空間でした。ご覧になられた方も居られると思いますが是非一度劇場へ足を運んで下さいませ。

今回の最終編は極楽太夫に天海祐希、天魔王に古田新太、舞台では初めて見ました。天海祐希も宝塚の男役トップでは一度も見てなくてテレビのスカイステージで見た程度ですし、出演している俳優さんもほとんど知らない方々で福士誠治は何度か見た事があります。

物語は戦国の世織田信長が天へ駆け上がらんとする。その志に一人の女が夢を託し協力する狙撃手、暗殺者、それから十数年、一人の渡り遊女(天海)が現れるところから始まります。どちらかと言いますと男性向きに思えますが、女性の方も沢山観劇していらっしゃいました。

特出すべきは竜星涼演じる天魔王の息子でありながら宿場では女装していてとても美しいです。セリフも判り易くと思っておりましたら、戦くさの場面になりましたら、ぱっと変わり男になるところが又面白いです。

ステージアラウンドシステムの劇場はオランダアムステルダムに続いて世界で2番目です。5月31日まで上演されています。7月からメタルマクベスが上演されます。こちらも楽しみです。

本日はこの辺で藤堂でした。
Filed under: 藤堂 — 16:45

十字屋敷のピエロ

『十字屋敷のピエロ』東野圭吾


ピエロの目というものを所々に置き、

登場人物とは違った視点から事件を語らせている作品。

ピエロは目撃者であり、
ミスリードを誘う役割も行い、
お話の不気味さも司る。


あえてかはわからないんですが、

このピエロのキャラがちょっと可愛いんですよね。そんな印象を受けたのはわたくしだけかもしれませんが。


ピエロを選んだのにも色々理由があるのかもしれませんね。
Filed under: 影山 — 21:30

ダージリン

本日の日誌はもしかしたらあまり興味がないお嬢様もいるかも知れません。
ではございますが、私や一部に使用人にとっては関係のある記事かと存じます。


紅茶は大きく分けて

着香された「フレーバードティ」
茶葉そのものの味を楽しむ「ピュアティ」
とございます。


その中で特に私はピュアティのダージリンやディンブラが好みでございまして
そんな中で高級茶葉として親しまれているダージリンの夏積み(セカンドフラッシュ)が去年、インドのストライキの影響で入荷がほとんどございませんでした。


このダージリン、使用人の中でも好きな方が多ございまして、毎年どんな味に仕上がってくるか楽しみにしているのでございます。
ですので、こちらがお屋敷で確保出来ないとなると我々にとっても大事件…


無事ストライキは終わったのでございますが、それよりも前の年ほど輸入できるまでは少し時間がかかるそうなのでございます。


しかしながら…
どうやら春積みのファーストフラッシュが予想よりも多く輸入出来ているそうでございますね。

これはセカンドフラッシュが今から楽しみでございます。



紅茶は気候によって毎年風味や味の重たさが変わり
その年のものはその年にしか味わう事が出来ない一期一会の味わいでございます。


是非、シーズナルティとして当家でご用意した時にはぜひ召し上がっておいてくださいませ。


ではまたティーサロンでお待ちしております。

百合野
Filed under: 百合野 — 10:10

櫻の樹の下には何が埋まっているのか~浅葱のお屋敷事件簿①~

櫻の樹の下には屍体が埋まつてゐる!
ーー梶井基次郎『櫻の樹の下には』


***


桜が満開になりました。晴れ渡る青い空を見上げて、浅葱は陰鬱な気分になります。勿論桜が咲き誇ったお屋敷の庭園は美しゅうございますし、お花見日和ということは素晴らしいことではございますが……それでも浅葱の気分だけは曇り模様です。
なぜなら……。

「はっくしょーん! ううっ、黄色い悪魔め」

浅葱は花粉の猛威に悩まされているのでした。
花粉症だと認めない浅葱は冬と共に何処かへ行ってしまいました。残ったのは花粉に屈服した浅葱と素晴らしい陽気。
嗚呼、春でございます。
お嬢様は如何にお過ごしでしょうか?

