聞き上手の絢辻くん

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

気がつくとティーサロンに身を置くようになってから、随分と長い年月が経ちました。(この文言も定期的に申し上げているような気もします)

私のような若輩ですら、既に先輩よりも後輩の方が多いというのも驚きです。

ところで、実は最近個人的に尊敬している後輩が何人かいるのです。
今回はその中の1人、絢辻について少しお話したく存じます。



滅私奉公を美徳とする使用人たちもやはり人間。それぞれに個性やポリシーがございます。この屋敷において、絢辻はそんな使用人たちの調和を保つ役割を果たしているように思えます。

お嬢様も絢辻と会話をしたことがあれば恐らく覚えがあると思うのですが、彼は非常に聞き上手なのです。

使用人同士での会話も決して邪魔することなく最適なタイミングで相槌を打ち、インテリジェンスを感じさせつつもそれを決して鼻にかけることのない言葉を返します。

同様に人の話を引き出し、引き立てることに秀でている熟練の使用人には金澤や時任、大河内が思い当たりますが、絢辻は彼らに引けを取らぬ資質を秘めているように存じます。

自論でございますが人間は「発信型」「受信型」「圏外型」に分けられるのではないかと考えます。

私のように口数の多い発信型の人間としては、絢辻のようにきちんと言葉を受け止めて返してくれる受信型の人間はとても尊敬します。ちなみに圏外型はそもそも人と話を成り立たせる気がない人間なので、使用人にはほとんど当てはまることはございません。(そういう方にはそういう方で恐らく美学があるのでしょうから、一概に悪いことではありません)



昔から「使用人に必要なのは自身から発するユーモアではなく、受け答えのウィットである」と言われております。その点で申し上げれば彼ら受信型の使用人たちの在り方には美しさすら覚えます。


人と言葉を交わすとき、相手を不快にさせず、且つ賑やかいだ雰囲気を作るのはとても難しいことです。

立場や状況、精神状態一つで同じ言葉でも違った形に捉えられてしまうことすらございます。丁寧に丁寧に相手の言葉を受け取っている証拠なのでしょう。

恐らく、絢辻は良い本を沢山読み、様々な経験を重ねてきたのだろうな、といつも感心します。

お嬢様も、もし彼と会話をする機会がございましたら、是非色々な話題を持ちかけてみてくださいませ。








…さて、恐らく受信上手な絢辻のことですから私のこの日誌にもきっと目を通してくれているはずです。

絢辻くーん!沢山褒めたので何かご褒美をくださーい!!


隈川(悪い発信型の見本)
Filed under: 隈川 — 22:00