お嬢様 ご機嫌麗しゅうございます
山岡でございます
お外も段々暖かくなって参りまして
春の訪れを感じる今日この頃でございます
春は 出会いと別れの季節
思えば今までの私にとっての春は
別れの悲しみより
出会いへの期待に胸を膨らませる事の方が
多かったのかも知れません
故にこの春は
人生で一番辛い春を迎える事になりそうです
これまでお屋敷でお仕えして参りました
一年と数ヶ月
たった一年と数ヶ月で
こんなに沢山の使用人を見送る事になるとは
思ってもいませんでした
旅立つ事を決めた使用人のこの先の人生が
より豊かなものになるのであれば と
その都度悲しみを押し殺して
笑顔で見送ってきたつもりではございましたが
それでもやっぱり心の奥底にある悲しみは
ふと油断した瞬間に込み上げて参ります
今日は眠れません
お嬢様 恐らく明日の山岡は目の下が黒いです
どうか 今日だけは お許し下さい
またお嬢様を笑顔にする為に頑張る山岡と
これから旅立つ使用人を笑顔で送り出す山岡が
直ぐに戻って参りますので
どうか 今日だけは