浅葱は薬を飲んで体に鞭打ち、庭園で宴会の準備でございます。お酒の用意は済みました、宴席は見晴らしの良い場所に設置も済みました、料理の手配も済みました。後は招待客の到着と大旦那さまがいらっしゃるのを待つのみ。
浅葱は鼻にティッシュを詰めながらも張り切っておりました。
何故ならこの場に使用人は私だけなのです。この宴会を準備する大役を浅葱一人が承っていたのでした。この広大なお屋敷の庭園でポツンと私だけおります。……少し寂しい。いえいえっ、浅葱は見事に大旦那さまの期待に応えて見せましょう!

それは数日前のことです。
大旦那さまはこう言って浅葱に命じました。

「世界の探偵たちに難事件の数々を聞かせてもらおうと思う。その宴会の一切を、浅葱一人で手配しなさい。そして、このことは他の者には口外してはいけないよ」

何故なら世界中の名探偵が集まるのだから、万が一のことが起きてはいけない。この酒宴は秘密裏に行われる。
浅葱がこの酒宴を任されたのは、普段から自称とは云えお屋敷探偵を名乗っているからでしょう。お屋敷の名に恥じぬ働きをせねば、と決意を固めました。あまりこういった経験のない浅葱にとって緊張と重責に苛まれながらも、大旦那さまからの期待に応えたいという想い、そして世界中の名探偵と会えるという機会に恵まれた役得、それを糧に今日まで勤め上げたのでございました。

「それにしても招待客が一人もこないというのはどういうことだろう?」

浅葱が準備を終えて待っていても、宴会が始まる当日になっても誰一人その姿をお見かけしません。確か招待客は7名だったはず。全員が全員、遅れてくるというのも不思議な話です。

「ん?」

唄が聞こえてきます。


さくら さくら

野山も里も 見渡す限り

かすみか雲か 朝日ににおう

さくら さくら 花ざかり


静かな庭園に心地よく響く歌声です。
当家の満開の桜は頭上に広がる花びらだけでなく、足元にまで広がっております。地面に所狭しと敷き詰められた花びらはまるで地面にも満開の桜が咲いているような光景でした。

その中で、歌声の主は一人佇んでおりました。

柔らかそうな黒髪と透き通るような白い肌が印象的な青年で、幼くも見えますが、そこはかとなく影を落とした表情に憂いを帯びた大人にも見える……浮世離れした人でした。

「……どうして?」
私は問うていましたが、すでにこの青年が何者なのか解っておりました。


「櫻の下に屍体が埋まっている」


「し、したい……?」
お屋敷の庭園にはそのような物は埋まっていないはずです。お嬢様の目が届くところには、そんなものは埋まっておりません。
浅葱は時々書庫清掃だけではなく庭園の清掃にも借り出されるのですが、いまだかつて庭園から屍体が掘り出されたことはありませんよ。安心してくださいませ。

咄嗟のことに驚いてしまいましたが、落ち着いた浅葱はこの青年が有名な冒頭文から引用したことをすぐに理解しました。
梶井基次郎の短編小説『櫻の樹の下には』の冒頭。そのインパクトのあるフレーズは桜の美しさと死体の醜さの対比を表していて、美と醜を表現しているのです。

「美醜か。美酒を傾けながら考えるのもまた一興」

うまい! と思わず膝を叩いてしまうところでしたが、桜の木を仰ぎながら一人語りをする青年を褒めるのは些か癪でした。

「どうしてここに?」
「招待されてね」
「それは、名探偵として……でしょうか?」
「ふむ、そうだよ。それで、君は?」
「私は大旦那さまから、今回の酒宴の準備を承った使用人でございますから」
「ふん、なるほど。じゃあ君が、お屋敷探偵くんかい?」
そうです、と答えるほど浅葱は恥知らずではございません。

「お屋敷探偵くん、君の名は?」
「お客様なら存じ上げているのではございませんか?」
「まあ挨拶は大切だからね」
「浅葱でございます。……お客様、失礼ですがお名前を伺ってもよろしゅうございますか?」

私がそう聞くと、彼は悪戯な笑みを浮かべて答えました。

「榎木津礼二郎。名探偵さ」



***


榎木津礼二郎は架空の人物です。

京極夏彦の小説に出てくる探偵の名前で、実在する人物ではありません。勿論この青年がフィクションの世界から飛び出してきたというわけではありません。さすがの大旦那さまでも架空の名探偵を召喚することはできないでしょう。

偽名です。

彼らは世界中の難事件を解決してきた名探偵。世を忍ぶ仮の姿、として創作上の名探偵の名前を借りたようです。

「大旦那さまからの提案さ」
彼は私にそう語りました。

榎木津礼二郎を皮切りに、名探偵の招待客が次々とお屋敷に到着致しました。よくよく考えてみると彼らは多忙なのでしょう。ギリギリのスケジュールの合間を縫ってお屋敷やってきたとするならば、この不思議も必然でしょう。

「よくぞお集まり頂きました。本日は名探偵諸君の武勲、そして数々の謎を、是非ともお聞かせ頂きたい。代わりと言ってはなんですが、当家自慢の庭園と美食美酒をもって歓迎致しましょう」

そう大旦那さまの挨拶があり、宴会は始まったのです。
名探偵達は大旦那さまを囲むように椅子に座って頂き、手前には机を置いております。椅子の後ろには飾りとして大旦那さまから承った物を置いております。例えば斧だったり、剣だったり、盾であったり。丁度ティーサロンの玄関に飾られている剣に近しいものをご用意いたしました。なぜそれらを用意したのかは伝えられておりませんが、誰の後ろにはどの物を置くということまで厳密に決められております。さすが大旦那さま、その真意ははかりかねます。
名探偵達に大旦那さまから話を振って、会は進行していきました。
浅葱は滞りなく宴会が進むように奔走しておりましたが、その傍で名探偵たちのお話も聞かせて頂きました。

島田「それは一年前の嵐の夜。塔から落ちた一人の女、およそ不可能な状況で消失した一人の男、盗まれた一枚の絵。その事件は一つの解決によって葬り去られたはずだった。しかし、私が古城を思わせるようなその屋敷に訪れた時、再び悲劇の幕が開いたのだ」島田潔氏。綾辻行人の館シリーズに出てくる探偵役の名前でした。島田氏は盲目の老人で、足元には老犬が蹲っております。島田氏の後ろには馬の彫刻が置かれております。

御手洗「6人の姉妹が殺された。彼女らの体は星座に合わせて、一部分を切り取られていた。この猟奇的な反抗の目的はなんだったのか。そして彼女らの体は何処に」と御手洗潔氏。白髪の老人で、杖をついていました。島田荘司の小説に出てくる名探偵です。諸刃の剣が背後にあり、地面に刺さっておりました。

礼二郎「とある人物の失踪、連続して発生した嬰児の死亡事件、とある憑物筋の呪いを受けた一族。これらは一つの真相によってもたらされた事件だったんだ」と榎木津礼二郎氏。背後には鎧を着せられたマネキンがおります。

創平「孤島の研究所に隔離されている天才科学者が謎の死を迎えた。外界と切り離された島のセキュリティ管理された研究所、そして24時間の監視がついた研究室の中で起こった殺人事件の真相は。そしてFという文字に秘められた意味とは」と犀川創平氏。森博嗣の小説に出てくる准教授の名前。探偵役です。ジーンズに白のワイシャツという地味な外見です。盾が地面に刺さっております。

ドルリー「満員の市電の中という密閉状況で起こった殺人事件を扱っていたが、それはこれから起こる殺人劇の序章にしか過ぎなかったんだ」と話すのはドルリー・レーン氏。190センチ以上ある大柄な体格の男性でした。ドルリー・レーンはエラリー・クイーンがバーナビー・ロス名義で発表した小説の探偵です。ハンマーが柄を刺すように設置されており、槌の部分が上に向いております。

らいち「殺人現場に残された12枚の遺体のカラーコピーに隠された秘密、密室の中で腕を切断され殺された教祖に隠された秘密、隣人のストーカーによる盲点を突く手口、すべて自由奔放な方法で推理をしたの」上木らいち氏。早坂吝の小説に出てくる自由奔放な名探偵。大旦那さまに呼ばれた名探偵の中では唯一の女性でございます。らいち氏の背後には斧がありました。やはり柄を下にして、刃を上に向けております。

ファイロ「ニューヨークの街中に住むグリーン家には絶えず争い続けている五人の子供達が住んでいた。ある日、二人の娘が何者かに銃殺される。この事件を切っ掛けとして一家を皆殺しにしようと企てる姿なき殺人者が跳梁する」ファイロ・ヴァンス氏。車椅子に座った初老の男性で、黒い眼鏡と帽子を被っています。ヴァン・ダインの小説に登場する名探偵。背後には槍が地面に刺さっております。

やはり潜ってきた難事件の数々をうかがうと、彼らの尋常ではない実力と経歴を垣間見るようでした。浅葱はなんだかウズウズしてきました。

けれども、それも酒の席のこと。
頬が少し染まる頃には皆それぞれの楽しみ方を満喫されているようで、犀川氏はブルーシートを広げて座りだし、らいち氏はどこからか持ってきた白いドレスに着替えていました。
そこで酒宴はひと段落しており、浅葱はふと肩の力を抜いておりました。皆、楽しそうでございます。よかったよかった。大旦那さまのお姿がありませんが、きっと疲れてお屋敷の中に戻られたのでしょう。
「浅葱くん」
と、呼ばれて声の主を探します。
「礼二郎さん」
「すっかり打ち解けたみたいだね。それともロクでもない奴しかいないとたかをくくったのかな」
「いえいえ、とんでもない。お客様ということは変わりませんが、みなさんを改めて感心したといいますか、より尊敬に値する方達だなと思って仲良くなりたくなってしまって……少し、不躾でしたかね?」
「良いと思うよ。それにしても……浅葱くんは僕らの話を聞いてどう思った?」
「それは……すごい人達なんだなって」
「それだけ?」
「あとは、自分がお屋敷探偵と名乗る資格があるのだろうか……ということです」
「君はなんでも考えすぎなんじゃないかい?」
「そうでしょうか?」
「桜の下にばかりを見ていては腐ってしまうよ」と、礼二郎氏は言いました。

はじめは何を仰っているのか解りませんでしたが、しばらくして理解しました。
五十音順に並べて「さくら」の字を一文字ずつ下にすると「しけり」。
つまりーー湿気り。湿気てしまえば腐ってしまう、ということです。

一本取られてしまったと感心していると事件が起こりました。

なにやらけたたましく犬の吠える声が聞こえて、庭園で名探偵達の人集りが出来ております。それは桜の樹の下でした。

ドルリー「桜の樹の下に屍体が……」
浅葱「そんな馬鹿な……お屋敷で殺人事件など起こるはずがありません」
礼二郎「では、この状況をどう説明する」
浅葱「ほ、本当に」
桜の樹の下に屍体が埋まっている。
私の目の前には桜の下に埋まる人間の手がありました。手だけが地面から突き出すようにこちらに向けられた圧倒的な存在感に、浅葱はただ茫然と立ち尽くします。
御手洗「これは殺人事件だろう」
浅葱「な、なぜ断定出来るのですか?」
ファイロ「人は勝手に埋まることは出来ない。つまりは誰かが埋めたということだ」
浅葱「では……この手は誰の」
創平「ここにいない、誰かといえば」
浅葱「お、大旦那様……!」
らいち「その可能性は大いにあるわね」
浅葱「そんな……。掌に、何か書いてある」
島田「なになに。これは……さくらさくらだね」

そこには5本の線が刻まれていて、三箇所に丸がついていた。それらは手に直接彫り込まれていて、赤色の五線譜のようである。
音階はラ・ラ・シ。
さくらさくらの冒頭と同じでした。

そして誰かがこう言いました。
「それは犯人を示している」

浅葱ははたと気がついて礼二郎氏の方に視線を向けます。彼は指を顎につけて深く考えていましたが、私の視線に気づいて困ったように笑いました。


***


と、ここまでが浅葱が体験したお花見での怪事件でございます。

これは犯人からの挑戦。
お嬢様、誰が犯人なのか推理してくださいませ。
きっとお嬢様なら解けると信じております!

以下は解決篇でございます。
お屋敷探偵浅葱が導いた真相でございますので、是非とも答え合わせとしてご覧くださいませ。














































犯人は犀川創平氏。


そして、榎木津礼二郎氏です。


二人は共犯でございました。
この7人の偽名にはあるトリックがございました。頭文字にドレミの音階があることです。ドはドルリー、レは礼二郎、ミは御手洗、ファはファイロ、ソは創平、ラはらいち、シは島田です。

そして「さくらさくら」の音階はラ・ラ・シー・ラ・ラ・シーから始まり、曲を通じて二つの音階が使われておりません。

それが「ソ」と「レ」です。

ソは犀川創平氏。
レは榎木津礼二郎氏です。
誰かが言っていた「それは犯人を示している」という言葉の真意は「ソ」「レ」が犯人を示している、と言っていたのでした。

考えてみれば大旦那さまを手にかけることが可能な者は7人の中でもわずか。

ドルリー・レーン氏は大柄な体躯で目立ってしまうし、御手洗潔氏やファイロ・ヴァンス氏は足が不自由であり、上木らいち氏は白いドレスを着ていた。とてもじゃないが屍体を埋められる格好ではない。島田潔氏は盲目であり、犯行は不可能に近い。

犯人は酒宴が開かれる前に桜の木の下に穴を掘り、桜の花びらで埋めておりました。
掘り起こした土はビニールシートの上に盛り、桜の花びらで隠蔽します。
大旦那さまを殺害後、桜の花びらを外に出し、大旦那さまを埋めてビニールシートを持ち上げて土をそのまま掛けます。
埋めたところに桜の花びらを散らして、あたかも這い出てきたようになるのです。

残った二人が可能な犯行であり、それを証左する暗号も解読しました。

これにて事件は解決に。
QED。






……本当に、それが正しいのでしょうか?

「疑問が残ります」

浅葱は解決に導こうとしている議論に割り込み、挙手をしました。

「まず犯人がその二人だとすれば、なぜ自分が犯人であるというメッセージを掌に残したのか。そして屍体がなぜ腕を出すように埋まったのか、です」

浅葱は頭をフル回転させて言葉を紡ぎます。

「必然的に考えれば、その暗号を残すことで自らの嫌疑を逸らそうとするのが自然です。では、二人が犯人でない証拠を出しましょう。犀川氏は白いシャツを着ています。犯行によって返り血、もしくは土が付着するかもしれません。らいち氏が犯人ではない理由と同じく、犀川氏もまた犯行は不可能」

礼二郎氏が犯人という可能性は?

「それはないでしょう」浅葱は断定します。



「礼二郎さんは当家の使用人ですから」



彼の名前は衣笠。
本邸で勤めている使用人であり、私の無二の親友でございました。なぜ彼が偽名を名乗り名探偵達の中に紛れ込んでいたのかは謎ですが、最初に私がツンケンしていたのはこの為でございます。
大旦那さまから使用人は私だけと聞いていたはずなのに、ちゃっかりと衣笠のやつが紛れ込んでいる。これはどういう了見なのか、と問うてやりたい気持ちを抑えての会話でございました。

衣笠は「その通り。私は犯人ではないよ」と答えました。我々使用人が大旦那さまを手にかけるなどあり得ませんから。

では、誰が犯人なのか。
それは……。

「犯人はあなたです!」

浅葱はそう言って指さしました。
その指の先には、御手洗潔氏がおります。

「あなたが、御手洗潔氏が、真の犯人です」
浅葱が導き出した犯人でございます。

犯行に使われた凶器がなんだったのか、それについて考えましょう。大旦那さまの手についた傷は犯行の末に残されたものに違いありません。
ではどのような凶器が使われたかと考えてみると、それは諸刃の剣でございましょう。
大旦那さまは剣によって刺されます。その刃を手で掴んだまま、命を落とされたのでしょう。そして屍体は前述の方法で桜の木の下に埋められました。

けれども、ここで犯人の誤算が生まれます。

犯行に使った凶器が屍体に刺さったまま、地面からつきだしているではありませんか。犯人は慌ててその凶器を掴み、引き抜きます。そうすると刃を掴んでいた手が地面から這い出し、掌には二本の線が残ります。

この状況で凶器の特定を避け、他の人間に容疑をすり替えるには五線譜を使った暗号を残すことが良いと工作をしたのです。
つまり、犯人は諸刃の剣を使った人間。
そう、椅子の背後に諸刃の剣を置いているのは島田潔氏でございます。
大旦那さまはこの酒宴で犯行を企む殺人鬼の正体を見越していて、浅葱に細かく指定してオブジェを置いていました。

「背後の剣はオブジェだ。刃は付いていない」と島田氏は弁明します。
ティーサロンに飾ってある剣と同様に刃がない模造品でありますので、犯行に使うことは不可能。


けれども、凶器を隠していたとすればーー


浅葱は足元にあった酒瓶を蹴ります。
島田潔氏は咄嗟に身を逸らし、機敏な動きを見せました。
杖はフェイク。足が不自由なのも芝居でした。
杖には仕込み刀があり、それによって大旦那さまを手にかけたのです。
「ほほほ、お見事お見事」と島田氏は諦めたように浅葱のことを褒め称えます。

いえ、その賛辞は素直に受け取れません。浅葱がすべての真相を導いたのではございませんから。

「すべては大旦那さまが予言した通りなのですよ」

大旦那さまが名探偵達にドレミファソラシの七音が頭文字になるように偽名を名乗らせ、そして諸刃の剣によって掌に五線譜の元となる傷跡が残ることを予見し、そして誰が犯人なのかをオブジェによって示していました。

「大旦那さまが名探偵達に話を振る。この順番でさえも暗号となっていたのです」

島田潔→御手洗潔→榎木津礼二郎→犀川創平→ドルリー・レーン→上木らいち→ファイロ・ヴァンス

これらの作者名に並べ替えると、

綾辻行人→島田荘司→京極夏彦→森博嗣→バーナビー・ロス→早坂吝→ヴァン・ダイン

全員のファミリーネームから頭文字を取ると、
あ→し→き→も→ろ→は→だ
「悪しき諸刃だ」
というメッセージになる。


これにて事件は完全に証明されました。
QEDです。


***


「大旦那さま……なぜですか」

浅葱は涙を流します。
ロンドン橋の下で拾われてから今に至るまで育てて頂いた恩をついに返せぬまま、お別れとなるなんて。

浅葱は膝をつき、地面から突き出した大旦那さまの腕を握ります。


まだ暖かい……ん?


屍体の腕が私の手を握り返してきます。


ぼこっ!
ぼこぼこっ!


地面が盛り上がり、這い出てきたのは大旦那さまでした!!

「お見事! よくやった浅葱!」

大旦那さまは満面の笑みを浮かべて浅葱のことを褒めました。
私は何がなんだか……?

周りを見渡しますと、名探偵達は和やかにその光景を眺めておりますし、衣笠のやつも悪戯な笑みを浮かべております。

「や、やられたっ!」

浅葱は全てを悟りました。

これは大旦那さまが考えた余興。
あたかもお屋敷で殺人事件が起こったように演出して、浅葱が謎を解き明かすというドラマ仕立ての余興だったのです。
浅葱はまんまと掌で転がされていたのです。

衣笠がうなだれている私のもとにやってきて肩をポンとたたいてきます。こやつも一枚噛んでいたのですね! そう思うと業腹です!

「大旦那さまなりに浅葱のことを考えていたのさ」
「どうだか!」
「だって前に言っていたんだ。浅葱は桜を見上げて逆立ちするような子だって」

さくらを見上げて、逆立ち……?
ああ、なるほど。

「まあ、そう言ってくださるなら……浅葱は付き合いますが」

さ、く、ら。
この文字を一文字ずつ上にすると……
こ、き、よ。
それを逆立ちするということは……
よ、き、こ。

良き子、と褒めてくれたのですね。

けれども子供を褒めるような言葉に浅葱は少し釈然としない気持ちもありました。
いつか、大旦那さまを驚かすほどの探偵になりたい。
浅葱は密かに決意します。

浅葱「立派なお屋敷探偵に、きっと」

桜を見上げながらそう呟きました。


終わり
Filed under: 浅葱 — 18:50

4月日誌

隈川に美味しい紅茶を作っていただき

ノンカフェインとは思えない飲みやすさ、和菓子のように甘く優しい香り

隈川から作っていただく美味しい紅茶で

すっかり

ちゃっかり

餌付けされてる

佐々木でございます。

男にはロマンを求める事が多ございます

だいたい…

9割9分は失敗でございます

わたくしは空の上にロマンを求め…

雲の上の景色を眺めてみようと…

雲の上に到達する頃には爆睡してございました。

安心してください

もう一度チャンスはございます。

次のチャンス…

雲の上に到達…する以前に…

出発の時点で、周りは闇の中…夜でございました。

安心してください

窓側の席だけは、ちゃんと確保していた佐々木でございました。




さて。
スプリングブロッサムやチェリーブロッサムの活躍する季節でございますね

春の季節お楽しみくださいませ

佐々木
Filed under: 佐々木 — 15:45

春爛漫

暖かな風
花々の良い香り

厳しい寒さに耐え

待っておりました、春で御座いますね。


秋もさる事ながら

春も美味しい食がたくさん御座います。

新しいという字が付く

新玉ねぎ、新じゃがいも

春キャベツ

アスパラ、たけのこ

四季折々に美味しい食に囲まれる日本


この日本に生まれ育ち本当に幸福至極と存じます。


綺麗な花と


旬の食


そして

今宵は


御前酒『花見の酒 さくらほろり』


を頂きます。




杉村


Filed under: 杉村 — 22:51

新しいもの探し

新年度スタートでございますね、時の移ろいがはやく驚きでございます。
時が経つのが早いのは今に始まったことではございませんが…
この話は置いておきましょう。
新たなスタートという事で新しいものでも探しにまいりましょう、平山でございます。



なにか新しいことが始めるには良い機会でございますね、ルンルン気分でほかの使用人達を見て回りましょうか。
その前に紅茶でもいれましょうか……おや先客がおりますね誰でございましょう?
浅葱くんですか、紅茶を美味しく入れる研究中でございますかねという事で私にも入れてもらいましょう。

平山「浅葱くんなにか紅茶を入れてくれませんか?」
浅葱「いいですよ、何が飲みたいですか?」
平山「モルフォでもお願いしようかな」
浅葱「わかりました」
平山「よろしくねー」

さてお茶菓子でも探してきましょう。
ここは的場さんに良いものはないか聞いてみますか。
平山「的場さん、なにか美味しいお茶菓子ありませんか?」
的場「あ、平山くんこの辺りのもの新しく用意したから持って行っていいよ」
平山「ありがとうございます、浅葱くんが紅茶入れてくれてるんですけど的場さんも一緒にどうですか?」
的場「せっかくだから頂こうかな。」

…………
新しいもの探ししているのでありましたが
浅葱くんの紅茶、ギフトショップのお菓子収穫はこのくらいでございますかね。
お茶の魔力にやられてしまいました。

新しいものを探すこと古いものを大切にすること色々と見て回りましょう。
素敵な1年が待ち受けていることを信じてございます。


平山
Filed under: 平山 — 13:00